
品質管理試験「QC検定」とは? 試験日程や級別の内容、合格率を解説
品質管理の知識レベルを客観的に評価できる「QC検定」。試験は1級から4級までのレベルに分かれており、品質管理に関する幅広い知識が問われます。
本記事では、QC検定の概要やメリット、試験日程、級別の内容、合格率などを詳しく解説します。
受検を検討している方や、品質管理の知識を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
品質管理の試験「QC検定」とは?

「QC検定」はQuality Control(品質管理)の頭文字を取って名付けられた試験です。
試験は日本品質管理協会により実施され、品質管理に関する知識が問われます。
民間資格でありながら信頼性が高く、QC検定の資格取得を応募条件に挙げる企業も少なくありません。
試験では、品質管理の知識や改善能力などが客観的に評価されるため、合格すれば品質管理について一定レベルの知識があることを証明できます。
また、試験では品質管理業務に関連する内容が幅広く出題されるため、受検に向けた勉強に取り組むことで業務に役立つ知識が身に付きます。
受検資格
QC検定には特別な受検資格が設けられていません。
学歴、性別、年齢、国籍なども一切関係ないため、誰でも自由に受検できます。
準1級合格者に対して1級の筆記試験が免除されますが、これは筆記に合格した次の回のみとされています。
たとえば、第37回で準1級に合格した場合、第38回実施時のみ筆記試験が免除され、第39回以降に受検した際は通常の1級受検者と同じく1次試験から受検しなければなりません。
必要な知識さえあれば、最初から2級や1級を受検することも可能です。自身の知識やスキル、目的にあわせて好きなレベルを受検できます。
受検料
2025年3月から実施される第39回QC検定試験の受検料が改定されました。
新しい受検料は消費税10%込みで級ごとに異なります。なお、併願時には割引が適用されます。
★新受検料2025年3月実施の第39回QC検定より適用
(消費税 10%込)
区分/受検料(個人・団体 A)/受検料(団体 B)
1 級/11,880 円/10,450 円
1 級(一次試験免除)※/9,460 円/8,250 円
2 級/7,150 円/6,270 円
3 級/5,830 円/5,060 円
4 級/4,400 円/3,850 円
1・2 級併願/17,050 円/14,960 円
2・3 級併願/11,660 円/10,230 円
3・4 級併願/9,130 円/8,030 円
※対象は直前回の準 1 級合格者のみです。
QC検定の日程
QC検定は例年3月と9月の年2回にわたって実施されています。
試験の申し込みについては、試験の2~3カ月前から開始となるため、QC検定を受検したい方は公式ホームページから正式な日程を確認しておきましょう。
希望する受検会場は都道府県のみ選択でき、具体的な試験会場は受検票が手元に届いてから確認できます。
2級・3級・4級の試験会場は、各都道府県の都市に設置されますが、1級の受検は会場が限定されるため、場合によっては近隣の都道府県まで出向かなければなりません。
なお、受検費用は申込時に支払いますが、支払い方法によって申し込みの締め切り日が異なる点にも注意しましょう。
利用できる支払い方法やそれぞれの締め切り日は、公式ホームページで確認できます。
【級別】QC検定の内容
QC検定には、1~4級までのレベルがあります。
受検資格は特に設定されていないので、目的とする知識のレベルや自身が携わる業務内容に適した試験を選び、受検することも可能です。
級ごとに受検対象者が設定されているため、どれほどの知識が求められるのか、あらかじめ把握しておきましょう。
1級の内容
1級はもっとも難易度が高く、品質管理部門で働く人や技術職の人など、専門的な知識を持つ人を対象とした内容です。
この試験は、品質管理の知識だけでなく、改善や問題解決のリーダーシップを発揮できる能力、さらには品質管理の指導者としての資質を求められます。
試験では、知識を問う問題に加えて、複雑な統計問題など実践的な内容が多いのが特徴です。また、2~4級の内容も含まれるため、品質管理に関する総合的な知識が必要です。
試験は、90分の筆記試験と30分の論述問題で構成されています。
筆記試験で合格点に達しなかった場合でも、総合得点が70%以上、かつ手法分野と実践分野の得点がそれぞれ50%以上であれば、準1級として認定され、次回の受検時には筆記試験が免除されます。
2級の内容
2級は、品質管理部門や研究・開発、生産・技術など、品質管理に関わる職種や、チームリーダーとしての役割を担う方が対象となる内容です。
試験では、パレート図や特性要因図、ヒストグラムなどの「QC七つ道具」を使い、品質管理に関する課題を自ら解決できるレベルが求められます。
品質管理の基本や改善手法を正しく理解し、自分の考えを基に業務を遂行するポジションを目指す方には、2級以上の合格を目指すのがおすすめです。
試験内容は統計を用いた計算問題が中心で、正規分布、二項分布、ポアソン分布、統計量の分布、相関分析、単回帰分析、信頼性工学、管理図、抜取検査など、幅広い範囲が出題されます。
試験はマークシート方式で、論述問題は含まれません。合格基準は、手法分野と実践分野でそれぞれ50%以上、総合得点で70%以上です。
3級の内容
3級は、QC検定の中で標準的な難易度とされ、品質管理の基本知識を理解したいと考える社会人のほか、高校生、大学生、高専生、工業高校生なども受験していますす。
試験では、品質管理の基礎知識に加えて、QC七つ道具の基本的な作成方法や使用方法を理解し、サポートがあれば問題解決や改善に向けて行動できるレベルが求められます。
求人では、QC検定の3級以上取得を求めるケースが多く見受けられます。そのため、QC検定の資格を目指すなら、まず3級の合格が目安となるでしょう。
3級試験は、2級と同様にマークシート方式で行われます。合格基準は、手法分野と実践分野でそれぞれ50%以上、総合得点で70%以上が必要です。
4級の内容
QC検定の中でもっとも難易度が低い4級は、品質管理の入門編とも言える試験です。
主に就活生や品質管理未経験の転職希望者、高校生や高専生など、品質管理の初心者が対象です。
試験では、品質管理の基礎知識に加え、製品づくりの基本や社会人としてのマナーも出題されます。
直接品質管理に携わらない方でも、品質管理の用語や心構えを理解し、企業で働く際に役立つ基本知識を学べます。
4級は、特例として「品質管理検定(QC検定)4級の手引き」のみが出題範囲です。この手引きはインターネットで公開されているので、最新のものを確認して試験に備えましょう。
試験は、2~3級と同様にマークシート方式の筆記試験で、70%以上の正答で合格です。
QC検定を取得するメリット

QC検定は、企業で重宝される資格です。
具体的なメリットを知ることは学習の動機付けにも有効です。
日々の業務に役立てられる
検定合格を目指して勉強に取り組むことは、業務に役立つ品質管理の知識を総合的、かつ体系的に習得することにつながります。
品質管理の基本を把握していると、製造した商品や提供するサービスについてどのように品質を維持・改善していくべきか理解できる能力が向上します。
顧客ニーズを満たす提案を行うことにより、信頼度を高められるのも利点です。
品質管理における問題の改善を学ぶことは、別の業務での問題解決能力を高めることにもつながります。
製造業に勤務している場合、原材料のロスを抑えて成果の向上を目指したり、業務効率を高めるための提案を積極的に行えるようになったりするなど、日々取り組んでいる業務のさまざまな場面で企業に貢献できるはずです。
なお、QC検定は入門的な内容の4級、初心者向けの3級、リーダー向けの2級、指導者レベルの総合的な知識を身に付けられる1級と、段階別の内容で構成されています。
どのレベルからでも受検できますが、4級から順に取得して自身の知識レベル向上を実感しながら、品質管理の知識が活かせる業務での昇進や昇格を目標に掲げるのもひとつの方法です。
就職や転職で有利になる
QC検定の資格保有は、品質管理に対する知識の証明になります。
品質管理の正しい知識は業種を問わず活用できるため、転職時の強みになるはずです。
また、取得した級によって、知識レベルを客観的に判断できるのもポイントです。
たとえば、品質管理未経験者が4級を取得して転職活動に取り組む場合、品質管理業務への関心や正しい基礎知識を持っていることを示す材料になります。
求人では、QC検定の取得を歓迎要件としている企業も少なくありません。
また、品質管理に直接関わる職種や、製造業のように品質管理が特に重視される業種では、QC検定の資格保有が将来のキャリアパスに影響する可能性もあります。
このように、QC検定は国家資格や業務独占資格ではないものの、転職活動を進めるうえで他者との差別化を図れるなど、さまざまなメリットが期待できます。
▼関連記事
QC検定が役立つ求人の事例

品質管理は幅広い分野で必要とされており、企業の採用ではQC資格保持者を優遇するケースが少なくありません。
QC検定が活かせる職種の例を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
品質管理/品質保証(化学)
品質管理/品質保証(化学)の求人では、QC検定が重要なポイントです。
多くの企業がQC検定2級以上を歓迎条件として挙げており、この資格を持っていると選考で有利になりますす。
具体的な業務内容としては、品質管理システムの適正運用や顧客監査への対応、製品リスクの管理、そして品質向上に向けた改善活動などです。
また、法令遵守や規格認証の維持管理、製品や原料の品質安定化にも関わる重要な役割を担います。QC検定を取得することで、品質管理や品質保証の専門知識を証明することができます。
▼QC検定に関わる品質管理/品質保証(化学)の求人情報
品質管理/品質保証(機械)
品質管理/品質保証(機械)の求人では、QC検定が重要な要素です。多くの企業がQC検定2級以上を歓迎条件として掲げ、資格保有者が選考で優遇される傾向にあります。
業務内容は、品質問題の分析や改善活動の推進、製品の品質安定化が主です。また、顧客の依頼に基づく品質向上策の企画や関係部署との連携も求められます。
QC検定を取得することで、品質管理や品質保証に関する知識と経験が証明され、競争力が高まるため、求人で強いアピールポイントとなります。
▼QC検定に関わる品質管理/品質保証(機械)の求人情報
エンジニアの転職は「メイテックネクスト」

エンジニアの転職を成功させるには、専門知識と業界ネットワークを備えた転職エージェントのサポートが大きな助けになります。
弊社『メイテックネクスト』 は、製造業などのエンジニアに特化した転職支援を提供しています。
大手企業への転職成功事例も豊富で、専門コンサルタントが一人ひとりのキャリアを親身にご支援をさせて頂きます!
この記事の寄稿者
QC検定は品質管理について体系的な知識とスキルの習得につながる資格試験です。
QC検定を歓迎要件としている求人も多いため、今後のキャリアアップを目指し、自身に適した級の合格を目指しましょう。
品質管理・品質保証への転職活動は、エンジニアに特化した求人を豊富に扱う弊社メイテックネクストの活用をご検討ください。
- 川口裕也