機械を直す仕事とは? 機械修理工の業務内容や資格を紹介
「機械を直す仕事」に興味がある方のなかには、機械修理工への転職を考えたことのある方は少なくはいはずです。
本記事では、機械修理工の仕事内容や保有をおすすめする資格、年収、将来性などについて詳しく解説し、転職の成功事例も紹介します。
機械修理工として働きたいと考えている方にとって有益な情報が満載です。
機械を直す仕事は「機械修理工」
機械修理工とは、さまざまな機械の修理や整備を行う専門職です。
さまざまな機械には例えば、自動車から家電、業務用機器などまで、実に幅広いものが含まれます。
総務省の日本標準産業分類(平成25年10月改定)によれば、機械修理業は、
大分類:サービス業(他に分類されないもの)
中分類:機械等修理業(別掲を除く)
に分類され、一般機械修理業(建設・鉱山機械を除く)や、建設・鉱山機械整備業とを含む機械修理業(電気機械器具を除く)、および電気機械器具修理業とに分けられています。さらに厚生労働省が運用する職業情報提供サイト(日本版O-NET)「jobtag」によれば、機械修理工は職業分類「電気機械器具整備・修理工」に属し、太陽光発電のメンテナンス、家電修理、風力発電のメンテナンスの三つの職業が紹介されています。例えば家電修理では、より詳細な職業名として、電気洗濯機修理工、電気掃除機修理工、電気冷蔵庫修理工、家庭用エアコン修理工、家庭用電気製品修理工、テレビ修理工の6種類が挙げられています。
また、機械修理工の仕事内容は大きく分けて、
(1)故障した機械を診断し、必要な修理を行うこと
(2)定期的なメンテナンスを行うこと
の二つがあります。
(1)は文字通りの機械修理であり、機械の内部構造を理解して、適切な部品に交換したり、修理を行ったりするもので、高度な技術が求められます。
故障の原因を特定するためには、機械の動作を詳しく観察し、問題のある部分を見つけなければならないこともあります。
最新の技術や機械の進化に対応するために、継続的な学習も必要です。
(2)では、機械の動作を確認して、必要な調整やクリーニングなどを行います。
定期的なメンテナンスは機械を正常動作させて、寿命を延ばし、さらに故障を未然に防ぐという側面からも重要です。
機械修理工が活躍する現場
機械修理工が活躍する現場としては例えば、
・メーカーのメンテナンス部門
・修理やメンテナンスを専門とする企業
が挙げられます。
メーカーのメンテナンス部門
メーカーのメンテナンス部門に所属する機械修理工は通常、当該企業の製品の修理・メンテナンスを担当します。製品の保守やトラブル対応を行うことから、サービスエンジニアと呼ぶ企業もあります。
呼び方が異なっていたとしても、企業が販売した製品が故障した際に迅速に対応し、顧客満足度の維持・向上を図ることが機械修理工に求められる業務です。
メーカーのメンテナンス部門で働く機械修理工は、新製品のリリースに伴う技術サポートも担当することもあります。
新しい機械が市場に投入されれば、必然的に新しい機械の修理方法やメンテナンス方法についても学ばなければなりません。
メーカーでは新製品の開発・製造が止まることはないため、所属する機械修理工も常に新しい知識やスキルを習得し続けることが求められます。
修理やメンテナンスを専門とする企業
修理を専門とする企業に所属する機械修理工の場合は、メーカーを問わず、さまざまな機械の修理を担当します。
修理・メンテナンス専業企業は、メーカーの下請けとして修理を行っている場合もあります。
修理・メンテナンス専業企業には、多種多様な機械の修理依頼が舞い込むため、メーカーのメンテナンス部門に所属する機械修理工に比べると、より幅広い知識や技術が求められます。
もちろん電子機器から重機まで、異なる分野の機械の修理を一手に引き受けるような企業はほとんどありませんが、電子機器修理企業であれば、パソコンやスマートフォン、家電などの修理を、また産業機械修理企業であれば、工場内の生産設備やロボットなどの修理をというように、異なる種類の機械に対応することが一般的です。
修理・メンテナンス専業企業の場合は、現場に出張して修理を行うこともめずらしくありません。
機械が設置されている出張先で直接、修理を行わなければならず、技術的な知識や問題解決能力はもちろん、コミュニケーション能力も求められます。
機械修理工の仕事の特徴とは?|現場で働く人の”生の声”
ここでは、機械修理工のやりがいと大変なところについて紹介します。
機械修理工のやりがい
やりがいはなんといっても、ユーザーに製品を長く使い続けてもらうことに貢献できる点にあります。
技術を磨く(磨かなければならない)楽しさも大きな魅力だと考えられます。
さらに、修理した機械が再び正常に動作する瞬間に大きな達成感が得られるという機械修理工もいるはずです。
故障の原因を特定し、問題を解決するプロセスそのものが、技術者としては充実した時間なのかもしれません。
先にメーカーのメンテナンス部門に所属する機械修理工には「常に新しい知識やスキルを習得し続けることが求められる」と述べましたが、これはメーカー所属の機械修理工に限った話ではありません。
例えば、電子機器の修理には電子回路の知識は必須ですが、同時に機械的な修理作業が必要な場面もあり、機械分野の知識・技術が求められることもあります。
さまざまな分野の知識や技術を身につけ、それを仕事に活かせる点に、機械修理工としてのやりがいを感じる人も多くいます。
機械修理工の大変なところ
上述した通り、幅広い専門知識や技術が求められることがあり、学ばなければならないことは尽きません。
特に新しい技術や機械に対応するためには継続的な学びが必要ですが、日々の労働と学習とを並行して行わなければならないことは、機械修理工の大変なところのひとつです。
さらにメンテナンスの場合は別ですが、修理が必要な場面とは通常、予期せぬトラブルが発生したときです。
しかも修理に長時間をかけてもかまわないといったことはなく、迅速な修理・復旧が求められることが常です。
こうした作業はやりがいにもつながる一方、いつ何時、呼び出されるかもしれず、心の休まるときがありません。機械修理工の大変なところです。
そのほかにも、修理・メンテナンスそのものに失敗や間違いは許されず、常に高い緊張感のなかでの作業を強いられることや、出張作業の場合には、そのたびにまったく異なる環境のなかで作業を行わなければならないことなども、大変なポイントとして挙げられます。
機械修理工として働くのに役立つ資格は?
機械修理工として働くために、保有しておいた方がよい資格がいくつかあります。
例えば、
・機械保全技能士
・技術士
・電気工事士
・自動車整備士
といったものです。
機械保全技能士
公益社団法人日本日本プラントメンテナンス協会が実施している国家資格です。
同法人の説明によれば、機械保全とは、
”工場の設備機械の故障や劣化を予防し、正常な運転を維持するために重要な技能であり、製造現 場に欠くことのできない能力”(参照元:公益社団法人日本プラントメンテナンス協会)
であり、機械保全技能検定は、この能力を評価する唯一の国家検定です。
合格すると、機械保全技能士を名乗ることができ、現場での機械保全作業を担当できるようになります。
等級には特級・1級・2級・3級があり、特級以外では機械系・電気系・設備診断の作業別に試験が実施されます。
電気系保全作業を除き、試験はすべてマークシート方式で行われています。
試験は毎年度2回(3級のみ)実施され、2024年度は6月に3級が、また2024年11月から翌2月の間にすべての等級の試験が行われます。
本資格試験は受験者数の多いことが特徴で、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で1回中止になっているものの、2011年度以降の10年間の平均受験者数は年度あたり33,481名にも上っています。
これはすべての職種の技能検定試験中、第2位にあたります。
2021年度の合格率は特級が39.5%、1級が27.7%、2級が32.2%、3級は71.2%でした。
技術士
公益社団法人日本技術士会が実施する国家資格です。
同法人の説明によれば、技術士とは、
”科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力および豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者”(参照元:公益社団法人日本技術士会)
であり、技術士法によって「高い技術者倫理を備えること」「継続的な資質向上に努めること」が責務として規定されています。
本資格には機械分野をはじめ、船舶・海洋部門、建設部門、原子力・放射線部門、総合技術監理部門など、計21の技術部門があります。
合格すると技術士登録簿に登録され、技術士として仕事をできるようになります。
試験は第一次、第二次に分かれ、第一次の合格者で一定の条件をクリアした人が第二次試験に進めます。
第一次、第二次ともに年1回実施されています。
第一次は筆記試験のみですが、第二次では筆記のほかに口頭試験もあり、筆記試験の合格者のみが口頭試験に進めるようになっています。
2023年度の第一次の合格率は全部門で39.7%、第二次は同11.8%でした。機械部門に限るとそれぞれ35.6%、18.0%です。
電気工事士
一般社団法人電気技術者試験センターが実施する国家資格です。同法人の説明によれば、電気工事士とは、
” ビル、工場、商店、一般住宅などの電気設備の安全を守るために、工事の内容によって従事できることが法令で決められた資格のある人”(参照元:一般財団法人電気技術者試験センター)
のことを指します。
第一種と第二種とがあり、第二種では一般住宅などの600V以下の受電設備の工事を行え、第一種では第一種の範囲に加え、最大電力500kW未満の工場やビルなどの工事も行えます。
試験は、2024年度からは第一種、第二種ともに上期・下期の年2回実施されます(2023年度までは第一種は年1回のみでした)。
いずれも学科試験・技能試験が行われ、学科試験ではCBT方式・筆記方式から選択できます(第一種の上期はCBT方式のみ)。
合格率は2022年度の第二種学科が56.0%、同技能が72.6%、同第一種学科が58.2%、同技能が62.7%でした。
自動車整備士
国土交通省(一般社団法人日本自動車整備振興会連合会)が実施する国家資格です。
同省の説明によれば、自動車整備士とは、
”自動車の構造や整備に関する知識や技能を持っていることを国が認めた国家資格であり、国内の整備技術を高い水準に保っています。適切な点検・整備により、自動車の安全と安心を守り、社会に貢献する重要な職種”(参照元:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(JASPA))
です。
一級、二級、三級・特殊整備士があり、さらにそのなかでも二輪自動車整備士、自動車シャシ整備士などに分かれています(一級のみ分類が異なります)。
最高位の一級自動車整備士は「クルマの専門医」と呼ばれています。
試験内容は技能検定ごとに異なりますが、いずれも年に2回実施されています(ただし、現在、実施されていない試験もあります)。
合格率は2023年度第2回の場合、一級小型(筆記)が98.2%、二級ガソリンが98.7%、三級ガソリンが95.7%などとなっています。
機械修理工の年収はどのくらい?
対象が機械修理工ではありませんが、ここではそれに含まれる「家電修理(厚生労働省編職業分類の「電気機械器具整備・修理工」等)」について、前出の「jobtag」のデータで見てみます。
令和5年(2023年)賃金構造基本統計調査の結果から算出された全国平均の年収は512万円、従事者の平均年齢は41.8歳です。
すべての労働者の平均年収が506.94万円なので、家電修理はわずかですが平均以上の賃金を得ています。
年収を5歳区切りの年齢別で見ると、19歳以下から右肩上がりで上昇し、55~59歳の645.22万円でピークを迎え、その後右肩下がりで下降していきます。
都道府県別で見ると、大阪府が最も高く636.7万円、沖縄県が最も低く368.4万円と、大きな開きがあります。
上記のデータはあくまで家電修理に限ったものであり、機械修理工にそのまま当てはまるものではありませんが、おおよその傾向は同様だと考えられます。
年収に関してはそのほかにも、勤務先の企業規模や所属している部署、個人が保有している資格など、さまざまな条件によって、上記データからの増減はあります。
機械修理工の将来性
結論からいえば、将来性は明るいと考えられます。
わが国においては生産年齢人口の減少に伴う労働力不足への対策が喫緊の課題であり、この課題を解決するための有効な施策のひとつが自動化・機械化です。
製造業や建設業、農業などをはじめとして、従来、人手で行っていた作業を機械に代替する動きが進んでおり、必然的に機械の修理やメンテナンスに対する需要も高まっています。
近年、AIが加速度的に進化しており、従来、ホワイトカラーが行ってきた業務を中心に「AIに代替されるのではないか」との観測もされるなか、機械修理・メンテナンスの仕事は一部をAIが代替できても、すべてを代替できるようになるまでには、まだまだ時間がかかります。
機械修理工はおすすめの転職先職種のひとつです。
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まとめ
機械修理工とは文字通り、機械を修繕したり、メンテナンスを行ったりする職種のことですが、直す(あるいは維持する)対象は幅広く、専門分野は多岐にわたります。
活躍する現場としてはメーカーや修理・メンテナンス専業企業などがあり、予期せぬトラブル対応などが大変とされる反面、大きなやりがいのある仕事でもあります。
機械修理工として働くのであれば、機械保全技能士など、保有しておきたい資格がいくつかあります。
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この記事の寄稿者
これまでのキャリア選択や現職でのお考えは、多くの体験を積み重ねてきたからこそ生まれてきたご意志です。
「内定の可能性が高い」「年収アップが期待できる」などの短期メリットだけではなく、長期視点でも意味のある選択ができるように支援いたします。
現職で頑張るべきか、転職するべきかのお悩み相談も歓迎しますので、一緒にあなたの将来を考える時間を頂戴できますと幸いです。
是非お気軽にお声がけください。
- 鈴木 翔太