女性システムエンジニアの現状| 男女の割合、SEとして働くメリットを紹介
2013年から2023年までの間に女性システムエンジニアが40%以上も増えていることはご存知でしょうか。
本記事では、女性システムエンジニアの現状について、男女の割合や平均年収、働くメリット・デメリットなどを、最新のデータにもとづいて詳しく解説します。
評価に男女差がなく、労働環境が改善されつつあるシステムエンジニアは、女性の転職先としておすすめのひとつです。
女性システムエンジニアの現状について
システムエンジニア(SE)は、IT業界で重要な役割を担っている職種のひとつであり、現代の生活に欠かすことのできない、さまざまなシステムの開発・保守・運用などを行っています。近年では、この重要な職種であるシステムエンジニアにも数多くの女性が進出しています。
ここでは、女性システムエンジニアの現状を知るために、平均年収、男女比、雇用動向を見ていきます。
平均年収:約500万円
厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によれば、女性システムコンサルタント・設計者の平均年収は560万7,500円、女性ソフトウェア作成者の平均年収は457万7,300円です(いずれも従業員数10名以上の企業の場合)。
女性システムエンジニアといった場合、この2つの職種が該当すると考えられるため、平均年収は両者の中間値である500万円程度と見て差し支えないでしょう。
一方、女性の一般労働者全体の平均年収は399万6,500円であることから、女性の年収で比較すると、システムエンジニアは全体平均より25%程度は高い収入を得ていると考えられます。
一般的に企業規模が大きくなるほど年収も高くなる傾向がありますが、小規模企業の従業員やフリーランスであっても高収入を得ている女性のシステムエンジニアは数多くいます。
※参照元:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査
男女比の割合:女性は約23%
一般社団法人情報サービス産業協会(JISA:Japan Information Technology Services Industry Association)が、2023年7月から12月にかけてJISA正会員企業468社に対して行い、2024年4月に発表した「2023年版情報サービス産業基本統計調査」(回答企業数305社)によれば、回答企業の従業員合計29万848人のうち、ITエンジニアが全体の69.9%(20万3,381人)、うち男性は77.4%(15万7,436人)、女性は22.6%(4万5,945人)でした。ITエンジニアはシステムエンジニアと読み替えても差し支えないでしょう。
2013年版データ(P.24参照)での男女比が84.6%対15.4%、2018年版データ(P.28参照)での男女比が80.7%対19.3%ですので、10年間で女性比率が約7ポイント上昇していることがわかります(データは次項に掲載します)。
女性SEの雇用動向:堅調に増加している
前出「情報サービス産業基本統計調査」のデータによれば、女性エンジニアの数は2013年の3万1,438人から2023年の4万5,945人へと約46%増加しています。
以下は、2013年から2023年までの女性ITエンジニア(システムエンジニア)の従業員数と男女比です。
▼女性ITエンジニア従業員数の推移
・2013年:31,438人(男女比=84.6%:15.4%)
・2014年:30,737人(男女比=84.6%:15.4%)
・2015年:30,500人(男女比=84.9%:15.1%)
・2016年:23,897人(男女比=86.9%:13.1%)
・2017年:31,697人(男女比=83.6%:16.4%)
・2018年:38,168人(男女比=80.7%:19.3%)
・2019年:38,377人(男女比=79.6%:20.4%)
・2020年:40,065人(男女比=78.9%:21.1%)
・2021年:44,443人(男女比=78.1%:21.9%)
・2022年:44,089人(男女比=76.8%:23.2%)
・2023年:45,945人(男女比=77.4%:22.6%)
女性システムエンジニアの従業員数は、多少のばらつきはあるものの、堅調に推移しています。
女性システムエンジニアが増えている背景
前述の通り、女性システムエンジニアの数は徐々にではありますが近年増えつつあります。
その背景には、労働環境の改善や、性別関係なく評価され、未経験でもチャレンジしやすい環境があることなどが挙げられます。
勤務環境が改善されたため
かつてシステムエンジニアといえば、長時間のハードワークが常識であり、常態化していました。
しかし近年では、勤務環境がかなり改善されてきています。
例えば、経済産業省が推進している健康経営の考え方などが理解され、実践に移す企業が増えてきていることが背景にあります。
わが国ではコロナ禍をきっかけに普及が進んだリモートワークですが、その後も労働制度として定着させる企業が一定数あり、仕事と家庭とを両立しやすい環境が整ってきていることなどが挙げられます。
男女平等に評価されるため
システムエンジニアの業務は、男女の性別の違いによって適性に差が出たり、能力差が出たりといったことがほとんどない職種です。
コーディングの質やプロジェクトの成果といった明確な基準によって評価され、性別は関係ありません。
さらに、2023年3月から上場企業に対して有価証券報告書で女性管理職比率や男女賃金格差などの公開が義務付けられたことも、もともと男女での評価差が少なかったシステムエンジニアにも追い風になっています。
結婚・出産などで一度は退職した女性エンジニアを再び雇用する復職制度が整備されている企業もあり、培ってきた経験を無駄にせず、活かせる環境が整ってきています。
未経験からでも学べる環境が増えたため
システムエンジニアには専門的なスキル、特にプログラミングの知識が必要ですが、これらを学べる環境が増え、かつ手軽になっていることも、女性の進出を後押ししています。
例えば、オンラインスクールやプログラミング講座を利用すれば、自分のペースで学ぶことができます。
スクールのなかには、希望の職に就けるよう転職までサポートしてくれるところもあり、未経験から学びはじめて、システムエンジニアとして働くまでの道が整えられています。
これらの理由から、今後もシステムエンジニアとしてのキャリアを築く女性が増えるのではないかと考えられます。
女性がシステムエンジニアとして働くメリット
女性がシステムエンジニアとして働くことは、年収面・働き方の面などで様々なメリットがあります。
ここでは3つのメリットについて解説します。
他の仕事に比べて年収・給与が高い
「平均年収:約500万円」の項で触れた通り、女性システムエンジニアの年収は女性全体平均に比べて約100万円高いことがデータからわかっています。
システムエンジニアに含まれるシステムコンサルタント・設計者の年収は、高給取りのイメージが強い薬剤師や看護師、金融営業職業従事者などよりも高い水準にあります。
働き方の自由度が高い
システムエンジニアは、働き方の自由度が高いことも魅力のひとつです。
女性は結婚や出産、子育てなどを機に退職する方も多くいますが、システムエンジニアの場合はフリーランスとして独立したり、上述した復職制度を利用したうえで、在宅勤務をしたりといったことも叶いやすい職種です。
ライフステージに合わせた柔軟な働き方を選択しやすい環境であるため、家庭と仕事との両立も他の多くの職種に比べれば、容易かもしれません。
女性エンジニアの働き方についてさらに詳しく知りたい場合は、下記の関連記事もご覧ください。
再就職しやすい
システムエンジニアは専門的な技術が必要とされる職種であり、一時的に仕事から離れたとしても、比較的再就職しやすいという特徴があります。
繰り返しになりますが、結婚や産休後に職場復帰しやすいという特徴があり、女性にとっては安心して選べる職種のひとつです。
さらに、人材不足が深刻化しているIT業界は売り手市場が続いています。スキルがあれば再就職することもそれほど難しいことではありません。
女性がシステムエンジニアとして働くデメリット
女性がシステムエンジニアとして活躍する場が増えている一方で、制度やキャリアアップに関する環境の整備がまだ十分でなく、いくつかのデメリットも存在します。
システムエンジニアとして働こうと考えている方は、以下で紹介するデメリットも考慮したうえで検討することをおすすめします。
企業によっては産休・育休などの制度が整っていない
女性の数が増えてきたとはいえ、いまだに男性比率がかなり高いのがシステムエンジニアという職種です。
企業によっては、産休・育休などの制度がまだ整っていないところもあります。
職場に女性が少ないことから、妊娠や出産といった重要なライフイベントに対する理解や配慮が得られにくいことも考えられます。
こうした職場においては、十分な支援が受けられない可能性があるため、やむなく退職を選択している方も少なくないはずです。
ただし、女性システムエンジニアの労働環境は徐々に改善されつつあります。
転職を考える際には、事前に就業規則などを確認し、産休・育休などの制度が整っているかどうかをチェックすることが重要です。
企業の口コミサイトや転職エージェントを活用して、実際の職場環境に関する情報収集も行いましょう。
キャリアアップが難しい場合もある
女性システムエンジニアが管理職を目指す場合、キャリアパスが確立されていない企業では昇進が難しいことがあります。
システムエンジニアの分野では、男女平等に評価されるようになってきてはいるものの、伝統的な文化が残る企業の場合は、女性が管理職に就く機会がいまだ限られてしまっている状況です。
こうした事態を回避するためには、転職前に企業の社風やキャリアパスについてしっかりと調査することが重要です。
企業のWebサイトや求人情報サイトなどを確認することはもちろん、実際に働いている従業員の意見を聞くことで、より正確な情報を得ることができます。
転職エージェントの話も、信頼できる情報を得るための有効な手段です。
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女性システムエンジニアの転職成功事例
最後に女性システムエンジニアが転職に成功した事例を紹介します。
20代前半のAさんは、新卒採用で派遣会社に入社し、産業用装置の組み込みシステム開発に約2年間従事していましたが、派遣先の業績悪化によって契約が打ち切られることになり、将来に不安を感じて転職活動を開始しました。
転職活動では、会社の業績が安定していることや、エンジニアとして成長できる環境であることを重視しました。
自らの経験が少ない点には多少の不安を感じていましたが、メイテックネクストのアドバイザーが、Aさんの意欲を重視してくれる企業や若手を積極的に採用している企業を紹介してくれたこともあり、希望していた企業から内定を勝ち取ることができました。
もちろん、Aさんとアドバイザーとが二人三脚で面接対策などの準備を入念に行ったことはいうまでもありません。
この記事の寄稿者
女性システムエンジニアの平均年収は女性一般労働者より高く、この10年間、雇用状況は堅調に推移しています。
男女比ではまだ3:1程度で男性がかなり多いものの、女性比率は増加傾向にあり、女性にとって働きやすい環境が整いつつあります。
これからの転職を検討しているのであれば、本記事で紹介した情報を参考に、自分に最適な職場を見つけて、充実したキャリアを築いてください。
- 吉澤さつき