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品質管理の試験「QC検定」とは? 試験日程・合格率・メリットなどを紹介

品質管理の試験「QC検定」とは? 試験日程・合格率・メリットなどを紹介

製造業をはじめ、あらゆる企業で重要とされているのが品質管理業務です。

品質管理の知識や能力を評価する「QC検定」に合格すれば、品質管理のエキスパートとして企業に重宝されやすいため、転職活動を有利に進められます。

本記事ではQC試験の概要と難易度、資格を取得するメリット、資格を活かせる職種、実際の求人例を紹介します。

品質管理の試験「QC検定」とは?

品質管理の試験「QC検定」とは?

「QC検定」はQuality Control(品質管理)の頭文字を取って名付けられた試験です。

試験は日本品質管理協会により実施され、品質管理に関する知識が問われる内容となっています。


民間資格でありながら信頼性が高く、QC検定の資格取得を応募条件に挙げる企業も少なくありません。

試験では、品質管理の知識や改善能力などが客観的に評価されるため、合格すれば品質管理について一定レベルの知識があることを証明できます。

また、試験では品質管理業務に関連する内容が幅広く出題されるため、受験に向けた勉強に取り組むことで業務に役立つ知識が身に付きます。

QC検定の内容

QC検定には、1~4級までのレベルがあり、合格した級によって有資格者の知識レベルが分かるようになっています。


受験資格は特に設定されていないので、目的とする知識のレベルや自身が携わる業務内容に適した試験を選び、受験することも可能です。

級ごとに受験対象者が設定されているため、どれほどの知識が求められるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

【1級の内容】

1級はもっとも難易度が高く、会社の中でも品質管理部門に所属する社員や、技術職に該当する社員など、専門性の高い知識が必要な方を対象にしています。

品質管理の知識だけでなく、リーダーシップを取って品質管理の改善や問題解決に取り組める方、品質管理の指導者となる方を想定した試験が実施されます。


暗記問題の他に複雑な統計問題が含まれるなど、実践的な問題が多く出題されるのが特徴です。

また、下位レベルとなる2~4級試験の範囲も対象に含まれるため、品質管理の総合的な知識が必要です。

1級では90分の筆記試験の他に、30分の論述問題が出題されます。


筆記試験は、1級の合格ラインに届かなかった場合でも、総合得点70%以上、手法分野と実践分野でそれぞれ50%以上の得点を獲得すれば準1級として認定され、次回の受検に限り筆記試験の免除が適用されます。

【2級の内容】

2級は品質管理部門や、研究・開発、あるいは生産・技術といった品質管理に携わる方や、チームリーダーとしての役割を担う方が対象です。

パレート図や特性要因図、ヒストグラムといった「QC七つ道具」を使用し、品質管理に関する課題を自ら解決できるレベルを想定した問題が出題されます。


品質管理の基本や改善について正しく理解し、自らの考えにより業務を遂行するポジションに就きたいと考えているのなら、2級以上の受検を検討するのがおすすめです。

試験の内容は、統計を用いた計算問題が多く、正規分布や二項分布、ポアソン分布、統計量の分布をはじめ、相関分析と単回帰分析、信頼性工学、管理図、抜取検査など、出題範囲は多岐にわたります。


試験内容はマークシートの筆記のみとなり、論述は含まれません。合格の基準は、手法分野と実践分野でそれぞれ50%以上、総合で70%以上の正答となっています。

【3級の内容】

3級はQC検定の中でも平均的な難易度とされています。

品質管理の面から職場の問題を解決したいあらゆる労働者、高校生や大学生、高専生、工業高校生が主な対象者です。


3級では、品質管理に関する基礎知識と併せて、QC七つ道具の基本的な作成方法と使用方法を理解し、サポートがあれば問題の解決・改善に向けて行動できるレベルが想定されています。

企業の求人募集などでQC検定の取得を求めている際、3級以上を設定しているケースが多く見受けられます。


そのため、QC検定の資格取得を目指すなら、まず3級の合格を目標にしましょう。

3級試験では、2級と同じくマークシート方式による筆記試験が行われます。


合格の基準は2級と同様で手法分野と実践分野でそれぞれ50%以上、総合得点70%以上の正答が必要です。

【4級の内容】

QC検定の中でももっとも難易度が低い4級は、品質管理の入門編とも言える試験内容です。

就活生や品質管理未経験の転職希望者、派遣社員、高校生や高専生など、品質管理の初心者が対象となっています。


試験では品質管理の基礎的な知識に加え、製品づくりをするうえでの基礎知識、社会人としてのマナーも出題されます。

直接品質管理に携わらない方であっても、品質管理の用語や心構えを理解して企業で働く際に役立つさまざまな知識や常識を理解するのに役立つ試験です。

また、4級は例外的に「品質管理検定(QC検定)4級の手引き」のみを出題範囲としています。


インターネット上でも公開されているので、最新の手引きをチェックして試験に備えましょう。

試験は2~3級と同様にマークシート方式の筆記試験となっていて、70%以上正解すれば合格です。

QC検定の受検資格

上述したように、QC検定には特別な受検資格が設けられていません。

学歴、性別、年齢、国籍なども一切関係ないため、誰でも自由に受験できます。


ただし、準1級合格者に対して1級の筆記試験が免除されるのは、筆記に合格した次の回のみとされています。

たとえば、第37回で準1級の合格となった場合、第38回実施時のみ筆記試験が免除され、第39回以降の受験となった際は通常の1級受検者と同じく1次試験から受検しなければなりません。

必要な知識さえあれば、最初から2級や1級を受験することも可能です。自身の知識やスキル、目的にあわせて好きなレベルを受検できます。

QC検定の試験日程

QC検定は例年3月と9月の年2回にわたって実施されています。

試験の申込については、試験の2~3カ月前から開始となるため、QC検定を受検したい方は公式ホームページから正式な日程を確認しておきましょう。

希望する受験会場は都道府県のみ選択できるようになっており、具体的な試験会場は受験票が手元に届いてから確認する流れになっています。

2級・3級・4級の試験会場は、各都道府県の都市に設置されますが、1級の受験は会場が限定されるため、場合によっては近隣の都道府県まで出向かなければなりません。

なお、受験費用は申し込み時に支払いますが、支払方法によって申し込みの締め切り日が異なる点にも注意しましょう。

利用できる支払方法やそれぞれの締め切り日は、公式ホームページで確認できます。


公式HPへこちら

QC検定の合格率

2024年3月に実施された、第37回QC検定の合格率は以下のようになっています。

1級:3.37%

準1級:10.94%

2級:29.99%

3級:50.19%

4級:84.96%

この結果からも読み取れるように、4級・3級の難易度は高くありませんが、2級になると30%未満と合格率が大幅に下がるため、難易度の高さがうかがえます。

1級の合格者はわずか3%程度と非常に難易度の高い試験です。合格に向けて効率よく学ぶために、通信講座やセミナーを活用する方法もあります。


QC検定を主催している一般財団法人日本規格協会でも集中セミナーを開催しているので、公式ホームページで最新情報をチェックしてみましょう。

なお独学の場合、目安となる勉強時間は、3級が50~100時間、2級が200時間、1級で300時間とされています。

QC検定を取得するメリット

QC検定を取得するメリット

QC検定は、企業で重宝される資格です。

具体的なメリットを知ることは学習動機付けにも有効です。

日々の業務に役立てられる

検定合格を目指して勉強に取り組むことは、業務に役立つ品質管理の知識を総合的、かつ体系的に習得することにつながります。

品質管理の基本を把握していると、製造した商品や提供するサービスについてどのように品質を維持・改善していくべきか理解できる能力が向上します。


顧客ニーズを満たす提案を行うことにより、信頼度を高められるのも利点です。

品質管理における問題の改善を学ぶことは、別の業務での問題解決能力を高めることにもつながります。


製造業に勤務している場合、原材料のロスを抑えて成果の向上を目指したり、業務効率を高めるための提案を積極的に行えるようになったりするなど、日々取り組んでいる業務のさまざまな場面で企業に貢献できるはずです。

なお、QC検定は入門的な内容の4級、初心者向けの3級、リーダー向けの2級、指導者レベルの総合的な知識を身に付けられる1級と、段階別の内容で構成されています。

どのレベルからでも受験できますが、4級から順に取得して自身の知識レベル向上を実感しながら、品質管理の知識が活かせる業務での昇進や昇格を目標に掲げるのもひとつの方法です。

このように、品質管理に関する学びは、日々のあらゆる業務に良い影響をもたらします。

就職や転職で有利になる

QC検定の資格保有は、品質管理に対する知識の証明になります。

品質管理の正しい知識は業種を問わず活用できるため、転職時の強みになるはずです。


また、取得した級によって、知識レベルを客観的に判断できるのもポイントです。

たとえば、品質管理未経験者が4級を取得して転職活動に取り組む場合、品質管理業務への関心や正しい基礎知識を持っていることを示す十分な材料になります。

企業の求人では、QC検定の取得を歓迎要件としている企業も少なくありません。

また、品質管理に直接関わる職種や、製造業のように品質管理が特に重視される業種では、QC検定の資格保有が将来のキャリアパスに影響する可能性もあります。

このように、QC検定は国家資格や業務独占資格ではないものの、転職活動を進めるうえで他者との差別化を図れるなど、さまざまなメリットが期待できます。

QC検定が役立つ求人の事例

QC検定が役立つ求人の事例

品質管理は幅広い分野で必要とされているため、企業の採用ではQC資格保持者を優遇するケースが少なくありません。QC検定が活かせる求人例を以下にまとめたので、参考にしてみてください。

品質管理/品質保証(化学)

DIC株式会社が募集している、品質保証<監査>の歓迎条件に「QC検定2級以上もしくはISO9001審査員補の資格を有する」を挙げています。

年収は650万~720万円となっていて、担当する業務は下記となっています。

・QMSの適正運用管理

・顧客監査への対応支援

・国内外関係会社の監査とフォローアップ

・品質に関わる各種書類の作成

・品質に係る苦情やクレーム・トラブルへの対応

・製品リスク管理

・法令や規格認証遵守に向けた管理

・製品や原料の品質に係る対応

・品質安定化や品質向上に向けた管理

・検査方法の適正管理

・サプライヤー・製造委託先の品質保証水準の監視と向上

歓迎条件に「QC検定2級以上」が含まれているため、検定2級取得者は他の応募者よりも選考で有利になることが予測できます。

品質管理/品質保証(機械)

株式会社アドヴィックスでは、グループ全体を統括した品質保証活動の企画と推進の人材を募集しています。

担当業務の内容は、下記です。

■品質問題の分析による課題の創出と関係部署を巻き込んだ品質改善活動の牽引

■得意先依頼に対する全社活動の企画・推進


年収は6500万~850万円です。

品質保証や管理などの経験者のみを対象にした求人ですが、応募条件のひとつに「QC検定2級相当の品質工学の理解」が挙げられています。

関連する分野で品質管理業務の経験があり、QC検定2級を取得している場合は大きなアピールポイントになると考えられます。

より詳細な内容を確認したい方は、以下のリンク先から求人情報をご確認ください。


求人情報

★DIC株式会社:品質保証<監査>(パフォーマンスマテリアル品質保証グループ)


★株式会社アドヴィックス(ADVICS):グループ全体を統括した品質保証活動の企画と推進/品質プロセス革新部_企画室


エンジニアの転職は「メイテックネクスト」

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品質管理の関連業務への転職を希望しているなら、ぜひ転職支援サービスの弊社メイテックネクストの活用をご検討ください。


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弊社のコンサルタントは、半数以上がメーカーの技術系分野出身者です。

エンジニアの職種は専門性が高いため、業界に詳しいコンサルタントのサポートがあると安心です。


サービスは無料で利用可能ですので、品質管理・品質保証への転職を考えている方は、ぜひご相談ください。


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まとめ

QC検定は品質管理について体系的な知識とスキルの習得につながる資格試験です。

QC検定を歓迎要件としている求人も多いため、今後のキャリアアップを目指し、自身に適した級の合格を目指しましょう。

品質管理・品質保証への転職活動は、エンジニアに特化した求人を豊富に扱う弊社メイテックネクストの活用をご検討ください。

この記事の寄稿者

エンジニアからの転身経験を活かして、納得のいく転職活動の支援、新たな発見の提供を心掛けています。

私自身、転職活動をしていた際に非常に悩みましたが、乗り越えた経験もあります。このような経験値に基づき、”開発のスペシャリストになりたい”、”分析を極めたい”、”品質を突き詰めたい”といった様々な志向性の方に的確なサポートを提供します。

自分が何を目指したいのか明確でない方にはキャリア・スキルの棚卸から伴走します。

今後の人生にプラスとなる活動とするため、目先の選択ではなく、将来を見据えた、納得のいく意思決定を体感してください。

川口裕也
川口裕也

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