電子機器組立の仕事内容は?平均年収やおすすめの資格も紹介
現在、世界では多くの人がスマートフォンやパソコンを使用しており、電子機器組立の需要は常に伸び続けています。
ほかにも、さまざまな精密機器や医療機器が普及しつつある現状です。本記事では、電子機器組立への転職を検討している人に向けて、仕事内容や向いている人の特徴、メリット・デメリット、平均年収、おすすめ資格を紹介します。
電子機器組立の主な仕事内容
電子機器組立には、主に「部品の組立・組み付け」や「ライン作業」「クリーンルームでの作業」「電子機器の検査」の4つの仕事があります。
以下より、それぞれの仕事内容を解説します。
部品の組立・組み付け
電子回路や電子部品などのさまざまな部品を、ネジ締めやはんだ付け、ケーブル接続などによって組み合わせて、ひとつの製品を完成させます。
現場では製品の設計図やマニュアルに沿って進めていくので、図面読解力や正確性、緻密性が必要です。
特に、パソコンやスマートフォンなどの精密機器や、ペースメーカーやレントゲン装置などの医療機器の組立では、品質を維持するために、部品の位置調整やトルク管理などの厳密な管理が行われています。
ライン作業
ライン作業では、ベルトコンベアで流れてくる製品の組立を行う仕事です。
それぞれの従業員にひとつの工程が割り振られ、特定の作業を繰り返します。単純作業は簡単そうに見えますが、長時間の流れ作業にはブレない集中力とスピードが求められます。
また、ひとつのミスが全体の生産効率に大きな影響を与えるため、正確性を維持しつつ注意深く取り組まなければなりません。
クリーンルームでの作業
電子機器組立で気を付けるべきことは、作業中の異物混入です。
それを防ぐために、空気中に含まれる微粒子や小さなホコリを極限まで排除したクリーンルームでの作業があります。
決められた作業服に着替えた後、エアーシャワーによって体を清潔にしてから入室します。
クリーンルームでは、主に細かな部品の組立や製品検査が行われ、顕微鏡を使用して異常を確認することもあります。
特に、半導体や精密機械は不純物に敏感なので、クリーンルームでの作業が必須です。
電子機器の検査
電子機器には部品や機能、外観を細かくチェックする検査があります。まず目視で行う外観検査では、製品の表面に傷や汚れがないか、製品が正しく組み立てられているかを確認します。
メーターなどの道具を使用したサイズ測定もそのひとつです。
また、機械を使用した検査では、製品の動作や電気的特性を確認します。
この検査によって、製品が規格通りに動作するか、不具合や異常がないかがわかります。
出荷後に問題が発生することがないように、集中力と注意力が求められる工程です。
電子機器組立の仕事に向いている人の特徴3選
電子機器組立の仕事は、いずれも管理が厳しく、正確性や緻密性、集中力、注意力などが求められます。
以下より、この仕事に向いている人の特徴を3つ解説します。
手先が器用で細かい作業が得意
非常に細かい部品を扱う電子機器組立は、ミリ単位の高精度かつ繊細な作業なので、手先が器用でなければ対応できません。
例えば、細かい作業が好きでDIYやプラモデルの組立が得意な人は、その特技を仕事で活かせます。特に、機械を組み立てることにやりがいや楽しさを覚える人は、組立作業に向いています。
同じ作業の繰り返しでも集中力が保てる
電子機器組立はライン作業が多く、同じ単純作業を繰り返すことが一般的です。
ライン作業の場合、途中で自動的に止まったり、強制的に止めたりすることはできないので、長時間の集中力を維持しなければなりません。
こうした作業を淡々とこなせる人は、組立作業に向いています。
ライン作業自体はそれほど難しいものではなく、マニュアル化されていることが多いため、新人でも品質の担保が可能です。慣れてしまえば、楽だと感じる人もいるでしょう。
モノづくりが好き
モノづくりが好きであることは、組立作業において大きなアドバンテージです。
特に、モノの仕組みや製造過程がどのようになっているのかが気になる人は、作業に携わることによってその仕組みを知ることができるうえ、ノウハウも身につけられます。
趣味でDIYやプラモデルなどの組立をたしなんでいる人にぴったりです。
さらに製品によっては、市場に出荷されることもあります。実際に、自分が関わった製品がお店などに陳列されていたり、誰かが使用したりしているところを見ると、大きな達成感や充実感を得られます。
「仕事にやりがいを持ちたい」「好きを仕事にしたい」と考えている人は、モノづくりが好きであれば向いている仕事です。
電子機器組立の仕事に就くメリット
電子機器組立の仕事に携わることで、いくつかのメリットを得られます。
これらをうまく活かせば、自身のスキルアップやキャリアアップが可能です。
専門知識や技術が身につく
電子機器組立では、事前に専門的な知識や技術が備わっていなくても、就職後の研修などで教わることが多く、手に職をつけられます。例えば、はんだ付けや溶接など、専門技術を習得できる可能性もあります。
設計図やマニュアルに沿って作業を進めていくため、図面読解力や部品の配置方法など、製造業全般に役立つ知識の習得も可能です。
また、実際に働いて専門的な知識や技術を身につけた後、取得しておくと後々有利になる資格もいくつかあります。こうした経験を積み重ねていくことで、万が一退職しても再就職しやすいでしょう。
未経験でもキャリアアップにつながる
電子機器組立は、多少の技術が必要な場合でも経験不問で募集している求人が多く、未経験者でも就職は可能です。
さらに、作業現場では多くのベテランとの交流が図れるため、ベテランたちがこれまで培ってきたノウハウをインプットできます。
こうした経験の積み重ねにより、ステップアップした後は現場管理や技術指導などを任される可能性もあります。
また、キャリアアップを狙うのであれば、働きながら自分自身で新しい知識を習得することもひとつの手です。
例えば、CAD(コンピュータ支援設計)やプログラミング、フォークリフトなど、現場で役立つ資格を取得することで、キャリアアップの道が開けていきます。
力仕事が少ない
電子機器組立は細かい技術が必要なものの、力仕事や重労働が少ない仕事です。
例えば、ネジ締めやはんだ付け、溶接、部品の取り付けなどは、それほど力を使うことなく進められます。
座りながら対応できるものも多いため、立ち仕事が苦手な人でも働けます。
立ち仕事は足腰に負担がかかって体力的な不安もありますが、電子機器組立なら、力仕事に自信がない人でも不安なく作業できます。
こうした理由から、女性も活躍できる現場のひとつです。
また、前述した通り、電子機器に微粒子や小さなホコリなどの不純物は禁物です。不純物を極限まで排除したクリーンルームでの作業は、無風かつ慎重に行われるため、最小限の作業で動いています。
電子機器組立の平均年収
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」のデータによると、電子機器組立の平均年収は414万円です。国税庁で発表されている日本の平均年収461万円に比べると、やや低いことがわかります。
1カ月あたりの求人賃金も月額21.3万円と低めですが、技術や経験、キャリアによって収入は大きく変動します。
「入職前の訓練期間は特に必要ない」と回答した人が61.0%、「入職前の実務経験は特に必要ない」と回答した人が70.7%と半数以上でした。入職後の訓練期間は、「1カ月超え〜6カ月以下」の24.4%が最多です。ただし、あくまで統計なので、職場によって期間は前後します。
※参照元:job tag「電子機器組立 職業詳細」
電子機器組立におすすめの資格
就職やキャリアアップにあたって、プラスになる資格がいくつかあります。収入アップを目指すなら、これらの取得がおすすめです。
電子機器組立技能士
「電子機器組立技能士」は、都道府県職業能力開発協会による技術検定制度です。学科および実技試験に合格すると、電子機器の組立や修理に関する技能を保有していることを証明できる上、キャリアアップや昇進の判断材料にもなります。
主な試験内容は、プリント配線板への電子部品のはんだ付けや部品の組立、仕上げ、調整などです。
以下の4つに等級が分かれており、3級は受験資格が必要ありません。
【3級】必要なし
【2級】2年以上の実務経験、もしくは3級合格者
【1級】7年以上の実務経験、もしくは2級合格後2年以上の実務経験、3級合格後4年以上の実務経験
【特級】1級合格後、5年以上の実務経験
※参照元:中央職業能力開発協会「電子機器組立て(電子機器組立て作業)」
!試験の申し込みには、各都道府県の職業開発協会へのお問い合わせが必要です!
機械保全技能士
「機械保全技能士」は工場の設備や機械保全、メンテナンスに関わる国家資格です。公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が毎年実施しており、試験内容は学科と実技に分かれています。
学科では機械の保全方法や安全衛生、品質管理などが問われます。設備メンテナンスは今後も重要な職業となるため、この資格の取得はキャリアアップに最適です。
4つの等級に分類されており、前述した受験資格と同様です。
※1級・2級は、学歴によって短縮要件が設けられています
機械検査技能士
「機械検査技能士」は、機械の部品や作動機構の検査に関する技能を認定する国家資格です。都道府県職業能力開発協会が実施する学科および実技試験に合格すると、製造現場での品質管理や検査業務において重要な役割を任せられるようになります。
学科試験では測定法や検査法、品質管理、機械要素、材料力学に関する問題が出題され、実技試験では精密測定や検査の実施が行われます。
この検定にも4つの等級があり、受験資格は前述したものと同様です。
※参照元:中央職業能力開発協会「機械検査(機械検査作業)
!試験の申し込みには、各都道府県の職業開発協会へのお問い合わせが必要です!
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この記事の寄稿者
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- 植村元輝