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化学系の研究職はどんな仕事?仕事内容・年収・資格を徹底解説

化学系の研究職はどんな仕事?仕事内容・年収・資格を徹底解説

化学系の研究職は、化学の知識を活かして新しい材料や化学プロセスの発見、化学製品の開発・改良に取り組む専門職です。

ひと言で化学研究といっても、基礎・応用・開発では対象も仕事内容も異なります。

本記事では、化学系の研究職の具体的な仕事内容や平均年収、さらにキャリアアップに役立つ資格などについて解説します。

化学系の研究職の仕事内容

化学系の研究職の仕事内容

化学系の研究職は、科学の進展と技術革新、さらには日常生活の利便性の向上などに貢献しており、重要な役割を担う職業です。


例えばプラスチックや合成ゴム、合成繊維などから作られる製品、化粧品や医薬品など、世にあふれるさまざまな製品の研究・開発に関わっているのが化学系研究職です。

ひと言で研究職といっても「基礎研究」「応用研究」「開発研究」の三つがあり、それぞれ仕事内容も研究方法も異なります。


これらは、それぞれ異なる目的と手法をもちながらも相互に関連しあい、科学・技術の進歩と実社会での応用に貢献しています。


以下では、それぞれの具体的な内容について解説します。

基礎研究

文部科学省のサイトに掲載されている「民間企業の研究活動に関する調査-用語の解説」によれば、基礎研究とは

”特別な応用、用途を直接に考慮することなく、仮説や理論を形成するため、もしくは現象や観察可能な事実に関して新しい知識を得るために行われる理論的または実験的研究”同サイトから引用)であると説明されています。


言い換えると、用途や利益は直接追求せずに、仮説や理論の確立、知識の獲得のために行われる研究のことです。


基礎研究で得られた仮説・理論・知識は、後述する応用研究の土台となり、将来的な技術革新の基盤を築く重要な役割を果たします。

化学系基礎研究を担う研究者は、新しい化合物の構造や反応機構を解明するための研究などを通じて、日々未知の領域を探求し続けています。

応用研究

上記の文部省の「用語の解説」によれば、応用研究とは”基礎研究によって発見された知識等を利用して、特定の目標を定めて実用化の可能性を確かめる研究、およびすでに実用化されている方法に関して、新たな応用方法を探索する研究”同サイトから引用)であると説明されています。


簡潔にいえば、基礎研究で得られた知識・方法から、実用化や新たな応用方法を模索する研究のことです。

応用研究は、企業や社会が直面する特定の問題を解決するために行われることが多く、具体的な目標に向けて実践的なアプローチを取ります。


例えば、新しい医薬品の開発や環境保護技術の改良などが応用研究の一例です。

開発研究

上記の文部省の「用語の解説」によれば、開発研究とは”基礎研究、応用研究、および実際の経験から得た知識の利用であり、新しい材料、装置、製品、システム、工程等の導入または既存のこれらのものの改良をねらいとする研究開発”同サイトから引用)であると説明されています。


簡潔にいえば、基礎研究・応用研究の結果から、新しいサービスや製品を作り出す研究です。

開発研究の一例としては、次世代バッテリーの技術開発や新素材の創製などが挙げられます。

化学系の研究職の平均年収

株式会社カカクコムが運営する求人情報検索サイト「求人ボックス」によれば、化学研究職の平均月給は約29.0万円です。


また、パーソルキャリア株式会社が運営する転職情報サイト「doda(デューダ)」によれば、素材・化学・食品系の研究・開発職の年収は468.7万円です。

国税庁が公表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」では、給与所得者の平均年収は458万円です。


すべてが異なる調査の結果で、化学系研究職に限定したデータでないものもあって、一概にいうことはできませんが、化学系研究職の平均年収は、国内給与所得者の平均とほぼ変わらないと考えられます。

これらの金額はあくまで平均です。

高度な専門知識や実績をもつ研究者であれば、上記の給与額より高い報酬を得ています。


例えば、特定の分野での経験が豊富な研究者や、重要なプロジェクトをリードできるスキルをもつ人材であれば、企業から高く評価され、年収も相応に高くなります。


転職情報サイトなどに掲載されている案件を見ても、実際に月給70万円(年収換算で1,000万円程度)以上の求人も存在しています。


実力があれば、こうした高収入のポジションを目指すことも可能です。

化学系の研究職に向いている人の特徴

化学系の研究職に向いている人の特徴

基礎研究にしろ、開発研究にしろ、化学系の研究職に就くには、一定の素養が必要であり、向き・不向きもあります。

この職種に向いている人には「化学に興味と探求心がある」「協調性がありコミュニケーション能力が高い」といった特徴があります。

化学に好奇心と探求心がある人

まず、ひとつめの特徴が、化学に対する強い好奇心と探求心をもっているということです。


研究職には、新しい知識や技術を発見したり、その結果を応用したりといったことが求められます。

そのためには、起こった事象に対して常に「なぜ?」と、疑問をもち続ける姿勢が必要です。


研究職に就いている人は、新素材の開発や新しい化学反応の発見など、未知の領域に挑戦することが多く、強い探求心が欠かせません。


化学に対する好奇心が強ければ、長期間にわたる研究に屈することはなく、試行錯誤も逆に楽しめてしまいます。

このような姿勢の人の研究は、結果として高い成果につながる可能があります。

協調性がありコミュニケーション能力が高い人

二つめの特徴が、協調性があって、コミュニケーション能力が高いことです。


研究の進捗報告や成果発表、他部門や外部機関との連携など、研究職であってもさまざまな場面で効果的なコミュニケーションが求められます。

研究結果をわかりやすく報告書にまとめたり、プレゼンテーションを行ったりする能力も、研究の成果を正確に伝えるためには重要です。

さらにプロジェクトは単独で行うことはほとんどなく、複数の研究者がチームを組んで進めるものであって、各メンバーがそれぞれの専門知識を持ち寄って協力することが求められます。


新製品の開発でも基盤技術の研究でも、異なる分野の専門家と連携しながら進めることが多く、互いの意見を尊重しながら、効果的にコミュニケーションを取る能力が必要です。


チーム内で日常的に協力しあう場面は多く、協調性が高ければ、チーム全体の生産性向上にもつながります。

化学系の研究職に必要なスキル

化学系の研究職に必要なスキル

化学は広範な対象をもつ学問分野であり、例えば無機化学、有機化学、物理化学、化学工学、分析化学、生化学など、多岐にわたる専門分野があります。


個々の研究者は、これらの分野のうち、特定の領域に特化した研究を行うことになります。

例えば、高分子材料の開発なら有機化学や高分子化学、医薬品開発なら有機化学や生化学、環境分析なら分析化学であり、それぞれの研究分野に対して深い知見が必要です。


高度な専門知識を身につけるには、大学院での研究が不可欠です。

さらに研究職に就いてからも、最新の研究動向を常に把握し、新しい知見を吸収し続ける姿勢が求められます。

分析スキル

化学に限った話ではありませんが、分析スキルは研究に欠かせない重要な要素です。


化学分野においておもな分析手法としては、核磁気共鳴分光法(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)、質量分析法(Mass Spectrometry:MS)、赤外分光法(Infrared Spectroscopy:IR)、紫外可視分光法(Ultraviolet-Visible Absorption Spectroscopy:UV-Vis)といった分光学的手法や、クロマトグラフィー(Chromatography)、電気化学的手法、X線回折法(X-ray Diffraction)などがありますが、これらの分析手法の原理を理解し、得られたデータを適切に解釈する力が求められます。


さらに、目的に応じて最適な分析手法を選択し、実験条件を最適化する能力も必要です。

分析スキルは、正確なデータから仮説を検証し、新たな発見を導くために不可欠です。

忍耐力

研究は試行錯誤の連続です。実験は必ず想定通りの結果が出るとは限らず、逆に行き詰まってしまうことの方がはるかに多いかもしれません。


新規材料の合成や新しい反応の開発などでは、数か月、時には数年の歳月をかけて取り組むこともめずらしくなく、長期にわたって研究を粘り強く続けていく忍耐力は研究職には不可欠です。


失敗を恐れず継続的な実験を行えば、革新的な発見や成果を得る可能性が高まります。

発想力・応用力

化学系の研究職では、新しい材料や反応を生み出す創造性が極めて重要であり、発想力と応用力とが求められます。


既存の概念にとらわれることなく、斬新な視点から物事を捉え直せば、革新的なアイデアが生まれるかもしれません。

発想力や応用力を養うには、さまざまな分野の知識を広く吸収することが重要です。


異分野の研究者と積極的に議論を重ね、互いの考え方の違いを知り、知見を共有することも有効な方法です。


これらは、異なる視点から新しい発見をしたり、応用方法を見つけたりすることに大いに役立ちます。

発見とは既存の知見の新しい組み合わせの結果であるためです。

化学系の研究職におすすめの関連した資格

専門知識と技術が求められる化学系の研究職ではありますが、必須の資格はありません。

とはいえ今後のキャリアを広げていくために、必要に応じて以下の資格取得を検討してみることもおすすめします。

化学分析技能士

化学分析技能士は、職業能力開発促進法にもとづいて実施されている技能検定(化学分析)の合格者の呼称であり、国家資格です。


各都道府県の職業開発能力協会が実施しています。

有資格者は、化学製品の安全性や環境への影響を評価するために必要なスキルがあることを証明できます。


1級、2級、3級があり、それぞれ受験資格や試験内容が異なります。

1級は高度な技術と知識をもつ専門家向けで、職業訓練指導員や労働安全コンサルタントの資格取得にも役立ちます。


2級は中級レベルの技術者向けで、実務経験が必要です。

3級は初級者向けで、受験資格に実務経験が問われません。


化学分析の基礎を学ぶための第一歩としてもおすすめです。

2022年度の全級平均の合格率は62.5%でした。

化学工学技士

化学工学技士は、公益社団法人化学工学会が実施している民間資格です。

化学工学分野での高度な専門知識と応用能力をもつことを証明できます。


有資格者は企業内外での信頼性が向上し、キャリアの幅が広がります。

受験資格には化学工学分野での15年以上の実務経験が必要ですが、化学工学技士の資格を保有していれば10年以上の実務経験で受験できます。


審査は書類審査、論文審査、面接審査の三段階で行われ、業務履歴や活動リスト、資格などが評価されます。


危険物取扱者

危険物取扱者は、一般財団法人消防試験研究センターが実施する、危険物の取り扱いに関する知識と技術を証明する国家資格です。


1年間に4回実施されています。

有資格者は、化学工場や製造業、消防関連の職場での安全管理業務に従事できるようになります。


甲種、乙種、丙種の3種類があり、それぞれ取り扱える危険物の範囲が異なります。

甲種は最も高度な資格で、すべての危険物を取り扱うことができ、定期点検や保安の監督を行えます。


乙種(第1類から第6類まであります)は特定の危険物のみを取り扱うことができ、丙種はさらに限定された範囲の危険物を取り扱えます。

令和6年4月に実施された試験では、甲種の合格率は44.8%、乙種全体で49.8%、丙種は61.0%、全体で49.8%でした。


技術士(化学部門)

技術士(化学部門)は、技術士法にもとづいて文部科学省が指定し、公益社団法人日本技術士会が実施している国家資格です。


科学技術に関する高度な専門知識と応用能力をもつことを証明できます。

有資格者は、技術者としての社会的評価が高まり、キャリアの幅を広げられます。


第一次試験と第二次試験とがあり、第二次試験に合格することで取得・登録できます(第一次試験に合格すれば技術士補に登録できます)。


第一次試験は基礎科目、適性科目、専門科目の3科目で構成され、第二次試験では筆記試験と口頭試験によって専門的知識と応用能力とが問われます。

2023年度の合格率は18.6%でした。

化学系の研究職に転職するなら「メイテックネクスト」

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化学系の研究職の転職成功事例

・28歳 化成品メーカー 開発職(560万円)⇒ 化成品メーカー 研究職(650万円)

・29歳 電子部品メーカー 基礎研究(530万円)⇒ 完成品メーカー 企画職(600万円)

・32歳 製紙メーカー 開発職(550万円)⇒ 素材メーカー 開発職(800万円)

・28歳 大手素材メーカー 開発職(760万)

この記事の寄稿者

化学系の研究職には、基礎研究、応用研究、開発研究があり、それぞれで研究方法も仕事内容も異なります。

同職の平均年収は、国内給与所得者の年収とほぼ同等だと考えられますが、スキルや経験があれば、より高い年収をねらうことも可能です。

化学系の研究職について、メイテックネクストでは、同業界×同職種への転職だけでなく、素材メーカーからデバイス・完成品メーカーへ、あるいは、アカデミアから事業会社への転職など、異業界×異職種への転職支援実績を数多く持ちます。

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甲斐 由美
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