自動車エンジニアになるには?就職難易度や仕事内容をご紹介
自動車産業は日本を代表する産業のひとつです。
この業界でエンジニアとして働きたいと考える人も多いでしょう。
この記事では、自動車エンジニアの具体的な仕事内容、平均年収、必要な知識や資格について解説します。
自動車エンジニアを目指す方はぜひ参考にしてください。
自動車エンジニアとは?仕事内容を解説!
自動車エンジニアに興味があるけれど、具体的な仕事内容がよくわからないという方も多いかもしれません。
自動車エンジニアは、自動車の本体やパーツの研究開発(R&D)を行う仕事です。
具体的には、以下のような業務を担当します。
商品企画
商品企画は、新車のアイデアを立案する仕事です。
顧客が自動車に何を求めているかを徹底的にリサーチし、その結果を新機能やデザイン、販売価格に反映させます。
このため、商品企画エンジニアは最新技術に精通している必要があります。
企画段階で最新技術を考慮したアイデアを出すことが求められるからです。
さらに、商品の価格設定や販売戦略にも関わるため、マーケティングの知識も重要です。
また、企画から商品が市場に出るまでには数年のタイムラグがあるため、将来のニーズを予測する力も必要です。
デザイン
多くの場合、自動車のデザインはカーデザイナーと呼ばれる専門家が担当します。
しかし、自動車のデザインは外装だけでなく、内装や機能性、コンセプトデザインも含まれます。
そのため、自動車エンジニアがデザインを担当することもあります。
自動車エンジニアがデザインを担当する際には、外見の美しさだけではなく、長時間乗っても快適に過ごせる機能性についても考慮する必要があります。
デザイン段階でのアイデアは、車両の魅力を大きく左右するため、技術知識に裏付けられた高い創造性が求められます。
車両設計
自動車エンジニアの中心的な業務のひとつが車両設計です。
この段階では、デザイナーが考えたデザインを基に工業用粘土で新車の原型となるクレイモデルを作成します。
その後、コンピューターやCADを使って全体と細部の設計を行います。
この工程はボディ、インテリア、エンジン、サスペンション、パワートレインの各部門に分かれて進められます。
車両設計の段階でのミスは重大な事故につながる可能性があるため、車両設計エンジニアには高い技術知識と専門性が必要です。
また、各部門間での連携が多いため、協調性やコミュニケーション能力も求められます。
性能開発
開発は、設計した車両や部品が求める性能を発揮しているかを検証するための開発とテストを行う工程です。
最終的な仕様は、各部門のさまざまな要素をすべてクリアした段階で決定されます。
具体的には、試験装置を使った性能検証や、悪路やテストコースでの試作車の性能テストを実施します。
また、設計に基づいて作られたパーツが基準を満たしているかを確認し、さらに良い性能に向けた検証も行います。
生産技術
自動車は一台だけ作れば終わりではなく、市場に投入するためには何十万台も生産する必要があります。
そのための生産プロセスを組み立てるのが生産技術の工程です。
利益を上げるためには、低コストで短い納期を保ちつつ高品質を維持する生産プロセスや生産ラインが必要です。
この工程では、効率的な生産や安全な生産環境の構築を社内で検討し、繰り返しテストを行います。
場合によっては業務内容や人員配置を見直すこともあります。
生産技術に携わる自動車エンジニアは、企業の競争力を高めるための重要な役割を担っています。
自動車エンジニアの平均年収はどのくらい?
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjobtagによると、自動車エンジニアの平均年収は全国平均で712万円です。
同サイトによると、20代前半の平均年収は約360万円ですが、20代後半には約500万円、30代後半には約730万円になります。
また、求人サイトの統計データ(求人ボックス)でも、月収で40万円程度の求人が多く、日本人の平均年収と比較しても自動車エンジニアの平均年収は高い傾向にあります。
自動車エンジニアの年収が高い背景には、エンジニア職の人材不足が挙げられます。
特にAIなどの最先端技術に精通したエンジニアの需要が高く、そうした知識とスキルを身につけることでキャリアアップが可能です。
自動車エンジニアの就職に必要なスキル・資格
自動車エンジニアになるためには必要な能力やスキルがあります。
ここからは、自動車エンジニアになりたい人が有しておきたいスキルや資格について詳しく解説します。
育てておきたいスキルはある?
自動車エンジニアに必要なスキルは担当する部門や工程によって異なりますが、共通して重要なのはコミュニケーションスキルです。
自動車業界ではチームでの業務が多いため、円滑なコミュニケーションが求められます。また、海外の技術者とやり取りをすることもあるため、英語が話せると尚良いです。
キャリアアップを目指すなら、スケジュールや予算の管理といったマネジメントスキルも必要です。カーデザイナーなどデザイン系の仕事を目指す場合は、CADやモデリングツールを用いた設計スキルが必須です。
さらに、近年では自動運転システムの開発が活発になっているため、CやC++などのプログラミング言語のスキルも重要です。
プログラミング言語を習得することで、自動車エンジニアとしての活躍の幅が広がります。
自動車エンジニアを目指すなら学歴は?
自動車エンジニアは工学系の仕事です。
そのため、機械工学や電気工学に関する知識が欠かせません。
具体的には、機械工学のほかに自動車工学、システム・制御工学、電気・電子工学、航空宇宙工学が挙げられます。
自動車エンジニアを目指すのであれば、工学系の分野がある大学や短期大学・専門学校を卒業するか、自動車整備科や自動車整備士コースなどが設置されている専門学校を卒業するのがおすすめです。
工学に関する知識が全くない場合は就職そのものが難しくなります。
一般的な知識だけでなく専門知識も必要になるため、高卒の場合も自動車エンジニアとしての就職は難しいでしょう。
取っておくと有利な資格は?
自動車エンジニアとして取得しておくと有利な資格にはさまざまなものがあります。
中でも特におすすめなのは、自動車整備士、車体整備士、E資格です。
自動車整備士は、1級から3級まである国家資格で、試験では自動車の分解や整備、修理に関する知識と技術が問われます。
この資格を取得しておけば、自動車の内部構造を基礎から理解していることの証明になります。
車体整備士は、国家資格である特殊整備士のひとつです。自動車整備士とは異なり、ボディやフレームといった車体の修理や点検、整備に関する知識と技術が問われます。ボディ部門の開発に携わりたい人におすすめです。
E資格は、ディープラーニングを実装するエンジニアの技能を認定する資格です。
受験するためには、JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していなければなりません。
自動運転などでAI技術が活用される機会が増えていることから、E資格は自動車エンジニアの間で大きな注目を集めています。
自動車エンジニアのキャリア・将来性
自動車エンジニアになった場合、どのようなキャリアパスを歩むのでしょうか。
キャリアアップしても将来性がなければ安心できません。
ここでは、業界全体の将来性について確認しておきましょう。
自動車エンジニアのキャリアパスは?
自動車エンジニアの就職先は、多くの場合、自動車メーカーや、そこにパーツを納品するTier1サプライヤーです。
まずは特定の部品の設計担当者として経験を積みます。
数年間の経験を積むと、次にはその担当部品の設計チーフ、その後、別の部品や部署の担当を経験しながら、社内で係長、課長としてキャリアアップしていくことが多いです。
また、昇進するにつれて、製造計画や日程の管理、他部門との連携・調整など、リーダーとしてのマネジメント業務に関わるようになります。
若手エンジニアの育成や指導も職務の一部です。
その分、給料の大幅なアップも期待できます。
自動車エンジニアに将来性はある?
昨今、自動運転車や電気自動車(EV)、燃料電池自動車といった新しい技術を搭載した自動車の実用化が進んでいます。
今後も技術は進歩し、新たな部門やビジネスモデルの誕生が予想されるため、それらに対応したエンジニアの需要は高まると考えられます。
これにより、自動車エンジニアの将来性は非常に高いです。
さらに、MaaS(モビリティアズアサービス)の拡大により、自動車の新たな利用方法が広がれば、自動車エンジニアの需要はますます増えるでしょう。
また、世界規模で見ても、自動車産業全体が比較的安定していることも大きなポイントです。国内だけでなく国外でも、自動車エンジニアは重要なポジションを担うと考えられます。
自動車エンジニアに向いている人の特徴
自動車エンジニアとして活躍できる人にはいくつかの特徴があります。
ここでは、どのような人が自動車エンジニアに向いているのかを詳しく解説します。
車や自動車技術が好き
自動車エンジニアは、常に学び続けなければならない仕事です。
なぜなら、自動車やエンジンに関する技術は日々進歩しているからです。
専門知識を持つだけでなく、それを効果的に活かすためには、常に最新の情報を収集し、技術に関する勉強を続ける必要があります。
また、自動車やエンジンなどに興味がない人にとって、この仕事を続けるのは難しいでしょう。
自動車が好きであれば、その開発に携わることに大きな喜びと誇りを感じることができ、一人でもステップアップしていけるでしょう。
コツコツ作業が得意
自動車エンジニアの仕事は、些細なミスが重大な事故につながる可能性がある責任の重い仕事です。
また、自動車は細かなパーツがいくつも組み合わさってできた精密機械です。
そのため、開発や製造の際には緻密さが求められます。
さらに、自動車エンジニアの仕事には、同じような作業を繰り返したり、地道に改善点を探っていったりする業務が多く含まれます。
このため、自動車エンジニアは集中して地道な業務をコツコツとこなせる人が向いています。
最新技術に興味がある人
自動運転やバイオ燃料車など、日進月歩で進化する技術の集大成が自動車です。
特に注目すべきは「CASE」と呼ばれる領域です。「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動化)」「Shared(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文字を取ったこの言葉は、自動車のあり方を大きく変えると言われています。
自動車エンジニアはこれらの最新技術に興味を持ち、新たな技術を積極的に取り入れられる人物でなければなりません。
また、自動車は機能性だけでなくデザイン性やファッション性も重要です。
そのため、世の中のトレンドや流行に敏感であることも自動車エンジニアの重要な資質のひとつです。
自動車エンジニアに転職する方法
自動車エンジニアになるためには、自動車メーカーやTier1企業への就職が近道です。
しかし、多くの場合は新卒採用であり、競争率も高いです。
別の業界や職種から自動車エンジニアに転職しようと思っても、簡単ではありません。
ここでは、他業界や他職種から自動車エンジニアに転職するためのおすすめの方法を紹介します。
信頼できる転職支援サービスを使う
効率的に転職活動を進めたいのであれば、転職エージェントの活用がおすすめです。
特にエンジニアに特化した転職エージェントを利用すれば、自身のキャリアや適性を考慮した求人を紹介してもらえます。
たとえば、弊社「メイテックネクスト」はエンジニア特化型の無料転職支援サービスです。
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転職を考えているエンジニアの方は、まずは一度ホームページをご覧頂き、登録してみることをおすすめします。
きっと自分に合った求人が見つかるでしょう。
まとめ
自動車エンジニアの仕事内容は多岐にわたり、必要となるスキルもさまざまです。
また、比較的年収が高く、将来性のある仕事です。
これから自動車エンジニアに転職したいのであれば、しっかり情報収集を行いましょう。
効率的な転職活動をしたい人には、独占求人も多数掲載しているメイテックネクストがおすすめです。
この記事の寄稿者
大学時代に応用化学を専攻、無機材料の研究に携わり、卒業後は完成車メーカーに入社。
生産技術部署に所属し、プレス工程で設備導入・生産性改善業務を行っておりましたので、モノづくりにおける一連の流れを把握しております。
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- 中森陽太