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自動車車体整備士とは?仕事内容・年収・主な就職先を解説

自動車車体整備士とは?仕事内容・年収・主な就職先を解説

自動車整備に関する資格にはさまざまなものがあります。そのなかでもニーズの高い資格のひとつが自動車車体整備士です。この記事では、自動車車体整備士の仕事内容や年収、キャリアプラン、受験の際の試験内容などについて詳しく解説します。

自動車車体整備士とは

自動車車体整備士とは

自動車車体整備士は、車体整備士とも呼ばれます。主に自動車の車体であるフレームやボディの修理・点検・整備を専門に行う技術者のことです。交通事故などによって損傷を受けた車体を修復し、再び安全に走行できる状態に戻すことを主な業務としています。

自動車車体整備士は特殊整備士と呼ばれる国家資格のひとつです。特殊整備士には自動車車体整備士のほかに自動車タイヤ整備士と自動車電気装置整備士があります。



自動車車体整備士とよく似た名称に自動車整備士がありますが、資格や仕事内容は異なります。

エンジンや内部部品を中心に点検や整備を行う自動車整備士に対し、自動車車体整備士はフレーム(骨組み)やボディ(外板)といった自動車の車体に特化して修復を行います。車体整備士を含む特殊整備士は各分野のプロフェッショナルではあるものの、自動車の保安部位における分解整備を単独で行うことはできません。

自動車車体整備士の仕事内容

自動車車体整備士の仕事内容

自動車車体整備士は、自動車の安全性確保においても非常に重要な仕事を担います。仕事内容は大きく車体の点検・整備、板金・塗装作業、車体の分解・組立に分けられます。

ボディやフレームが歪んでいると、ただ見た目が悪くなるだけではありません。自動運転や自動ブレーキのような安全装置が作動するためのセンサーやカメラにも影響が出る恐れがあります。

車体の点検・整備

車のフレームやボディの状態を確認し、必要な場合には修理やメンテナンスを行います。

点検では事故や経年劣化による損傷を見つけ出し、車体の錆びや塗装の剥がれなどを確認します。また、高度なコンピューターによる調整ツールを使って車体や外装パーツが歪んでいないかも確認します。

点検後は、見つかった問題を修正し車が安全に走行できる状態に戻します。

板金・塗装作業

板金・塗装作業とは、事故などで損傷した車体のパネルを修復し、元の形状に戻すことです。ハンマーやフレーム修正機を使って車体の歪みを直し、必要に応じてパーツの交換を行います。

板金作業には大きく3つの工程があります。

「外板板金」では外側のパネルを修復します。フレームにまで歪みが生じている場合には「内板骨格修正」もしなければなりません。「フレーム修正」や「ボディ修正」と呼ばれることもあります。さらに、パネルが大きく損傷している場合は「パネル取替」を行います。

これらの工程において、多くの場合は塗装を剥がすことになります。そのため車体整備士は板金作業だけでなく、修復した部分に塗料を塗布し、車全体の色と調和させる塗装作業も行います。

車体の分解・組立

車体整備士は自動車の分解・組立作業も行うことがあります。まずは損傷した部分を修理するためにドアやボンネット、バンパーといった外装を部分的に解体して内部構造を確認します。終了後は、修理や塗装が完了したパーツを元の位置に戻し、車全体を組み立て直します。

自動車車体整備士の年収

自動車車体整備士の年収

自動車車体整備士の給与については、残念ながらデータがありませんが、厚生労働省が運営している職業情報提供サイトjobtagによると、2023年度における自動車整備士全体の全国平均年収は487.6万円でした。国税庁が発表している2022年度の日本の給与所得者の平均年収が約458万円であることを踏まえると、平均より高い水準です。

規模の大きい企業に就職した場合は年収500万円を超えることも少なくありません。また、労働時間が比較的長めなカーディーラーの場合、そうでない場所で働く整備士よりも年収が高い傾向にあります。

年収をアップさせるためには技術や経験を積み重ね、上級資格や関連資格を取得したり、社内でキャリアアップしたりすることが大切です。自動車整備士の資格を取得すれば仕事の幅が広がり、年収アップの可能性が生まれます。また、マネジメント能力を身につけて管理職になることも年収アップが見込めます。


参照元:jobtag|自動車整備士

参照元:国税庁|令和4年分民間給与実態統計調査結果について

自動車車体整備士の主な就職先

自動車車体整備士の主な就職先

自動車整備工場

自動車車体整備士の就職先としてまず挙げられるのは、自動車整備工場です。自動車整備工場を開業するためには地方運輸局長の認証がなければなりません。この認証を受けるためには資格を持った工員が一定数以上在籍していること、という条件があります。

自動車整備工場には認証工場と指定工場の2種類があります。認証工場で行うのは分解整備のみですが、指定工場は「民間車検場」とも呼ばれており、車検も行います。

自動車整備工場で行うのは、事故などによって損傷した車体の修理や内部の整備、定期的なメンテナンスなどです。このうち車体整備士は車体の点検や整備、修理などを担当します。実際の仕事内容は工場の規模などによって異なるため、就職や転職活動の際はしっかり情報収集を行いましょう。


カーディーラー

カーディーラーとは、自動車の販売店のことです。一般的に、自動車メーカー直営の販売店や、自動車メーカーと特約店契約を結んだ正規販売店を、ディーラーや正規ディーラーと呼びます。そのほか、複数のメーカーを販売しているサブディーラーや中古車を取り扱う中古車ディーラーがあります。


多くのカーディーラーでは、新車や中古車の販売後のアフターサービスとして車体の点検や整備を行っています。そのため、カーディーラーに就職して車検や定期点検、修理などを担当している車体整備士も多くいます。

カーディーラーに就職するメリットとして、特定のメーカーの車種に特化した技術を習得できることが挙げられます。また、自動車整備工場と違い、最新の技術や設備を使用して作業することも少なくありません。ただし、自動車整備工場と同じように、実際の業務内容は就職先企業によって異なります。カーディーラーの場合も情報収集が欠かせません。


板金塗装工場

板金塗装工場は板金塗装修理工場や板金修理工場とも呼ばれます。また、親しみを込めて板金屋さんと呼ばれることもあります。

自動車整備工場との最も大きな違いは、板金塗装工場には自動車整備士が必ずしも在籍していなくてもよい、ということです。そのため、板金塗装工場でエンジンなどの内部部品を扱うことはありません。事故などで損傷した車体の歪みを修正したり、ドアやバンパー、ボンネットといった外部パネルの交換・修復を行ったりします。また、それらの修理箇所に塗料を塗り、元の色に戻す作業も行っています。自動車車体整備士の資格を持っていれば、こうした工場の板金工として働く際に重宝されます。

自動車車体整備士資格を取得するメリット

自動車車体整備士資格を取得するメリット

自動車整備工場や板金工場などに就職する際、必ずしも自動車車体整備士の資格取得が必須というわけではありません。しかし、国家資格である自動車車体整備士の資格を取得しておけば、さまざまな面でメリットがあります。


参照元:jobtag|自動車整備士



専門的な知識と技術を証明できる

資格を取得していることのメリットとしてまず挙げられるのは、資格は自身が有する専門的な知識や技術の証明になるということです。自動車車体整備士の資格を取得するためには、自動車のフレームやボディの修理・点検・整備に関する学科・実技試験に合格しなければなりません。さらに、試験を受けるためには実務経験も必要です。そのため、資格取得は専門的な知識と技術、実務経験の証明につながります。

また、企業によっては資格手当や職能手当を用意しているところもあるので、収入アップにもつながります。


転職で有利になる

車体整備の技術は業界内で重要性が高まってきているため、資格取得は転職にも有利になると考えられます。たとえば、近年ではカーディーラーも整備工場や板金塗装工場の業務を行うビジネスモデルを展開しています。また、自動車のフレームやボディは基本的に交換の難しい部品であることから、それらを修理できる人材のニーズは年々高まっています。特に、高度な技術を要する車体修理や修復を行える車体整備士は、多くの工場やカーディーラーから引く手あまたです。

将来性が見込める

2021年の世界新車販売台数の約50%にドライバーの運転操作を支援する機能や、技術の総称を指す先進運転支援システム(ADAS)ADAS/自動運転システムが搭載されており、2030年にはその数が約80%まで上昇すると予測されています。

こうした状況に伴い、車体整備の重要性はますます高まっています。なぜなら、これらの新技術を正確に作動させるためには、車体の精密な修理や調整が必要不可欠だからです。そのため高度な知識と技術を有する車体整備士の需要は、今後も増加することが予想されます。


参照元:日本経済新聞プレスリリース

矢野経済研究所、自動運転システムの世界市場に関する調査の結果を発表

自動車車体整備士資格の試験内容・合格率・難易度

自動車車体整備士資格の試験内容・合格率・難易度

自動車車体整備士資格の試験内容

試験は学科試験と実技試験から構成されています。学科試験で出題されるのは、自動車のフレームやボディの構造・材料に関する問題が15問、板金および溶接に関する問題が15問、塗装・ぎ装および整備用機器に関する問題が7問、法規に関する問題が3問です。1問につき1点で、合格基準は合格発表時に公表されますが、例年、28点以上(70%)が合格基準となっています。実技試験では、車体の分解・組立、板金作業、塗装作業など、実際に車体の修理や整備を行う技術が問われます。

注意するべきポイントは、自動車車体整備士の試験には、国土交通省が実施する技能検定試験と、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(日整連)が実施する登録試験の2種類があるということです。また、国土交通省が実施している技能検定試験は実技試験のみのため、技能検定試験を受けた場合は日整連が実施している登録試験の学科試験を受験しなければなりません。一方、日整連が実施している登録試験に合格した場合、国土交通省が実施する技能検定試験は2年間免除されます。ただし、免除を受けるためには有効期間内に各都道府県の自動車整備振興会で免除申請手続きが必要となるので注意しましょう。

日整連が実施している登録試験は年に2回です。学科試験を10月に受けた場合は1月に実技試験、学科試験を3月に受けた場合は8月に実技試験が行われます。技能検定試験の開催日は毎年12月頃です。

受験するためには学歴や所有する資格によって定められた実務経験が必要であることも覚えておきましょう。

自動車車体整備士資格の合格率

自動車車体整備士資格の合格率は決して低くはありません。毎年90%前後の合格率を維持しており、年によっては95%を超えることもあります。ほかの自動車整備士関連の資格と比べても取得しやすい資格です。自動車特定整備事業の開始によって車体整備士の資格の重要性が増していることから、今後も受験者数と検定合格者は増加していくと予想されます。

自動車車体整備士資格の難易度

合格率の高さからもわかるように、自動車車体整備士資格の難易度はほかの自動車整備士資格と比べるとやや低めです。その理由としては、試験内容が実務に基づいていることが考えられます。そのため、豊富な実務経験を持つ受験者にとっては比較的取り組みやすい内容です。


しかし、車体の構造や修理方法、使用する材料や工具に関する知識が必要となるなど、出題される試験範囲は広めです。

対策としては、無料で公開されている過去問題とその解答をしっかり確認しておくことです。

さらに、実技試験では高度な技術が求められるので、まだ実務経験が浅い受験者だと難易度が高く感じるかもしれません。

自動車車体整備士の転職なら「メイテックネクスト」

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この記事の寄稿者

自動車車体整備士は、自動車の外装整備のスペシャリストです。その重要性は年々高まっているため、資格を取得すれば自動車整備工場やカーディーラーなどへの転職にメリットがあり、年収アップの可能性も高まります。

車体整備士としての転職には、希望に合った条件を探しやすい、製造業のエンジニアに特化した転職支援サービスの利用も有効です。

山田伸子
山田伸子

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