品質検査員に役立つ品質管理の資格には何がある? 取得するメリットも紹介
品質管理に含まれる品質検査では、さまざまな手法を用いて製品の品質が確かであることを保証するための検査を行います。
本記事では、品質検査員のキャリアアップに役立つ6つの資格を紹介します。転職後のキャリアアップを実現させるために、品質管理・品質保証に関する資格取得を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
品質検査員には資格が必要?
製造工程におけるすべての質を管理するために実施する品質管理には、工程管理・品質検査・品質改善という3つのステップがあります。
品質管理に含まれる品質検査は、製品の性能と品質が設計通りに正しく備わっているかどうかを保証する重要なプロセスです。
品質検査の業務を遂行するために、必須とされる国家資格はありません。
未経験者でも品質検査員に転職することは可能ですが、工学系の知識や製造業、技術分野での経験があると有利です。
今後、品質検査員として就職することを考えているのなら、品質管理に関係した民間資格を取得するのがおすすめです。
資格を取得せず就職した場合でも、トレーニングや実務経験を通じて品質管理のスキルは習得できます。
しかし、正しい専門知識を身に付けていると証明する資格があれば、転職活動を進めるうえで大きな強みとなるはずです。
品質検査員に役立つ品質管理の資格
品質検査員としてのキャリアを築くには、実務経験だけでなく、専門知識の積み重ねが不可欠です。資格の取得に向けた学習は、業務に対する理解を深めることにもつながります。
品質管理検定(QC検定)
品質検査員の仕事に活かせる資格のひとつが品質管理検定(QC検定)です。
その名のとおり、品質管理の知識が問われる内容となっており、全国120か所で毎年3月と9月に筆記試験が実施されています。
品質管理検定(QC検定)は、1級から4級までのレベルがあり、それぞれ受験資格は設けられていません。
そのため、実務経験がない方でも自由に好きな級を選んで受験することが可能です。
品質管理に携わったことのない新入社員や学生であれば、基礎的な知識を身に付けられる4級を受験するのがおすすめです。
3級試験は、業種に関係なく職場の問題解決を担う社員や、品質管理について学ぶ学生に適した内容になっています。
2級になると難易度はやや高くなり、基本的な管理・改善活動を自立して行える知識と能力が備わっているかどうかを測る試験レベルになっています。
1級の資格試験は1次と2次に分けて実施され、合格するには高度な専門知識が必要です。
QC検定1級の資格取得者になると、さまざまな問題を品質管理の観点から適切に判断し、問題の解決や改善に向けて自ら主導していけるリーダーとして活躍できる知識が身に付きます。
QC検定の取得は、品質管理に関する知識とスキルを証明するとともに、キャリアの向上に大いに役立ちます。
信頼性技術者資格認定制度(JCRE)
一般財団法人日本科学技術連盟により実施されている信頼性技術者資格認定制度(JCRE)とは、問題解決能力の向上を目的に、信頼性・品質保証の業務を担う技術者を対象に行われている資格試験です。
試験のレベルは、初級・中級・上級の3つに分けられています。
受験資格のいらない初級はマークシート方式の筆記試験となり、信頼性工学を学ぶ学生がチャレンジすることも可能です。
中級・上級試験を受験するには、下位レベルの試験に合格していなければなりません。さらに上級では、3年以上の信頼性に関する実務経験も必要です。
それぞれ書類審査と面接審査が行われ、信頼性工学に関する深い知識や経験がなければ受験することも難しいとされています。
初級試験は年に2回実施されており、中級・上級試験は随時申し込み可能です。
※参照元:日科技連認定 信頼性技術者資格認定制度 | セミナーサイト |「品質」に関わるセミナーなら日本科学技術連盟(JUSE)
品質マネジメントシステム審査員(QMS審査員)
品質マネジメントシステム(QMS)とは、組織が成果を上げるための仕組みや良質な製品・サービスを提供するための仕組みを指します。品質マネジメントシステム審査員(QMS審査員)は、ISO 9001をはじめとした組織の品質マネジメントシステムの審査・監査に従事する方の力量を公平かつ公正に認証するための制度です。実務経験に基づいた知識が必要とされるため、セカンドキャリアに活かせる資格として取得を目指す方が多くなっています。
受験資格は特にありませんが、QMS審査員補として登録されるためには、以下の条件を満たさなければなりません。
・訓練期間を除く常勤での実務経験が7年以上(高等学校以上の卒業者は4年以上)
・申請日までの10年以内に品質マネジメント分野での実務経験が2年以上
・申請日までの5年以内にJRCA承認のフォーマル研修コースを修了
・JRCAが定める審査員倫理綱領の遵守
品質マネジメントシステム審査員(QMS審査員)の有資格者となれば、品質の管理や改善に関わるさまざまな業務を担当できるようになります。
資格を取得するまでには相応の期間が必要ですが、QMS審査員の資格を取得すれば、品質マネジメントを専門に扱うコンサルタントとして活動することも可能です。
ソフトウェア品質技術者資格認定制度(JCSQE)
ソフトウェアの安全性・信頼性を高めることは、企業の競争力強化に不可欠です。万が一、ソフトウェアが品質基準を満たしていなければ、事故のリスクが生じます。
企業が継続的に利益を獲得し、ビジネスを維持・成長させていくには、消費者をあらゆる危険から守らなければなりません。
ソフトウェア品質技術者資格認定制度(JCSQE)は、ソフトウェア品質の改善と確保に関する知識を身に付けたエンジニアを認定するための資格です。
ソフトウェア開発に関わるすべての技術者を対象としており、資格の取得によって、より高度な案件を扱えるようになります。
試験のレベルは、初級・中級・上級の3段階で構成されています。初級と中級は誰でも受験できますが、上級試験はこれまで一度も実施されていません。
難易度はやや高めとなっているものの、ソフトウェアの事故を未然に防ぐことは企業にとって非常に重要な課題であり、高度な知識を身に付けたエンジニアの需要は今後ますます高まると予測されています。
資格認定制度の取得を通して、ソフトウェア品質の専門知識を体系的に学ぶことは、ソフトウェア開発における全体像の理解促進につながります。
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB認定テスト技術者資格は、世界で通用する国際資格です。
さまざまなソフトウェアが身近となった昨今、ソフトウェアテストの需要は拡大しています。
このような状況の中で、テスト技術の向上を目的に行われているのがJSTQB認定テスト技術者資格です。
資格試験のレベルは、Foundation LevelとAdvanced Levelの2つに分けられています。
Foundation Levelは、ソフトウェアテスト技術者の入門と言える立ち位置にあり、誰でも受験できます。
資格の取得を目指して勉強に取り組むことで、ソフトウェアテスト全般の基礎知識を身に付けることが可能です。
Advanced Levelの受験資格は、Foundation Levelの合格と3年以上の実務経験です。
ソフトウェアテストの分野において、高度な知識とスキルを持つエンジニアを対象としているため難易度の高い試験となっています。
JSTQB認定テスト技術者資格を有していれば、テスト技術者として正しい専門知識が備わっていることを証明できるため、自身のキャリアアップや専門性の向上に有用です。
※参照元:JSTQB認定テスト技術者資格
QCサークル指導士資格認定制度
QCサークル指導士資格認定制度とは、QCサークル活動の発展と普及を目的に設けられた制度です。
「QCサークル」とは、製造における品質向上を目的とした取り組みを指します。具体的には、従業員が日常的な業務の中で問題を発見・改善するための活動のことです。
QCサークル指導士資格認定制度の資格保有者は、企業や組織に対してQCサークル活動の指導・育成に必要な知識がある人材として、企業や組織からの信頼が高くなります。
認定試験の対象者は「日科技連が主催するQCサークル推進者コースまたは他機関が主催する同等のコースを修了した方」または「QCサークルに関する特定の実務経験が1年以上ある方」といった条件のいずれかを満たさなければなりません。資格の有効期限は3年とされており、有効期間終了後には更新手続きと併せて費用の支払いが必要です。
※参照元:QCサークル指導士資格認定制度 | セミナーサイト |「品質」に関わるセミナーなら日本科学技術連盟(JUSE)
品質検査員が資格を取得するメリット
品質管理の仕事に関する資格は、個人と企業の双方に多くのメリットをもたらします。
業務で活用できる
資格取得を目指し、勉強に取り組むことで得た知識は、日々の業務に直接役立ちます。
品質管理の基礎から専門的なテクニックまでを習得すれば、製品の生産に関わるすべての部署で改善策を提案することも可能です。
異なる業界の品質管理に対応できるスキルを養えば、自ずとキャリアの選択肢も増やせます。
幅広い知識と実績が評価され、組織内で重要なポジションを任される可能性も高くなるはずです。
知識の証明になる
品質管理関連の資格を取得することは、知識の証明に直結します。
体系的な知識と実践的なスキルが問われる試験の合格は、一定の基準を満たしていることを客観的に証明する材料になるため、企業や顧客に対して信頼性をアピールしやすいのもポイントです。
実務経験を積んでいたとしても、実際に知識を証明するのは困難です。
経験には特定の基準や客観的な評価がないため、知識の幅や深さを正確に伝えづらい場面は多々あります。
資格の保有は、自身のスキルや知識を高めて磨き上げたことの証明として機能します。
品質管理のプロフェッショナルとして、信頼性向上やキャリアの発展を目標に掲げているのなら、自身の目的lに合う資格取得を前向きに検討してみましょう。
転職で有利になる
転職活動に取り組むうえで、資格保有者が有利になるケースがあります。
先述したように、品質検査員の職務を遂行するために必須とされる資格はありませんが、品質管理に関する資格を持っていれば、実用的な知識とスキルが備わっていることをアピールできます。
資格取得は他の応募者と差別化を図れる有効な手段となるため、転職活動を進める際の強みになるはずです。
正しい知識が身に付いていれば、応募先企業の信頼を獲得しやすいため、採用の確率が高まる可能性もあります。
特に品質管理や製造業界では、厳密な品質基準やプロセス改善が求められるため、資格を取得することで転職市場における自身の価値を高めることが可能です。
有資格者による品質検査は、企業全体の品質向上と競争力強化に大きく貢献します。
実際に、多くの企業が従業員の資格取得を奨励し、さまざまなサポートを提供しています。
品質検査員の転職は「メイテックネクスト」
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転職を成功させ、品質検査員として活躍することを考えているのなら、エンジニアに特化した転職支援サービスの弊社「メイテックネクスト」の活用がおすすめです。
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まとめ
品質検査員に必要な国家資格はありませんが、QC検定をはじめ、品質管理の仕事に役立つ民間資格を取得しておけば、品質管理業務を深く理解できます。
また、正しい知識が身に付いていることを証明できるため、転職活動で有利になる可能性もあります。
品質管理関連への転職を考えているのなら、ぜひ弊社メイテックネクストに登録してみてください。
この記事の寄稿者
新卒で総合化学メーカーの三菱ケミカルに技術系総合職として入社。
医薬用包装フィルム製膜ラインの品質管理として製品品質・生産工程の改善業務に従事しました。
対外的には顧客監査及びISO監査対応や市場不具合品のクレーム対応も経験しておりました。
その後、電子部品メーカーに転職し、車載電装部品の品質保証業務に従事。主に設計開発フェーズを担当、IATF16949準拠の品質マネジメントシステムの構築、設計審査会の運営を行っておりました。この経験から、お一人お一人の価値観を尊重し、お気持ちを汲んで精一杯のご支援をさせて頂きます。
転職という人生岐路に立ち会わせていただくにあたり、この先に続く人生を一緒に考えるパートナーでありたいと考えております。
今現在のお気持ちや今後に対する想いなどお聞かせいただければと思います。実際に転職するかどうかは全く気にせず、ぜひ気軽にお声かけください。
- 山東 史典