【例文付き】転職面接で聞かれる成功体験|質問の意図や答え方について解説
転職面接での成功体験に関する質問は、採用の成否に大きな影響を与えます。
この記事では、企業が成功体験について尋ねる理由と、効果的な回答方法を解説します。
また、エンジニアを含む求職者が面接で成功体験をどう伝えるべきか、具体的な例文を通じて紹介します。
企業はなぜ成功体験を聞くのか? 質問の意図を解説
転職時の採用面接において、面接官から「前職(現職)で業務上の成功体験にはどのようなものがありますか」といった質問をされることがあります。
この質問には、採用側である企業の、
・何をもって成功としているのか、評価軸を知りたい
・仕事に対する価値観を知りたい
・成功体験を自社で活かせるのかを判断したい
・仕事への取り組み方・計画性の有無を把握したい
といった意図が隠されています。
何をもって成功としているのか、評価軸を知りたい
成功の評価軸とは、例えばプロジェクトにおいてはプロセスを重視するのか、運用後の結果を重視するのかといったことです。
あるいは、自分の業務結果を中心に評価するのか、チーム全体で勝ち取った成果を重視して評価するのかということです。
これらを聞くことにより、企業は求職者が業務を進めるうえで何を重視しているのか、リーダーシップや協調性などはあるのか、といったことを探ります。
上記のプロセス重視か結果重視かは、企業の置かれている状況や目指す方向性によって変わってきます。
企業の評価軸と求職者のそれとが一致していれば、同じ方向を向いて業績発展の道を歩めるため入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
仕事に対する価値観を知りたい
企業は、成功体験を聞くことによって、求職者の仕事に対する価値観を推し量りたいと考えています。
仕事に対する価値観とは、担当する業務にどのように向き合ってきたのか、何を大切にしながら業務を進めてきたのかといったことです。
例えば、前職で携わっていたプロジェクトの成功体験を聞くとき、求職者が具体的にどのような点を大切にしてプロジェクトを進めたのかを企業側は知りたがっています。
顧客満足度を第一に考えて進めたのか、あるいは自社利益の最大化を目指して進めたのかといったことですが、このエピソードから推し量れる求職者の価値観と、採用側で企業の価値観とが一致しているのか否かは、採用を判断するうえで大きな要素になります。
成功体験を自社で活かせるのかを判断したい
求職者の成功体験を自社でも再現することが可能なのかどうかを見極めたいから、というのも理由の一つです。
例えば、求職者が前職の製造企業で達成したプロセス改善を、転職先の生産効率向上にも活かせるのか否かを成功体験のエピソードから判断したいと採用側では考えています。
上述した「仕事に対する価値観を知りたい」と同様、求職者の強みと採用側企業の業務環境とが一致していれば、採用に向けてプラスの材料となります。
これが一致しない場合、求職者がせっかく能力を持っていても、転職先で活かしきることができず、離職につながってしまうのではないかという懸念も出てきます。
仕事への取り組み方・計画性の有無を把握したい
企業は、求職者が仕事に対してどのように取り組むのか、計画性はあるのか否かを、エピソードから知りたいと考えています。
言い方を換えれば、成功体験がどのような背景で得られたのかを把握したいのです。
前職でのプロジェクトが成功したのは、計画性重視で進めたからなのか、進捗状況に応じてメンバーの実行力や行動力を適切に差配できたからなのか、あるいは単に偶然の産物だったのか、といったことです。
この点を確認するのは上述した「仕事に対する価値観を知りたい」「成功体験を自社で活かせるのかを判断したい」と同様、自社の環境とマッチするのか否かを採用の判断材料とするためでもあります。
成功体験の回答で意識したい4つのポイント
面接時に採用担当者から成功体験について聞かれた場合に、回答で意識したいポイントとしては、
・自己PRと一貫性を持たせる
・応募先企業と評価軸を合わせる
・再現性を意識する
・採用担当者がイメージしやすい成功体験を選ぶ
の四つがあります。
1. 自己PRと一貫性を持たせる
まず、はじめに意識したいことが、成功体験のエピソードと自己PRとの間に一貫性を持たせるということです。
職務経歴書に記載した内容や面接で話した内容と、成功体験のエピソードの内容とが一致しないのでは、自己PRか成功体験かのいずれかが正しくないか、あるいは両方とも正しくないかもしれないと判断されてしまい、ひいては求職者の信頼性が揺らいでしまいます。
逆に両者に一貫性があれば、自己PRにも信頼感を持ってもらえます。
求職者の人物像や成功体験の信頼性も高まり、面接官に好印象を与えることができます。
2. 応募先企業と評価軸を合わせる
面接時に成功体験を話す際には、エピソードの評価軸と応募先企業の評価軸とを合わせることにも配慮する必要があります。
例えば、上述したプロセス重視か、結果重視かを例に取れば、どちらを重視しているのかは、企業の風土や置かれている状況などによって変わってきます。
求職者が、転職希望先はプロセス重視の企業であると判断できるのであれば、成功体験のエピソードもプロセス重視の内容で話すことによって、企業との価値観が一致し、採用までが一歩近づきます。
ただし、「当社は絶対的に結果を重視しています」と公言しているような企業はほとんどなく、プロセスと結果のどちらを重視しているのかの見極めは難しいと言わざるを得ません。
こうした場合には少し観点を変えて、「課題発見」または「問題解決」でエピソードを話すことをおすすめします。
話す観点を変えたとしても、「どのような点に問題を覚えて、課題を抽出したのか」「どのように問題を解決したのか」を話すことができれば、課題発見と解決までのプロセスを評価してもらえたり、問題解決能力といった結果を評価してもらえたりする可能性が高まります。
3. 再現性を意識する
次に意識したいことが成功体験の再現性です。前職で数多くの成功体験を持っていたとしても、転職先で同様の成功を再現できないのでは意味がありません。
例えば、特定の技術を用いたプロジェクトを成功させた体験を話すのであれば、当該技術が応募先企業でも活用することが可能であり、業績向上につながる(再現性がある)ことを説明する必要があります。求職者の成功体験が複数あるのであれば、転職希望先でもより再現性の高いエピソードを選択して話すことが重要です。
4. 採用担当者がイメージしやすい成功体験を選ぶ
採用担当者がすぐに理解できないような成功体験では、話したとしてもプラスの評価を得ることはできません。
これは特に転職希望先が前職とはまったくの異業種である場合に注意したいポイントです。
仮に職種が同じだとしても、業種が違えばすぐには理解できないことも数多くあります。
例えば転職希望先が製造業であれば、成功体験として製造プロセスを改善し業績向上につなげたエピソードを語れば、採用担当者はイメージしやすくプラスの評価をしてもらえます。
ただし、応募先に無理に合わせる必要はありません。また、語るべき成功体験が多くはなく、そのいずれもが採用担当者にはイメージしづらいといった場合は、エピソードが抽象的にならないよう、具体的な数字を交えて話せば理解しやすくなります。
成功体験を見つける方法
面接時に話す成功体験を見つける方法としては、
・過去の行動から成功体験を見つける
・継続していることを成功体験として置き換える
といったことが挙げられます。
過去の行動から成功体験を見つける
求職者の成功体験は、それまでに経験した過去の行動のなかに隠れているかもしれません。
これまでの経験から成功体験を見つけ出す方法としては、出来事を時系列で書き出してみることをおすすめします。
書き出してみた内容から、自身の行動を深掘りして、共通する行動パターンや考え方、価値観などはないのかを考察してみます。
例えば、困難だったことのなかにも成功体験が隠れています。
窮地の局面をどのようにして乗り越えたのか、具体的には「プロジェクトが遅延した際にどのように問題を解決して、期限内に納品することができたのか」といったことも、十分に語るべき成功体験です。
継続していることを成功体験として置き換える
成功体験と言っても「〇〇の方法で前年度比売上250%アップを達成しました」のような華々しいものばかりではありません。
趣味や特技など、継続していることを成功体験に置き換えることも可能です。
続けているなかで「何を楽しんでいるのか」「何を学ぶことができたのか」「やめようと思ったときに、どのように克服したのか」といったことを思い出し、成功体験としてまとめます。
例えば、ランニングを続けているのであれば、走り続けるなかで培った忍耐力や自己管理能力を面接官にアピールできます。
さらにはこのエピソードから、求職者の成長意欲や自己改善の姿勢を面接官が感じ取ってくれるかもしれません。
「継続は力なり」という言葉があるように、そもそも続けること自体に価値があり、評価されるポイントになります。
【例文付き】成功体験の具体例
面接時に話す成功体験の具体例として、営業職の場合、技術職の場合でいくつか例文を紹介します。
重要なのは三つのポイントです。
まず「結論ファースト」で、具体的な成果を数字を交えて提示します。
次に、その成果に至る「エピソード」を詳述し、解決した課題とその根拠を明らかにします。
最後に、これらの経験を新しい職場で「どう活かすか」を具体的に説明します。
営業職
【例文1】
売上目標を120%達成し、部門内でトップの成績を収めました。
新規顧客を開拓するためにターゲットとなる市場を徹底的に調査し、独自のアプローチ方法を開発しました。
具体的には、顧客ニーズに応じたカスタマイズ提案を行い、他社との差別化を図ったことが新規顧客の獲得につながりました。
その結果、新規契約数が飛躍的に増加し、売上目標を大幅に上回ることができました。
この経験を通じて得た市場調査のスキルやカスタマイズ提案のノウハウを、新しい職場となる御社でも活かし、さらなる売上の拡大に貢献したいと考えています。
【例文2】
顧客満足度を向上させ、リピート率を150%増加させました。
既存顧客の満足度を高めるために、定期的なフォローアップを行い、あわせて顧客への新たな提案を実施しました。
さらに顧客からの意見をもとにサービスの改善点を洗い出し、迅速に対応しました。
その結果、既存顧客の満足度が向上し、リピート率の大幅な向上につながりました。
この経験から得た顧客対応のスキルや知識を活かし、新しい職場となる御社でも〇〇事業の顧客満足度の向上に貢献したいと考えています。
技術職
【例文1】
新製品開発プロジェクトを成功させ、製品の市場投入に成功しました。
プロジェクトの初期段階から関与し、開発チームをリードしました。市場調査をもとに顧客ニーズを分析し、それに応じた製品設計を行いました。
開発プロセスで直面した技術的な課題を解決するために、外部専門家の意見を取り入れながらチーム内で慎重な検討を繰り返し、最適なソリューションを見つけ出しました。
その結果、製品は予定よりも早く完成し、市場で高評価を得ることができました。
この経験を通じて培ったプロジェクトマネジメントのスキルや技術的な問題解決能力を、新しい職場となる御社でも製品開発に役立てて、イノベーションを推進していきたいと考えています。
【例文2】
品質管理プロセスを改善し、製品の不良発生率を50%削減しました。
製品の品質向上のために、まず現行の品質管理プロセスを徹底的に見直しました。
さらにデータを分析して、問題の根本原因を特定し、改善策を策定・実施しました。
改善策は、新しい検査機器の導入とスタッフのトレーニングプログラムの強化とを中心に構成しました。
その結果、製品の不良発生率は大幅に減少し、顧客からのクレーム件数も減少しました。
この経験で得た品質管理の知識や改善策の実行力を、新しい職場となる御社でも活かして、製品の品質向上に貢献したいと考えています。
【例文3】
システムの安定性を向上させ、ダウンタイムを70%減少させました。
システム運用中のトラブルが頻発していたため、原因を徹底的に調査し、問題点を洗い出しました。
検出された問題点を解決するために、システムアーキテクチャの見直しと改善策を提案・実施しました。
具体的には、冗長化構成の導入やモニタリングシステムの強化を行いました。その結果、システムの安定性が大幅に向上し、ダウンタイムを70%減少させることができました。
この経験から得たシステム管理のスキルや問題解決能力を、新しい職場となる御社でも活かして、システムの信頼性向上に貢献したいと考えています。
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まとめ
採用面接で企業が求職者に対して成功体験の質問をするのには「求職者の成功の評価軸を知りたい」「仕事に対する価値観を知りたい」「成功体験が自社でも再現できるのかを知りたい」「仕事への取り組み方・計画性の有無を把握したい」といった意図があります。
成功体験を回答する際には四つのポイントがあり、これらの沿って話すことが重要です。
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この記事の寄稿者
20年間の転職支援経験を通して、様々なエンジニアと対峙して思うのは、月並みですが、転職がゴールではなく、大事なのは、皆さんにとって良い人生になるように!です。
この視点を忘れずに、一緒にキャリアのことを考えたいと思っています。
転職したいけどどんな仕事・会社が良いかわからない方、転職するかどうか決めてなくても、今の仕事を続けていて大丈夫?と不安に思う方等、自分のキャリアについて考えてみたい方もぜひお声がけください。
- 岩崎 貴代恵