組み込みシステムのエンジニアの志望動機はどう書く?コツや注意点
組み込みシステムエンジニアの需要は高まっており、IoTやAIなど最新のIT技術に不可欠な職種です。ここでは、組み込みシステムエンジニアに転職したい方に向けて、採用に結びつく志望動機の書き方のコツや注意点をご紹介します。
なお、組み込みシステムエンジニアは「組み込みエンジニア」と呼ばれることも多くあるため、本記事では以降そのように表記します。
組み込みエンジニアの志望動機を書く際のコツ
志望動機が漠然としていると、ほかの応募者との差別化が図れず、採用担当者の目に留まりにくくなります。以下に志望動機に含めるとよいポイントをまとめましたので、ご自分の志望動機と比較してみましょう。
IT業界を選択した理由を明記する
組み込みエンジニアの志望動機を書く際には、どうしてIT業界を選んだのか、その理由を明確に伝えることがポイントです。IT業界の現状や将来性についてどう考えているか、どのような点に魅力を感じているかをなるべく具体的に記載します。
例えば、デジタルトランスフォーメーション(DX)に興味があり、IT業界がその中心にあることを理由に挙げられるでしょう。
また、IT業界が多様なニーズに対応できることや、技術の進化が速く、常に新しい挑戦ができる環境であることなどを強調するのもおすすめです。
その企業を選んだ理由を明確にする
志望動機を記入する際には、その企業を志望した理由を明記にすることが大切です。ただ単に「組み込みエンジニアとして働きたい」というのではなく、「その企業で組み込みエンジニアとして働きたい」理由を明確に打ち出す必要があります。
まず、志望企業のホームページなどから情報収集し、特にどのような理念や製品を重視しているのかをリサーチします。そのうえで、「○○という企業の理念やビジョンに共感した」や「企業が提供する○○という製品やサービスの△△な点に魅力を感じた」など、気に入った点を具体的に挙げましょう。
例えば、企業の勉強会に参加して感銘を受けた経験や、企業の社会貢献活動に共感したエピソードなどを盛り込めます。
そのようにして、企業との相性のよさをアピールし、他の志望者と差別化を図りましょう。
「この人はうちの会社で働きたいのだな」と採用担当者から好印象になりやすいです。
また、企業の成長性やIT市場でのポジションを評価して、自分のキャリアビジョンと企業が一致していることを示すことも重要です。
その企業を選んだ理由は採用担当者に注目されやすいので、志望企業についてしっかりとリサーチを重ねて、応募したことに整合性が感じられる理由付けを記入するようにしましょう。
入社後に生かせるスキル・経験をアピールする
志望動機には、入社後に生かせるスキル・経験を具体的にアピールすることが大切です。過去の職歴で培った制御設計の経験や、開発実績、特定のプログラミング言語に精通しているなど、自分の持っている知識やスキルのレベルを正確に伝えます。資格や技術的なスキルを具体的に挙げて、即戦力として自分をアピールしましょう。
また、組み込みエンジニアとして働くうえでは、チームメンバーや顧客とのコミュニケーションスキルも求められます。チームでの協働経験があること、問題解決能力や調整力が優れていることなど、ソフトスキルもアピールして、総合的な自分の強みを伝えましょう。
将来性が伝わる内容にする
志望動機は、自分の将来のビジョンやキャリアを含めて将来性が伝わる内容にすることが大切です。
入社後どのような組み込みエンジニアになりたいのか、どのような仕事をしてみたいのかなど具体的に伝えます。
例えば、IoTやAIの普及に伴い、組み込みエンジニアの需要が高まっていることを背景に、自分がその分野でどのように成長して、企業に貢献していきたいのかを述べましょう。
また、応募先の企業の成長戦略や新規事業についてリサーチし、そのなかで自分がどのように貢献できるのかを明確に伝えるのもよい方法です。採用担当者にとって転職者の定着率の高さは大きな関心事ですから、長期的な視点で仕事に対する意欲をアピールすることは効果的と言えます。
組み込みエンジニアの志望動機を書く際の注意点
企業の待遇をメインにしない
正直なところ待遇のよさにひかれて志望する場合でも、志望動機のメインにしないようにします。「福利厚生が手厚い」「在宅勤務に対応している」「まとまった有給休暇が取りやすい」など待遇のよい会社は魅力的です。しかしそれだけを理由にしてしまうと、採用担当者に「この人は待遇のことばかり考えている」と思われてしまう可能性があります。仕事への意欲を感じられないと見られたり、会社都合で待遇や条件が変更してしまったときにすぐに辞めてしまうのではと疑われたりするかもしれません。
企業の待遇や条件面に関しては、補足的な要素として軽く触れるくらいに留め、メインの志望動機には企業への共感や自分の意欲などを記しましょう。応募先企業で自分は組み込みエンジニアとしてどのように貢献できるのか、企業側が知りたいと思う内容をメインにするようにします。
転職の理由はポジティブな内容にする
転職理由を正直に書きすぎてネガティブな印象を与えないようにします。事実と異なることを書くわけでありませんが、ポジティブな表現に言い換えましょう。前職を辞めた理由をそのままネガティブな言葉で表現すると、採用担当者に「我慢のきかない人だ」「うちでも同様の問題が起きたらまた辞めるのでは」とマイナスな印象を与えてしまう可能性があります。
例えば、経営悪化で退職した場合は、「経営が安定している企業で自分のスキルを生かしたい」、人間関係を苦に前職を辞めた場合は「コミュニケーションを密に取れる環境で働きたい」などと言い換えられます。単調な仕事しか任されず苦痛だったなら「組み込みエンジニアとしてスキルを十分生かせる場で働きたい」など、転職をポジティブに捉えた言い回しにできます。
前職の退職理由は「給料が安い」「将来の展望がない」「ノルマ強制がつらい」など不満の内容が多いかもしれませんが、転職理由をポジティブに言い換えて採用担当者に好印象を与えるようにしましょう。
読みやすい文字数にする
志望動機は読みやすい文字数にまとめることがポイントです。志望動機が長すぎると採用担当者が読むのに負担を感じてしまい、本当に言いたいことが伝わりにくくなります。逆に短すぎると志望動機の内容が薄くなり、やる気がないと判断されてしまいかねません。
一般的に志望動機は200~300文字、約5~6行が目安です。また、一文が長いと読みづらくなるので、一文60文字程度までにするのが理想です。採用担当者が読みやすいように、まわりくどい表現は極力避けて、文字数に配慮した志望動機を考えましょう。
受け身すぎる内容は避ける
自信過剰は禁物とはいえ、受け身と取られかねない表現も問題です。「教わることを通じて成長したい」といった表現は、受け身の姿勢を強調してしまうので避けましょう。もちろん学ぶ姿勢は悪くはありませんが、「学ばせてもらいたい」、「教えてもらいたい」など受け身の内容では、入社後に活躍するイメージにつながりません。企業に対して貢献する意欲や能力がないと判断されてしまいがちです。
「自分のスキルを生かして貴社に貢献し、自分もさらに成長したい」といった能動的な表現を用いてみましょう。具体的な目標や意欲を示すことで、採用担当者に積極的な姿勢をアピールできます。
組み込みエンジニアへの転職で有利になるスキル
ここまでは、組み込みエンジニアの志望動機の書き方のコツや注意点をまとめてきました。ここでは組み込みエンジニアへの転職で有利になるスキルや資格について解説します。これらのスキルを志望動機にうまく盛り込むことで効果的なアピールにつながります。
プログラミングスキル
組み込みエンジニアは、組み込みシステムを制御するためのソフトウェア開発が主な業務であり、高度なプログラミングスキルが求められます。特に、C言語の習得は組み込みエンジニアとして働くためには最低条件と言われるほど重要です。C言語のほか、C++、アセンブリ言語などの低水準言語に精通していることが望ましいです。
電子基盤の知識
組み込みシステムは電子基板を活用して構築されています。組み込みエンジニアは、ソフトウェア開発だけでなく、電子基板の設計や小型化にも携わる場合があります。
そのため、電子基板の基礎知識や電子回路に関する理解など、電気・電子工学の基礎知識を有している方が有利です。電子工作を趣味としていた過去の経験や、学生時代に電気電子関連の科目を履修していたなどがあれば、志望動機にその旨を記載しておきましょう。
コミュニケーション能力
組み込みエンジニアはチーム開発が一般的であり、チームメンバーとのコミュニケーション能力が求められます。また顧客の要件をヒアリングし、適切な提案ができるコミュニケーション力も重要です。
過去のプロジェクトにおいてチームでの開発経験があることや、顧客対応を行った経験があることなどを記載しておけば、コミュニケーション能力の高さをアピールできます。チーム内での意思疎通がスムーズにでき顧客や他の部門との調整能力があれば、プロジェクト成功に直結しやすいので、採用担当者の印象もよくなります。
組み込みエンジニアへの転職で有利になる資格
C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験は、株式会社サーティファイの情報処理能力認定委員会が主催する資格で、C言語のスキルを客観的に証明できます。C言語は組み込み開発において頻繁に利用されるため、組み込みエンジニアに転職する際は、この資格を記載すれば有利です。
C言語プログラミング能力認定試験には1級から3級まであり、3級は初心者向け、2級は基本アルゴリズムの理解度を問う内容です。1級は実技試験で、事前に公開されているテーマプログラムに対する仕様変更や追加に対応するプログラム作成が求められます。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES試験)は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格で、組み込みシステムの専門知識とスキルを認定する資格です。IoTを含む組み込みシステムの開発に必要な高度な知識と技術を問われ、難易度が高い試験です。
試験は年1回の開催で午前と午後に分かれており、選択式や記述式、論述式の問題が出題されます。エンベデッドシステムスペシャリスト試験に合格すれば、組み込みシステムの専門家であることを証明できるため、組み込みエンジニアの志望動機に記入すれば大きな強みとなります。
ETEC(組込み技術者試験制度)
ETEC(Embedded Technology Engineer Certification)は、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)が運営する資格制度で、組み込みシステム技術者のスキルを認定します。組み込みシステムに関する基礎知識から応用技術までを評価し、試験は合否制ではなくスコア制です。
クラス1とクラス2のレベルがあり、クラス2は初級レベル、クラス1はクラス2のスコアが500点以上の中級者が受験できます。ETECの資格を取得することで、組み込み技術者としての専門性を証明し、企業からの信頼を得られやすくなります。
組み込みエンジニアの転職なら「メイテックネクスト」
ここまでは、組み込みエンジニアに転職する際の志望動機の書き方について解説しました。志望動機を書く際には、組み込みエンジニアの仕事を深く理解している転職のプロにアドバイスをもらうことも有効な方法です。
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この記事の寄稿者
組み込みエンジニアの志望動機には、IT業界を選択した理由のほか、その企業を選んだ理由や入社後に役立つスキルなどを組み込むことが重要です。応募先企業で即戦力になることが伝わるように志望動機を書くことを心がけましょう。
- 植村元輝