組み込みエンジニアにおすすめの資格一覧!取得のメリットや勉強方法も解説
組み込みエンジニアとして活躍したい人に向け、役立つ資格や取得するメリットを紹介します。
また、資格勉強方法についても解説します。
なお、組み込みシステムエンジニアは「組み込みエンジニア」と呼ばれるのが一般的です。
本記事でも「組み込みエンジニア」と表記します。
組み込みエンジニアにおすすめの資格一覧
ETEC(組込み技術者試験制度)
ETEC(Embedded Technology Engineer Certification)は、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が実施する資格試験です。
組み込みシステム開発に必要な知識とスキルを評価するもので、クラス1とクラス2の二つのレベルがあります。
クラス2は、上級者の指導の下で適切な組み込みシステムを開発できる能力を証明するものです。
クラス1は、中級技術者として設計からテストまでの全工程を理解し、独立して作業を行える能力を証明します。
クラス1を受験するには、クラス2で500点以上取得する必要があります。
クラス1、クラス2どちらも合否判定は行いません。結果は点数に応じたグレードA~Cのランク分けで示され、グレードによって受験者の理解度や能力が測られます。
組み込みシステムの全般的な知識を身につけられるため、実際の現場でも役立ちます。
※参照元:ETEC(組込み技術者試験制度) JASA(一般社団法人 組込みシステム技術協会)
JSTQB認定テスト技術者資格
JSTQB(Japan Software Testing Qualifications Board)認定テスト技術者資格は、ソフトウェアテストの専門知識を証明する国際的な資格です。
ソフトウェアテストの技術力向上を目的とした認定制度であり、国際ソフトウェアテスト資格認定委員会の日本加盟組織JSTQBが実施しています。
ソフトウェアテストの基礎から高度なテスト技術までをカバーし、テストエンジニアやQAエンジニアとしてのスキルアップに役立ちます。
JSTQB資格は、Foundation Level(基礎レベル)とAdvanced Level(上級レベル)に分かれており、資格取得によってソフトウェアテストの共通理解が深まり、チーム内でのコミュニケーションが円滑になります。
※参照元:JSTQB認定テスト技術者資格
OCRES(OMG認定技術者資格試験)
OCRESは、OMG™(Object Management Group)が提供する組み込みシステムに特化した資格試験です。
世界130カ国以上で実施されている、グローバルな資格試験です。
試験はモデリングの世界基準である「BPM」「SysML」「OMG」の3種類があります。
OCRES(OMG認定技術者資格試験)資格を取得することで、リアルタイムや組み込みシステムの専門家としての認知度が高まり、業界内での信頼性が向上します。
「BPM」は初級基礎、中級、上級、「SysML」はモデルユーザー、初級、中級、上級、「UML」は初級、中級、上級に分かれています。
上位レベルの受験するには下位レベルの資格を取得する必要があります。
資格取得者は、リアルタイムシステムの設計やUMLモデリング、組み込みシステム設計・開発において高度な技術力を持つことを証明できるため、キャリアの幅が広がり、より高いポジションや責任のある役割を任される機会が増えます。
※参照元:OMG認定資格試験 日本OMG
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構が主催するエンベデッドシステムスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の一環として実施される国家試験です。
試験は午前Ⅰ・Ⅱ、午後Ⅰ・Ⅱの四つのセクションに分かれており、高度な知識や技能が問われます。
各セクションで60%以上の得点が必要です。
対象者は組み込みシステムの設計・構築・製造を主導的に行う人材であり、中級~上級者向けの試験ですが、合格率は約16%と難易度が高いのが特徴です。
この資格を取得することで組み込みシステムの専門家としての地位を確立でき、年収アップやキャリアアップにつながりやすくなります。
機能・性能・品質・セキュリティの各工程の幅広い知識と理解度が証明できるため、組み込みエンジニアにおすすめです。
※ 参照元:エンベデッドシステムスペシャリスト試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
LPIC・LinuX
LPIC(Linux Professional Institute Certification)とLinuC(Linux技術者認定試験)は、Linux技術者としてのスキルを認定する資格です。
LPICはLPI(Linux Professional Institute)が主催している世界共通の認定資格で、LinuCはLPI-JAPANが主催している日本の認定資格で、より日本市場のニーズに合うように作られている傾向があります。
Linuxの基本操作から高度な管理まで幅広い知識をカバーしており、組み込みシステムで広く使用されるLinuxに関するスキルを証明することが可能です。
LPICはレベル1からレベル3に分かれています。いっぽうLinuCはレベル1~レベル3・システムアーキテクトの四つのレベルがあります。
試験はCBT方式で、通年開催です。Linuxはシステム開発を行う際のOSや、サーバーOSとして利用されることが多く、組み込みエンジニアはOSの知識も求められます。
※参照元:LPI-Japan
※ 参照元:一般社団法人エデュコ
基本情報技術者試験
IPAが運営する国家資格試験、基本情報技術者試験(Fundamental Information Technology Engineer Examination(FE))は、情報処理技術者試験のひとつで、ITエンジニアの登竜門とされています。
内容はプログラミング手法、データベース、サーバー・ネットワーク、ハードウエア、セキュリティなど、ITに関する幅広い基礎知識を問うもので、組み込みエンジニアとしての基礎力を養うのに最適です。
試験は午前と午後の2部構成で、午前は選択問題、午後は記述問題が出題されます。
この試験に合格することで、IT全般の知識を持つことが証明され、組み込みシステムの開発においても役立つスキルを身につけられます。
多くのIT企業では新卒から3年以内で資格取得を推奨しており、合格率は40%前後です。
※ 参照元:基本情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験(Applied Information Technology Engineer Examination(AP))は、基本情報技術者試験の上位に位置する国家資格で、より高度なIT知識と技術を問う試験です。
試験は午前と午後の2部構成で、午前は選択問題、午後は記述問題が出題されます。
合格率は20%前後で、難易度は比較的高めです。ITシステム全般の開発・設計・運用・保守のライフサイクル全般の理解度が評価されます。
応用情報技術者試験は組み込みシステム専用ではないものの、合格することで組み込みエンジニアとしての専門性が高まり、プロジェクトリーダーやマネージャーとしてのキャリアパスが広がります。
※参照元:応用情報技術者試験 | 試験情報 | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
ITパスポート
ITパスポート、通称iパスは、ITに関する基礎知識を問う国家資格であり、ITエンジニアだけでなく、ITを活用するすべてのビジネスパーソンに推奨される資格です。
ネットワーク、セキュリティ、AI・アジャイル開発などITに関連するさまざまなジャンルの知識が求められます。
ITパスポート試験に合格することで、ITの基本的な理解が証明され、組み込みエンジニアとしての基礎力を強化することが可能です。
特に未経験者や新入社員にとっては、ITパスポート試験を通じてITの全体像を把握し、次のステップである基本情報技術者試験や応用情報技術者試験に進むための土台を築けます。
また、経営の内容も含まれているため、組み込みエンジニア以外にもさまざまな職種や業種に役立つ知識を習得できます。
基礎的な内容がメインとなるため、合格率は50%前後と難易度はそれほど高くありません。
※参照元:【ITパスポート試験】情報処理推進機構
組み込みエンジニアが資格を取得するメリット
スキルアップにつながる
組み込みエンジニアが資格を取得するメリットは、資格に関連する技術や知識が深められることや、専門的なスキルアップが期待できることです。
資格試験の勉強を通じて、最新の技術や知識を体系的に学べるため、実務に直結するスキルを身につけられます。
資格取得で身についた知識や技術を現場で活かすことで、実践的な能力も向上します。
キャリアの幅が広がる
資格を取得することで、組み込みエンジニアとしてのキャリアの幅が広がります。
資格は自身のスキルを客観的に証明する手段であり、実績とともに資格をアピールすれば転職や昇進の際にも有利です。
独立する際には、保有資格をアピールすることで顧客からの信頼を獲得でき仕事が受注できる可能性も高まります。
例えばエンベデッドシステムスペシャリスト試験や応用情報技術者試験などの国家資格は、企業からの信頼度が高く、キャリアアップの際の大きなアドバンテージになります。
組み込みエンジニアとして転職を考える場合は、認知度の高い資格を取っておきましょう。
年収アップにつながる
資格を取得することで、年収アップの可能性が高まります。資格は専門知識と技術力の証明であり、企業はその価値を評価するため、資格に対してそれぞれ資格手当の金額が設定されていることがよくあります。
保有している資格によって資格手当の金額は異なりますが、雇用されている間は毎月継続してもらえるため年収アップが期待できます。
特に、エンベデッドシステムスペシャリスト試験やETECなどの高度な資格を持つエンジニアは、企業から高い評価を受けやすく、給与交渉の際に有利に働くことがあります。
さらに資格を持つことで、より高いポジションや責任のある役割を任される機会が増え、それに伴い年収も上昇する傾向があります。
組み込みエンジニアが資格を取得するための勉強方法
書籍で学習する
書籍を使った学習は、組み込みエンジニアが資格を取得するための基本的かつ効果的な方法です。
書籍を使った学習は自分のペースで進められるため、仕事や他の学習と両立しやすい点が魅力です。
書籍には試験の過去問や模擬問題も含まれているので、実際の試験形式に慣れるのにも役立ちます。
ただ、思うように勉強が進まない場合や、途中で挫折したり飽きたりしてしまう場合もあります。
書籍での独学は、モチベーションを維持することが大切です。
学習サイトを活用する
資格についての情報が提供されている学習サイトを活用することも、組み込みエンジニアが資格を取得するための有効な方法です。
資格を実施している団体のWebサイトであれば、掲載されている情報の信頼度が高く、過去問なども確認できます。
例えば、「Progate」や「ドットインストール」などのオンライン学習プラットフォームは、プログラミングや組み込みシステムに関する基礎から応用までの幅広いコースを提供しています。
インタラクティブな学習環境で、実際に手を動かしながら学ぶことができるため、理解が深まりやすいでしょう。
プログラミングスクールを利用する
プログラミングスクールは、組み込みエンジニアが資格を取得するための最も効果的な方法のひとつです。
特に独学での学習が難しい人にとっては、プログラミングスクールがおすすめです。直接講師から話を聞きながら勉強を進められるので、分からないところをすぐに質問でき、効率的な勉強が可能です。
例えば、「Winスクール」や「ウズウズカレッジ」などでは、組み込みシステムやIoTに特化したコースを提供しており、実践的なスキルを短期間で習得できます。
組み込みエンジニアへの転職ならエージェントの活用がおすすめ
ここまでは組み込みエンジニアにおすすめの資格を紹介してきました。
もし組み込みエンジニアへ転職するような場合は、資格取得だけでなく、転職活動を成功させるためのサポートも重要です。
そのようなときには、転職エージェントの活用をおすすめします。
転職エージェントを活用すれば、求職者のスキルや経験に基づいた最適な求人を紹介してもらえます。
特にIT業界やものづくり業界に精通したエージェントであれば、企業の内部情報や選考の傾向を把握しているため、書類添削や面接対策などの手厚いサポートが受けられます。
さらに、年収交渉や条件交渉も代行してくれるため、直接企業に言い出しにくい要望も伝えやすくなります。
「メイテックネクスト」で自分に合った求人を見つけよう
弊社は、エンジニアに特化した転職支援会社で、組み込みエンジニアの支援実績も豊富です。
常時20,000件以上の求人を取り扱っており、大手企業から中小企業、ベンチャー企業まで幅広い選択肢の提案が可能です。
メーカー出身の理系コンサルタントが数多く在籍しており、技術的な知識を持った専門家にて、貴方様の技術を深く理解した上で相談相手としてキャリア形成から一緒に行わせて頂きます。
まとめ
組み込みエンジニアの転職には、客観的な知識やスキルを証明できる資格取得がおすすめです。
実務に直結する最新の専門知識やスキルを向上させられるので、転職を有利に進められます。
また、キャリアアップや年収アップも期待できます。
資格取得の勉強法は書籍や学習サイトを利用するほか、プログラミングスクールの利用も効果的です。
この記事の寄稿者
次のステップへ向かうための転職ですが、希望以上に不安や悩みが大きくなってしまうものだと思います。
その不安や悩みを少しでも求職者様の転職へのエネルギーに変えることができるよう、次のステップでのご活躍を目標に伴走いたします。
- 吉澤さつき