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機械設計エンジニアの平均年収は? 将来性や年収アップの方法

機械設計エンジニアの平均年収は? 将来性や年収アップの方法

「機械設計エンジニアに転職したいが、何をすればよいかわからない」や「機械設計エンジニアとして年収をアップさせたい」という人は少なくないはずです。本記事では機械設計エンジニアの平均年収に加え、特徴や将来性、取得したい資格などについて、わかりやすく解説します。

機械設計エンジニアの平均年収は?

機械設計エンジニアの平均年収は?

厚生労働省が運営している職業情報提供サイト「job tag」によれば、機械設計技術者(機械設計エンジニア)の就業者数は全国で242,820人(令和2年国勢調査の結果)であり、平均年収は606.2万円(令和4年賃金構造基本統計調査の結果)です。ただし地域差が大きく、最も年収の高い神奈川県の758.8万円に対して、最も低い鹿児島県では405.2万円で、その差はなんと353.6万円もあります。

機械設計エンジニアの平均年収は製造業の中では高い

国税庁が公表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者の1人あたりの平均年収は 457.6 万円です。製造業のほかの職種では、例えば電子機器組立が412.7万円、光学機器組立が436.6万円、自動車組立が501.3万円です(いずれも「job tag」掲載の令和4年賃金構造基本統計調査の結果から)。機械設計エンジニアの平均年収は全産業平均に比べて148.6万円高く、ここで例に出した製造業のほかの職種より100万円以上高いことがわかります。


転職サイトなどに掲載される年収ランキングには機械設計関連の企業が入っていないため、機械設計エンジニアの年収も低いと思われがちですが、実態は少し異なります。機械設計関連企業の平均年収が低いのは、多くの企業が工場を保有しており、工場に勤務する(比較的収入が高いとはいえない)工員の年収も含まれているからです。機械設計エンジニアの場合は大学院卒の従業員も多く、初任給はもちろんのこと、年収も押し上げる要因になっています。さらに、機械設計技術者やCAD利用技術者試験などの資格を保有している従業員に対して、手当を支給する企業もあり、年収の上積みが期待できます。



機械設計エンジニアの特徴

機械設計エンジニアとは文字通り、機械を設計する技術者のことです。ただし、ひと口に機械といっても、対象は実に多岐にわたります。スマートフォンやパソコン、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電、精密機械や工作用機械、自動車製造用の機械、果ては巨大プラントまで、さまざまな設計を行います(もちろん1人のエンジニアが、これらすべてを担当するわけではありません)。

実際の仕事内容を大きく分けると、

(1)製品の仕様や構造を決め、部品や資材などを検討する「概念(または構想)設計」

(2)実際に設計図を書き起こす「基本設計」

(3)基本設計を製造可能なレベルに落とし込む「詳細設計」

(4)設計図を量産化対応の状態に仕上げる「生産設計」

の4種類があります。


国内で機械設計エンジニア(機械技術者)として就業している人の状況は以下の通りです。令和2年(2020年10月)に実施された国勢調査の結果によれば、国内で機械技術者として働く女性の割合は全体の5.5%に過ぎず、圧倒的な男性社会となっています。前出の「job tag」によれば、84.8%の人が正規の職員・従業員として働いていますが、契約社員や期間従業員なども15%程度います。全従業員の平均年齢は42.1歳で、平均勤続年数は14.1年、30代から50代(30~59歳)の全従業員に占める割合は72.0%です(令和4年賃金構造基本統計調査の結果から)。

機械設計エンジニアの年収に影響する要素

機械設計エンジニアの年収に影響する要素

年収を大きく左右する要素として挙げられるのが「企業の規模」「年齢や勤続年数」「資格の有無」の三つです。

企業の規模

前出「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、機械技術者の「きまって支給する現金給与額(基本給+各種手当+残業代の額面)」は、企業規模によって次のように変わってきます。

従業員数1,000人以上:42万7,200円

同100~999人:36万2,200円

同10~99人:35万6,400円

特に従業員数が1,000人以上の大企業になると、1,000人未満の中小企業に比べて収入がかなり高くなることがわかります。

年齢や勤続年数

前出「令和4年賃金構造基本統計調査」によれば、「きまって支給する現金給与額」が最も高いのは55~59歳の46万2,500円、最も低いのは19歳以下の19万2,400円です。年齢で見ると、最若年層の19歳以下から55~59歳までは右肩上がりで上昇し、60歳以降は右肩下がりで下降する傾向が見てとれます。勤続年数も19歳以下が1.0年、55~59歳が25.9年と、年齢とほぼ同じ傾向を示しています。機械技術者の収入は年功序列型であることがわかります。


資格の有無

機械設計エンジニアの業務は専門知識や技術が重視されるものであり、資格の有無で就業の可否が判断されるものではありません。同様に収入に直結するものでもありません。ただし、企業によっては資格取得者に対して手当を支給しているところもあるため、資格があれば、その額は上積みされます。資格の取得がマイナスに働くことはなく、取得の過程で知識が増えたり、取得していることによって技術力の高さを証明したりできるため、余裕や意欲があるのであれば、ぜひ、取得することをおすすめします。

機械設計エンジニアの将来性

機械設計エンジニアの将来性

結論からいえば、機械設計エンジニアは今後も必要とされる、将来性のある職種です。

生成AIの一種である「ChatGPT」をはじめとして、現代はAIが急速な進化を遂げています。こうした背景から「機械設計エンジニアの仕事は、AIに取って代わられるのではないか」と危惧する声も聞かれます。実際、製造工場などではすでに数多くのロボットが稼働しており、人間の労働力の代替として欠かせないものになっていますが、これらのロボットの仕事内容と機械設計エンジニアに求められる業務内容は大きく異なります。

上述した通り、機械設計エンジニアの仕事内容は大きく4種類に分けられます。これらの一部がAIに取って代わられる可能性は否定できませんが、すべてを代替することは現代の技術ではほとんど不可能に近いと考えられています。なぜなら、機械設計には創造性が求められるからです。例えば、クライアントや他部署の社員とのやり取りを行うコミュニケーション能力、未知のトラブルを解決する力、新たな製品を生み出すための発想力・想像力など、柔軟な考え方が必要とされる場面は数多くあります。


さらに、今後もAIの労働現場への進出が増えたとしても、実際に製品を製造するのは機械(ロボット)であり、省力化が進めば進むほど、機械設計エンジニアの需要は高まるという構図もあります。



機械設計エンジニアの年収アップにつながる方法

機械設計エンジニアの年収アップにつながる方法

機械設計エンジニアとして年収のアップを図るには、

(1)年収の高い企業に転職する

(2)実務経験を積んでキャリアアップする

(3)資格を取得する

の3つの方法が考えられます。

年収の高い企業に転職する

前述した通り、機械技術者(機械設計エンジニア)の年収は企業規模によって左右されます。特に従業員数1,000以上の大企業勤務だと、999人以下の中小企業に比べてかなり収入が高いため、もし中小企業に勤務しているのであれば、大企業への転職は有効な方法のひとつです。


特に同業種に転職する場合には、前職の実績や経験が転職後にもすぐに役立つ可能性が高くあり、転職活動時にもアピール材料として使えます。ただし「機械設計」といっても、実際の仕事内容が幅広いことは前述した通りです。転職先企業や自分自身に対する分析をしっかりと行ったうえで転職活動を進めないと、転職先でミスマッチが発生してしまうばかりか、それによって年収がダウンしてしまうおそれもあります。


エンジニアの転職活動の進め方については、以下の関連記事に詳細が掲載されています。ぜひ、参考にしてください。



実務経験を積んでキャリアアップする

現在勤めている企業で実務経験を積み、キャリアアップして年収を上げるという方法もあります。

前述した通り、機械技術者の収入は年功序列型であり、勤続年数を重ね、年齢が上がるほど、平均給与も上がる傾向があります。これに加え、自身のスキルアップを図ることで、さらなる収入のアップを目指せます。例えば、

・生産技術や電気制御など、幅広い経験を積む

・CADソフトウェアや3Dプリンター、CNCマシンなどを操作できる、高度やスキルを身につける

・熱力学、流体力学、材料科学などの工学知識を習得する

・英語力を身につける

といったことが実現できれば、高い役職に抜擢されたり、有力なプロジェクトに参加できたり、海外企業との交渉の窓口になったりすることで、収入のアップにつながる可能性があります。

資格を取得する

前述した通り、機械設計エンジニアは資格が必須の職種ではありませんが、企業によっては資格手当が支給されることがあるほか、転職時においては知識や技術力の高さの証明にもなります。取得してマイナスになることはありませんので、ぜひ、チャレンジしてみてください。

例えば、一般社団法人日本設計工業会(JMDIA:Japan Mechanical Design Industries Association)のサイトでは、資格手当給付企業を紹介していますが、機械設計技術者試験の資格取得者に対して、1級の場合は年額24万円、2級の場合は同12万円を支給期間の制限なしで支給してくれる企業もあります。機械設計技術者試験1級は合格率が4割を切る、難しい資格ですが、取得できれば、勤続中は月2万円が支給されるため、収入面では大きなプラスとなります。

参考:令和5年度 機械設計技術者試験受験者数と合格率|(一社)日本機械設計工業会


以下では、機械設計エンジニアにおすすめの資格を三つ紹介します。

CAD利用技術者試験

CADエンジニア育成のための検定試験が「CAD利用技術者試験」です。一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)が実施しています。「2次元CAD利用技術者試験(1級・2級)」「3次元CAD利用技術者試験(1級・準1級・2級)」の2種類があり、さらに2次元CAD利用技術者試験1級は「機械」「建築」「トレース」の3種類に分かれています。上述した詳細設計ではCADを使用する機会も多く、実務にも役立つ資格です。

CAD上では、3Dモデルの作成や編集など、多くの作業が行われるため、高度なCADのスキルがあれば、給与のアップが期待できます。CAD利用技術者試験はCADに関する資格のなかでも代表的であり、取得していれば就職や転職時のアピール材料になります。



【機械設計技術者】

機械設計技術者の技術力向上と社会的評価の適正な確立を図るための民間試験で、前出の日本機械設計工業会が実施しています。資格取得者は、製品に必要な原料の選定や作図の方法、試作品の安全性の評価など、機械設計業務において一定の評価が得られます。試験には1級・2級・3級があり、合格率はそれぞれ36.4%、40.8%、47.1%です(令和5年度)。


受験資格としては、2級以上では実務経験が必要です(3級は実務経験がなくても受験可能)。1級は2級に合格した次年以降から受験できるようになります。試験内容では、1級の場合、学科と実技試験に加えて1,200~1,600文字の小論文が出題されます。


参照元:試験概要と出題科目|機械設計技術者試験|(一社)日本機械設計工業会



【機械・プラント製図技能士】

機械製図やプラント製図(プラント配管製図)に従事する技術者を対象にした国家資格です。各都道府県職業能力開発協会が実施しています。機械製図とは機械工学で使用する装置などの部品図や組み立て図の作成のこと、プラント製図とはプラント施設の設備機器などの部品図や組み立て図の作成のことです。本資格は特に機械設計分野において重要視されており、取得者は幅広い業務を任せてもらえる可能性があります。

試験内容としては、学科試験とCADを使用する実技試験があり、製図のスキルだけでなく、機械に関する知識なども求められます。1級から3級まであり、2級を受験するには3級の合格または2年以上の実務経験が求められ、1級を受験するには2級合格後2年あるいは3級合格後4年以上の実務経験、または7年以上の実務経験が必要です。

合格率は実施年によってかなりばらつきがあり、2019年は25.5%、翌2020年は48.4%でしたが、2022年は43.3%です。


参照元:実施職種・試験概要(実技試験及び学科試験) : 中央職業能力開発協会(JAVADA)

参照元:機械・プラント製図技能士【試験日】合格率や難易度 | 資格の一覧 JQOS.jp 

機械設計エンジニアの転職なら「メイテックネクスト」

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この記事の寄稿者

機械設計エンジニアは将来性のある職種であり、技術者が転職を考える際におすすめです。平均年収も製造業のなかでは高く、全産業の平均と比べても約150万円高い収入があります。さらに、大企業などへの転職、キャリアアップ、資格取得などで収入をさらに増やすことが可能です。

高見澤希
高見澤希

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