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電子機器組立技能検定とは?受検方法や合格率、活かせる職業も解説

電子機器組立技能検定とは?受検方法や合格率、活かせる職業も解説

電子機器組立技能検定は、資格を取得することで電子機器の組立てや修理に関する専門的な知識・スキルを有している証明となり、転職やキャリアアップを有利に進めるための材料として人気があります。

本記事では、受検方法や試験日程、試験内容(学科試験・実技試験)などについて詳しく解説します。

電子機器組立技能検定とは?

電子機器組立技能検定とは?

電子機器組立技能検定は、厚生労働省が定めた実施計画にもとづいて、各都道府県の職業能力開発協会が実施する技能検定のひとつであり、合格して称することが可能になる技能士は国家資格です。

試験問題や試験実施要領の作成は中央職業能力開発協会(JAVADA)が行っています。


検定試験では、電子機器の組立てや修理に必要な知識と技能が問われます。

技能検定の等級区分は4段階に分かれており、試験の程度は次の通りです。

特級:管理者または監督者が通常有すべき技能の程度

1級・単一等級:上級技能者が通常有すべき技能の程度

2級:中級技能者が通常有すべき技能の程度

3級:初級技能者が通常有すべき技能の程度

(参照元:中央職業能力開発協会公式サイト

単一等級とは、職種によって等級を分けないで行われる検定のことです。

検定の合格者には合格証書が交付され、十分な知識やスキルをもつ技能士となれます。


電子機器組立技能士の場合は特にスマートフォンやパソコンなどの電子機器を扱う業務には欠かせません。

企業によっては資格の取得が手当の対象になったり、昇進の条件となったりすることもあります。


電子機器メーカーなどへの就職・転職を検討している、あるいはすでにメーカーに勤務しており、キャリアアップを考えているのであれば、保有しておきたい資格です。

技能検定の職種は電子機器組立を含め、11系統、計131種類あります。

※参照元:厚生労働省 令和5年度「技能検定」実施状況

電子機器組立技能検定の受検方法

電子機器組立技能検定の受検方法

ここでは、電子機器組立技能検定の

・受検条件

・試験の日程

・試験内容

について具体的に見ていきます。

受検条件

電子機器組立技能検定の受検条件は以下の通りです。

各等級ともに原則として実務経験が必要です(ただし、職業訓練歴や学歴によって実務経験年数が短縮されることがあります)。

特級:1級合格後、5年以上の実務経験がある者

1級:7年以上の実務経験があるか、または2級合格後に2年以上の実務経験がある、あるいは3級合格後に4年以上の実務経験がある者(実務経験は職業訓練歴によってそれぞれ短縮されます)。

または応用課程などの高度職業訓練などを修了し、1年以上の実務経験がある者

2級:2年以上の実務経験があるか、または3級の合格者

3級:なし(平成25年4月の改訂により、実務経験がなくても受検可能に変更)

単一等級:3年以上の実務経験があるか、または学歴・職業訓練歴によって1年以上の実務経験のある者

以前は3級の受検条件に6か月以上の実務経験が求められていましたが、平成25年に条件が緩和され、実務経験が6か月に満たなくても3級を受検できるようになりました。


実務経験がない場合にはまず3級の取得を目指し、その後、実務経験を積みながら上位等級へとステップアップしていくことをおすすめします。

※参照元:技能検定のご案内 : 中央職業能力開発協会(JAVADA)


試験の日程

電子機器組立技能検定の試験は、ほかの技能検定と同様、年に2回実施されています。毎年3月上旬から下旬にかけて実施公示がされ、8月末と10月下旬に合格発表が行われる前期と、9月上旬に実施公示され、翌年3月中旬に合格発表が行われる後期です(実際の試験日程は中央職業能力開発協会のサイトでご確認ください)。

試験は学科試験と実技試験で構成されており、実技試験は原則として、試験日前に予め課題が公表されます。

例えば令和6年度(2024年度)の場合、前期の実技試験は6月6日からはじまりますが、5月30日には問題が公表されています。


受検申請受付期間や実技試験・学科試験の実施日は受検等級により異なり、各都道府県職業能力開発協会の判断で開始が前倒しされることもあります。

受検申請は各都道府県の職業能力開発協会のサイトから申請用紙を入手して、郵送する方法が一般的です。


受検手数料の標準額は学科試験3,100円、実務試験は18,200円ですが、都道府県によっては、年齢や在学中か否かで受検費用が減額される場合があります。

※参照元:技能検定試験の日程 : 中央職業能力開発協会(JAVADA)


試験内容

電子機器組立を含む技能検定では、学科試験と実技試験との両方に合格する必要があります。ここでは、それぞれの試験内容について解説します。

【学科試験】

学科試験は、受検する等級によって問題の難易度は異なりますが、以下の6科目の問題が出題されます。

・電子機器:電子機器用部品の種類、性質および用途。電子機器の基本的構造および機能

・電子および電気:電子とその作用。電気および磁気の作用。電子回路(アナログ回路およびデジタル回路の構成、動作原理、動作特性)。電気回路(直流・交流回路)

・組立て法:電子機器の組立て方法。電子機器の組立てに使用する自動機および器工具の種類。手仕上げ。電子機器の計測。工作測定の方法・。品質管理

・材料:半導体材料、導電材料、抵抗材料、磁気材料および絶縁材料の種類や性質および用途

・製図:日本工業規格に定める図示法、電気用図記号およびシーケンス制御用展開接続図

・安全衛生:機械・工具・安全装置などの取り扱い方法、作業手順など安全衛生に関する詳細な知識、労働安全衛生法関連法令についての詳細な知識

(技能検定の試験科目等の参考集「電子・電気系職種編」から引用)

学科試験の問題数や試験時間も等級によって変わります。

・特級:選択式(5択)問題のみ50問。試験時間2時間

・1級、2級、単一等級:選択式(4択)問題25問、真偽問題(○×問題)25問。試験時間1時間40分

・3級:真偽問題(○×問題)30問。試験時間1時間


※参照元:技能検定の試験科目等の参考集「電子・電気系職種編」

【実技試験】

実技試験は、試験内容が試験日前に公表され、受検する等級ごとに定められた時間内(4〜5時間)に課題を提出します。試験内容は次の通りです。

特級:工程管理、作業管理、品質管理、原価管理、安全衛生管理、作業指導

1級:電子機器組立て作業(作業の段取り、電子機器の組立て・修理、電子回路点検、工数見積り)

2級:電子機器組立て作業(作業の段取り、電子機器の組立て・修理、電子回路点検)

3級:電子機器組立て作業(作業の段取り、電子機器の組立て、電子回路点検)


※参照元:電子機器組立て技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目

実技試験では工具類を持ち込むことが認められていますが、持ち込める種類には制限があります。

品名や規格、数量などにも取り決めがあります。

実技試験で制限時間内に課題を終了させるためには時間管理が重要です。

仕上がりの丁寧さや動作確認などは重要ですが、終盤につれて時間が足りなくなることが予想されます。

どの作業にどのくらいの時間をかけるのか、手順と作業内容を決めて取りかかることをおすすめします。

電子機器組立技能検定の合格基準

電子機器組立技能検定の合格基準

電子機器組立を含め、技能検定の合格基準は「100点を満点として、原則として実技試験は60点以上、学科試験は65点以上です」と厚生労働省が定めています。

この基準により、試験の合格者が一定の技能と知識を持っていることを保証しています。

※参照元:厚生労働省 技能検定その他




電子機器組立技能検定の合格率

電子機器組立技能検定の合格率は厚生労働省のサイトで公表されており、令和4年度(2022年度)の試験実施状況は「令和4年度『技能検定』実施状況」というPDFファイルで確認できます。

受験申請者数:9,553名

合格者数:4,966名

合格率:51.98%

平成29年度(2017年度)から令和4年度までの6年間の平均受験申請者数は11,665名であり、令和4年度は令和2年度の9,486名に次ぐ少なさでした。


技能検定全職種で見た場合の令和4年度の等級別合格率は、特級が32.1%、1級が34.7%、2級が28.9%、3級が53.4%でした。

技能検定の合格者には厚生労働大臣名(対象:特級、1級、単一等級)または都道府県知事名または指定試験機関長名の(対象:2級、3級)の合格証書が交付され、技能士と称せます。

※参照元:令和4年度「技能検定」実施状況

電子機器組立技能検定を受ける際のポイント

電子機器組立技能検定を受ける際のポイント

上述した通り、技能検定は学科試験と実技試験の二本立てで構成されています。どちらかに偏らないよう、バランスよく取り組むことが重要です。

ここでは学科試験と実技試験とに分けて、対策を解説します。

【学科試験対策】

・市販の参考書や過去問を活用し、6科目(電子機器、電子および電気、組立て法、材料、製図、安全衛生)の基礎知識を確実に習得する。

・選択式問題や真偽問題(○×問題)での出題であるため、問題集を繰り返し解いて、問題の傾向を掴む。

【実技試験対策】

・電子工作セットや部品を用意し、組立手順や回路点検を繰り返し練習する。

・作業の段取り、品質管理、安全衛生管理などの工程管理スキルを磨く。

・上位級受検の場合は、より高度な技能が求められるため、十分な準備期間を確保する。

学科試験の時間は3級では1時間ですが、特級は2時間、それ以外の等級は1時間40分と長いため、最後まで集中力を保ち、しっかりと問題に向き合うことが重要です。

実技試験では段取りや工程管理など、実務経験が活きることも数多くあります。

学科試験は65点以上、実技試験は60点以上を得点できれば合格です。

繰り返しになりますが、偏りが出ないよう、計画的に取り組むことが重要です。

電子機器組立技能検定を受けるメリット

電子機器組立技能検定を受けるメリット

技能検定を受検し、合格して称することができる電子機器組立技能士になれれば、

・専門性の証明となる

・企業からの評価が上がる

・転職やキャリアアップの際の強みとなる

・更新の必要がない永続的な資格である

・仕事の幅が広がる

といったメリットがあります。

専門性の証明となる

電子機器組立技能士は、電子機器の組立てや修理、電子回路点検に関する高度な知識やスキルを有していることを証明する資格です。

実務経験が豊富な場合でも、本資格を未取得であれば、受検を通して新たなスキルや知識を習得し、さらなる専門性の向上につなげられる可能性があります。

企業からの評価が上がる

企業によっては、本資格の保有者に対して資格手当を支給しているところもあります。

人事面においても、専門性の高さや資格取得への意欲・努力が高く評価され、昇進の材料として考えられることがあります。

転職やキャリアアップの際の強みとなる

国家資格である電子機器組立技能士は、転職活動の際に大きなアピールポイントとなります。

有資格者であることによって専門性が証明されるため、キャリアアップ転職はもちろん、新しい分野に挑戦する際にもアピール材料として使えます。

特に電子機器メーカーや電子部品メーカーなどの専門性が求められる企業あるいはポジションでは、本資格が採用の重要な条件となる場合もあり、強みとなります。

更新の必要がない永続的な資格である

電子機器組立技能士に限らず、技能士資格は、一度取得すれば更新の必要がありません。

永続的に保有できる資格であるため、長期的なキャリア形成に役立ちます。

仕事の幅が広がる

電子機器組立技能士は、電子機器の組立て・修理、電子回路の点検など、さまざまな業務に高いスキルをもっていることから、活躍の場が広がります。

専門的な知識があることで、これまでとは異なる業務に携わるチャンスにつながるかもしれません。

電子機器組立技能検定が活かせる職業

電子機器組立技能検定が活かせる職業

電子機器組立技能士は電子機器分野での高い専門性を有しているため、電子機器の製造・組立・修理・保守に関わる幅広い業界での活躍が期待されます。

ここでは、資格を活かせる場として、

・電子機器メーカー

・自動車メーカー

・産業機械メーカー

・医療機器メーカー

・電子部品メーカー

を紹介します。

電子機器メーカー

パソコンやスマートフォンなどの通信機器、テレビなどの家電製品を製造する電子機器メーカーでは、電子機器の組立てや修理のスキルが役立ちます。

電子回路基盤への部品の接続、組立て、調整、検査などの業務においても、専門スキルを活かせます。

自動車メーカー

自動車に搭載される電子制御ユニットの組立てや修理にも、電子機能組立技能士としての知識やスキルが役立ちます。

電気自動車や自動運転技術などへの世間の関心が高まるにつれ、今後高い専門性をもつエンジニアや作業者の需要も高まると予想されます。

資格取得を通じて得た体系的な知識が、業務面でも役に立ちます。

産業機械メーカー

産業用ロボットや工作機械などの産業機械にも電子機器や部品が多く使用されているため、電子機器組立技能士の活躍のフィールドがあります。

電子機器の組立てや調整、検査、メンテナンスなどの業務に活躍が期待されます。

医療機器メーカー

医療機器にも電子制御装置が搭載されており、組立てや修理に関する業務があります。

医療機器は高度な精密性が求められるため、高い専門性をもった有資格者は転職活動でも有利です。

電子部品メーカー

電子部品や半導体デバイスの組立てや検査、修理などの業務にも従事することが可能です。

電子部品の組立てのみならず、品質管理や生産管理などでも電子機器組立技能士の知識を活用できます。

電子機器組立技能検定を活かした仕事に転職するならメイテックネクスト

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まとめ

国家資格である電子機器組立技能士は、電子機器の組立てや修理、電子回路点検に関する高度な知識やスキルを有していることを証明できる資格であり、取得できれば、その後は更新不要の一生ものの資格です。

有資格者は、電子機器メーカーや自動車メーカーなど、さまざまな企業の職種で活躍できる可能性が広がります。

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この記事の寄稿者

新卒で大手人材紹介会社に入社、キャリアアドバイザーとして、主に理系人材、女性の転職サポートに従事。

アドバイザー業務に加え、大手メーカーの一次面接代行も経験しました。


現職メイテックネクストには2006年に入社。

電気系のエンジニアの方を中心に、新卒採用~40代の管理職層まで幅広い世代の方をサポートし、延べ10000名を超える技術者・研究者の支援に携わってきた実績があります。

20年間の転職支援経験を通して、様々なエンジニアと対峙して思うのは、月並みですが、転職がゴールではなく、大事なのは、皆さんにとって良い人生になるように!です。

この視点を忘れずに、一緒にキャリアのことを考えたいと思っています。


転職したいけどどんな仕事・会社が良いかわからない方、転職するかどうか決めてなくても、今の仕事を続けていて大丈夫?と不安に思う方等、自分のキャリアについて考えてみたい方もぜひお声がけください。

岩崎 貴代恵
岩崎 貴代恵

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