転職のきっかけには何がある? 面接で聞かれる理由や回答例を紹介
転職のきっかけは人それぞれ異なりますが、面接でその理由を率直に伝えるべきかどうか迷っている方も多いことでしょう。
そこで本記事では、転職の主なきっかけを解説するとともに、面接で転職のきっかけを聞かれる理由や適切な伝え方についてもご紹介します。
転職を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
転職を考えるきっかけは主に5つ
転職の理由は人それぞれですが、一般的には以下の5つのポイントに集約されます。
給与・待遇
給与や待遇は生活に直結するため、多くの人々が転職を考える主要な理由となります。
厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、離職理由の第2位が「満足のいく仕事内容でなかったから」(26.0%)、第3位が「賃金が低かったから」(23.8%)と上位を占めています。
特に、以下のような不満が典型的です。
・勤続年数が長くなっても給与が上がらない
・家族が増えて、現在の給与では生活が厳しい
・賞与がない、あるいは少ない
・休日出勤手当や残業代がない、あるいは少ない
・売上に対してのインセンティブがない、あるいは少ない
・将来が不安のため、もっと稼ぎたい
このような状況に直面した場合、労働に対する給与や待遇が見合っていないと感じ、不満を抱きます。そして、自分を正しく評価してくれる会社に転職しようと考えるきっかけとなります。
人間関係
人間関係も、転職のきっかけとして多く挙げられます。
厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、離職理由の第5位に「人間関係がうまくいかなかったから」(23%)がランクインしており、さらに20~24歳の離職理由としては他と大きく差をつけて第1位(38.4%)に挙がっています。
「頻繁に上司から飲み会に誘われる」「同僚と合わない」「パワハラやセクハラを受けている」といったケースが代表的です。このような状況が続くと実害が生じかねません。例えば、相性の悪い上司との意見の食い違いや、同僚とのコミュニケーションの不全は、業務効率を著しく低下させます。また、職場におけるハラスメントは、深刻な精神的・身体的ダメージを与えます。
近年、多くの企業がハラスメント対策に力を入れています。ハラスメント防止のための研修を実施したり、相談窓口を設けたりして、従業員が安心して働ける環境作りに取り組んでいます。
しかし、人間関係の問題は感情や個人的な価値観が絡むため、スムーズな解決が難しいケースも少なくありません。
したがって、このような状況では仕事にならないため、転職を決断することもやむを得ないでしょう。
残業の多さ
理想とするワークライフバランスが実現できない場合、転職を考えるきっかけとなります。
厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、離職理由の第1位が「労働条件(賃金以外)が良くなかったから」で、全体の28.2%を占めています。
家庭を持つ方や趣味に時間を費やしたい方にとって、過剰な残業は大きな負担です。家族や友人との時間が減少することにより、ストレスや疲労を増大させ、健康を害するからです。
近年、働き方改革の一環として、企業の仕事時間に関する考え方が変化しました。
多くの企業が残業時間の削減やフレックスタイム制度の導入、テレワークの推進を行っています。
これにより、従業員がより柔軟に働ける環境を提供し、ワークライフバランスを改善しようとしています。
しかしその一方で、テレワークを一時的に導入したものの、「原則出社」に戻す企業が増えているのも事実です。
そのため、テレワークを希望する方は積極的に転職活動に励むようになっています。
家庭の事情
家庭の事情が変化して転職を考える人は、どの時代でも存在します。
結婚や出産、看護や介護などが代表的な理由です。
結婚に伴う転居や配偶者の転勤により、新たな職場を求めるケースも少なくありません。
女性の場合、出産によって育児と仕事の両立が難しくなり、転職を余儀なくされることがあります。
近年では、男性も育児休業を取得できる職場を探して転職するケースも増えています。
自治体の支援もある中で、家族の介護のために地元に戻り、Uターン転職するケースも見られます。
また、看護や介護の負担が増加する中で、経済的な理由から年収アップを目的に転職する人もいます。
会社の将来性・経営方針
仕事自体は好きである一方で、会社の将来性や経営方針の変化により、転職を考えることがあります。
離職理由としても意外と高く、厚生労働省の「令和2年転職者実態調査の概況」によれば、離職理由「会社の将来に不安を感じたから」(23.3%)が第4位にランクインしています。
経営トップの交代や企業の合併・買収によって、会社の方向性が変わる可能性があります。
特に、日本企業から外資系企業に移行した場合、給与体系や働き方が大きく変わる可能性が極めて高いです。
また、会社が新たな事業を立ち上げる際、その方向性に納得できない場合も転職の要因となります。
さらに、経営状況の悪化により早期退職の募集が行われることも考えられます。
これらの状況では、企業の将来の安定性や、自身のキャリアの展望に対する不安が生じ、転職を検討することが自然です。
面接で転職のきっかけを聞かれる理由
企業から転職のきっかけを尋ねられるのは一般的なことです。
企業は転職の背景を通じて、「自社に適した人材かどうか」「入社後に長期間働いてくれるかどうか」を判断しようとしています。
自社に適した人材かどうかを判断することは、採用に多くのコストと時間を投じる企業にとって重要です。
自社に適合しなかった場合、早期に離職するリスクが高まるからです。
例えば、給与の不満から転職したにもかかわらず、ほぼ同じ給与水準の企業に移った場合、再び辞める可能性が高いと企業は考えます。
また面接では、過去の不満や課題に対し、どのように対処したかについても詳しく聞かれることがあります。
これは、将来の仕事で同様の問題に対処する能力や、解決策を見つける能力を評価するためです。
例えば、同僚との関係が悪化したという理由で転職した場合、どのような改善策を実施したか、その結果どうなったかを具体的に説明することが重要です。
これにより、企業は入社後のあなたの活躍の可能性を見込むことができます。
面接で転職のきっかけを聞かれたときのポイント
面接においては、以下のポイントを踏まえることで、面接官に好印象を与えることが可能です。
嘘をつかない
嘘は、面接官との信頼関係を損ないかねません。
加えて、あとになってから話の整合性が取れなくなることも予想されます。
そして、多くの場合嘘はやがて看破されます。企業の面接官は数十人、あるいは数百人の転職希望者と面接するような熟練者です。
話している内容やその表情から、嘘であると瞬時に判断される可能性が高いです。
また近年では、SNSで転職希望者の発言をチェックするケースも増えています。
そのため、その場しのぎの嘘も、後日SNSで確認されて露見することがあります。
したがって、面接では転職のきっかけを偽りなく丁寧に伝えることが大切です。
そのまま伝えても問題ないかを考えてみる
転職のきっかけについて話す際は、嘘はつかないほうが良いと前述しましたが、全てを正直に話す必要もありません。
なぜなら、新しい職場でも同様の問題が生じる可能性があるからです。例えば、転職のきっかけが残業時間の増加の場合、新しい職場でも残業があることを心配されるかもしれません。
また、人間関係が理由で転職した場合、「今回も人間関係がうまくいかないのでは」という懸念を転職先に抱かれる可能性があります。
したがって、こうした点を直接に述べるのは避けるべきです。
一方で、家庭の事情(結婚・出産・転居・介護・看護)については、そのまま正直に伝えることが推奨されます。
これらは人生の重要な局面であり、企業側も理解を示すことが多いからです。
正直でありながらも、適切な情報の取捨選択を行い、転職のきっかけを伝えることが重要です。
ポジティブな表現を考える
転職のきっかけがネガティブな場合、それをそのまま伝えると、面接官にネガティブなイメージを与えてしまう可能性があります。
そのため、どんなきっかけであっても、ポジティブな表現に変えることが重要です。
例えば、人間関係に不満があって転職する場合、「転職先では、チーム全員が協力し合って仕事を推進したいと考えています」と伝えることで、前向きな姿勢を示せます。
また、残業が多くて転職する場合には、「スキルアップのための時間を確保できないことから転職を決意しました」といった具合に、具体的な成長意欲を示す表現が有効です。
このように、転職のきっかけを述べる際には、問題点だけでなく、その改善方法や新しい環境での貢献意欲を明確にするようにしてください。
転職のきっかけを聞かれたときの回答例
以下では、よくある転職のきっかけの一部を取り上げて、【OK例】と【NG例】を記載しています。
転職で面接する際の参考にしてください。
キャリアアップの場合
【OK例】
私はシステムエンジニアとして働いています。現職で基本的なスキルは身につけましたが、技術的な挑戦が少なくなり、自己成長に限界を感じています。
転職先では、開発段階からプロジェクトに携わり、より高度なスキルを駆使して、新しいシステムの構築に挑戦したいと考えています。
【NG例】
私はシステムエンジニアとして働いていますが、現職では単調な作業が多く、基本スキルを身につけるに留まっています。
転職することで、より高度なスキルを身につけられることを望んでいます。
【OK例】では、転職先でどう自身が活躍するかを具体的に述べています。
一方【NG例】では、現職に対してネガティブなことを述べて印象を悪くしています。
家庭の都合の場合
【OK例】
私の転職のきっかけは、父の介護が必要になったためです。
現在の職場は原則出社が求められるため、介護との両立が難しい状況です。
転職先では、テレワークが可能な環境を希望しています。ただしヘルパーの協力により、週に2回は出社することも可能です。
私のスキルと経験を活かし、新しい環境で貢献できることを楽しみにしています。
【NG例】
現在の職場は原則出社が求められるため、介護との両立が難しい状況です。転職先では、テレワークが可能な環境を希望しています。
さらに父の症状次第では、休むこともあります。
上述の通り、家庭の事情を正直に伝えても構いません。
【OK例】のように、働き方に制限があることを伝えつつ譲歩案を提示すると、企業としても受け入れやすいです。
【NG例】では、「また介護を理由に退職してしまうのではないか」という不安を抱かせます。
ハラスメントの場合
【OK例】
現職では、業務の進め方やコミュニケーションにおいて改善の余地を感じていました。
転職先では、オープンで協力的なチームの一員として、自分のスキルを活かしながら、ほかのメンバーとも積極的に意見交換をし、プロジェクトを成功に導きたいと考えています。
【NG例】
現職で上司から直接パワーハラスメントを受けたことが、転職のきっかけです。
職場の雰囲気が合わず、毎日がストレスになっていました。転職することでストレスから開放され、業務に集中したいと考えています。
決して自身に非がなかったとしても、【NG例】のように直接伝えてしまうと、面接官に暗い印象を与えかねません。
【OK例】のように最小限に留めて、転職先での展望を語るほうが建設的です。
エンジニアの転職は「メイテックネクスト」
近年、転職活動は転職エージェントの利用が主流になっています。面接での回答の仕方なども、転職のプロからアドバイスを受けることで、より良いものにすることができます。
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まとめ
転職を決断するきっかけは、給与・待遇の不満、人間関係家庭の事情など多岐にわたります。
面接の際には、可能な限りポジティブに伝えることを心がけ、転職先で自分の能力をどう発揮できるかを中心に話すようにしてください。
そして転職を検討する際には、転職エージェント「メイテックネクスト」の利用がおすすめです。
この記事の寄稿者
キャリアコンサルタント国家資格者として、クライアントの皆様の言語化促進に定評がございます。
実際、「何となく不安・不満を抱いていた中で、本当に実現したいビジョンがクリアになった!」・「新たな気づき・自己発見に繋がった!」と、多数ご感想いただいておりますので、「何となく迷っている」・「悩みを見える化したい」いった方、ぜひ一度ご相談ください。
- 渡部 伸