独自の技術力で他社との差別化と持続可能な社会に貢献する
古河AS株式会社は、1946年に滋賀県犬上郡豊郷村で設立されました。
当初は古河電気工業株式会社の協力工場として稼働し、綿巻線やバインド線、綿絶縁線などの電線を製造していました。
現在は古河電工グループに属し、ワイヤーハーネスを主力製品として、周辺の配電部品やセンサー、レーダといった電装部品を取り扱っています。
「アルミワイヤーハーネス」の開発に力を入れており、α(アルファ)端子を開発したことで車載を拡大しています。
今回は、派遣社員からキャリアをスタートし、現在は第1技術本部PX部のマネージャーとして活躍されている渡辺大助氏にお話を伺いました。
渡辺氏の経歴、同社の技術的な強み、古河ASグループの共通価値観である「FAS WAY」、さらに社内で活躍するエンジニアについても語っていただきました。
キャリア採用からマネージャーへのキャリアの軌跡
ーー古河ASに入社された理由や現在までのご経験についてお伺いできますでしょうか。
工業系の高校、大学に通っていた学生時代から車が好きだったこともあり、車に関わる仕事をしたいと思っていました。
2001年に出身地である宇都宮で、派遣社員として古河ASでの業務を開始し、2006年にキャリア採用で正社員となりました。
2009年までお客様の中に入って、ワイヤーハーネスの設計・開発業務に携わりました。
その後、事務所に戻り受注活動に従事、2015年に浜松事務所へ転勤となり、2016年にマネージャーへ昇格、担当OEM様を変えてワイヤーハーネスの設計・開発、受注活動を担当しました。
これまでは4輪車の業務でしたが、浜松では2輪車や船舶関連の製品にも携わり、大変貴重な経験を積むことができました。
その後、2019年に豊田への転勤を経て、高圧系のワイヤーハーネスの受注活動、先行開発の経験を積み、現在は宇都宮事務所に戻って、東地区のカーメーカー様を担当する技術マネージャーを務めています。
電線から始まった革新的なアルミワイヤーハーネスの技術進化
ーー貴社の沿革・変遷とそこから見える強みや技術的な強みについてお聞かせください。
古河ASは、もともと電線の製造からスタートした会社です。
その後、電線を束にしたワイヤーハーネスの製造を開始しました。
ワイヤーハーネスは車の電装機器を繋ぐ部品で、人間の神経や血管に例えられることもある重要な部品です。
自動運転や電動車の普及により、電装機器の搭載数が増え、ワイヤーハーネスの回路数は増加しています。
それに伴ってワイヤーハーネス質量も重くなる課題がありました。
この課題を解決するために、競合含めた各社が取り組んでいるのがワイヤーハーネスのアルミ化です。
競合他社との激しい開発競争の中、親会社である古河電工との材料開発や加工技術開発により量産化を実現しました。
アルミは銅に比べ強度が低い課題がありますが、アルミ合金の素材から開発し、高強度アルミ電線の製品化に成功。またアルミ電線と銅の端子は、異種金属の接触部から腐食が進行する課題がありますが、この課題を解決するため、古河電工の加工技術(ファイバーレーザー溶接)を使用した「α(アルファ)端子」を開発しました。
従来のオープンバレル端子に対し、水の侵入を防ぐ構造になっていて、防食材の塗布が不要となるため、性能面、コスト面で競争力を持った製品となっていています。
この端子の採用によってアルミワイヤーハーネスの車載を拡大しています。
お客様第一を軸にした「FAS WAY」の5つの要素と社員への浸透
ーー貴社の基本理念・経営異理念・指針(行動指針)についてお聞かせください。
古河電工グループの基本理念や経営理念、行動指針は、親会社である古河電工と同様です。
古河ASグループの一人一人が仕事を進めるにあたって、行動や価値観を具体的に共有するために「FAS WAY」があります。
このFAS WAYには「お客様第一」「チャレンジ」「改善」「 チームワーク」「人材育成」の5つの要素があります。
全社員に冊子が配布され、入社時にはFAS WAYの教育が行われているため、全社員が5つの要素を大切にし、日々の業務の中で常に意識しています。
その中で私が強く心がけていることは、失敗を恐れずにチャレンジする事、チャレンジを実現するために関係部門を巻き込んでチームワークで取り組む事です。
先ほどお話ししたアルミワイヤーハーネスの開発や受注活動においても、チャレンジ精神と各部署横断のチームワークによって実現したものと思います。
横の繋がりやチームワークは当社の強みだと考えています。
カーボンニュートラル実現に向けた技術革新と再生可能エネルギーの活用
ーー今後の古河AS社の技術、展望、業界を取り巻く技術、トレンドについてお聞かせください。
自動車業界では、カーボンニュートラルの実現や安全、安心なモビリティ社会に向けた車両開発を進める中で、特にカーボンニュートラルに関しては、各国の規制や目標から、部品メーカーへの要求も高まっています。
当社では、銅やアルミの素材から端子、電線、ワイヤーハーネスといった製品に至るまで、水力発電や太陽光発電で発電された再生可能エネルギーを活用することで、CO2の削減に取り組んでいます。
また、アルミワイヤーハーネスが車に導入されれば、車両全体の質量が軽くなるので、車の排気ガスによるCO2の排出量削減にも寄与できると考えています。
電動車の普及が進み、モーターやバッテリー、高電圧機器を繋ぐ高電圧のワイヤーハーネスの市場は拡大しています。
特にBEVやFCEVではパワートレーンの高出力化へ対応する技術革新が求められます。
これまで当社は12ボルト系の低圧ワイヤーハーネスを主力製品としてきましたが、高電圧のワイヤーハーネスや電源を分配するためのジャンクションボックスを成長製品として開発に力を入れています。
これらの製品にも古河電工の素材力や加工技術を活かした開発を進めています。
ーー貴社のカルチャーや風土についてお聞かせください。
先ほども触れたようにチームワークが重視されていて、 部署をまたいで横断的に活動するケースが多いです。
競合他社の場合、組織の壁が存在することがあるかもしれませんが、当社ではそういった障壁は少なく、非常にオープンに業務全体が進められる印象はあります。
そのため、仕事がやりやすいという意見は多いです。
他部署の部長や役員と会話する機会もあり、コミュニケーションが取りやすいオープンな社風だと感じています。
また、当社は古河電工の自動車事業部門を担っていて、古河電工から出向している社員も多いですが、仕事をする上で親会社と子会社という垣根はありません。
キャリア採用だとかは誰も気にしていないと思います。
ーー貴社で活躍しているエンジニアのOJTや研修内容についてお聞かせください。
私は技術部門に所属しているので、技術の教育プログラムについてお話しします。
当社では基礎教育と中級教育、上級教育の3段階に分けてプログラムを構成しています。
基礎教育は、新入社員から入社2、3年のメンバーを対象としています。内容としては、テキストはしっかり整備されており、eラーニングや動画教材なども活用した教育が行われています。
座学では、担当する製品だけではなく、古河ASの全製品について広く学び知ってもらうことにも配慮したプログラムとなっています。
配属先ではOJTの教育担当がつき、 コミュニケーションを取りながら人材育成していきます。
さらに、部署ごとの勉強会も各部門で工夫しながら実施しています。
中級、上級教育では、外部研修なども活用しています。技術系の社員のために、知財教育も非常に大事にしています。
ーー上記に加え、貴社で実際に働くエンジニアの方々が感じる会社の魅力はどのような点でしょうか。
多様な働き方ができる点や、福利厚生面が充実している点は社員からも評判が良いです。
勤務時間についてはフレックス制度を導入しており、通勤ラッシュを避けての出勤時間調整や、残業をしてしまった翌日は早めに帰るなど、各自が働きやすいよう比較的勤務時間については自己管理の裁量が広く、働き方に関する社員の満足度は高いと自負をしております。
また、福利厚生の一例として食堂では毎日健康バランスに配慮した美味しいメニューを提供しており、こちらも社員の皆さんから好評を頂いております。
チャレンジを継続し、成長できる環境がある
ーーエンジニアに向けてのメッセージなどありましたらお聞かせください。
自動車業界は現在、大きな変革期を迎えています。
今後予測できない変化があるかもしれませんが、我々が生業にしているワイヤーハーネスや、その周辺の電装部品は、決してなくなることはないと考えています。
しかし、変化に対応するためには、常にチャレンジし続けることが必要です。
当社では成長するための明確なビジョンが掲げられ、適材適所で活躍できる環境が整っています。
私自身も派遣社員としてスタートし、キャリア採用を経てマネージャーとして働いています。
キャリア採用で入社した方でも、 管理職として活躍している人は少なくありません。
これは当社の強みの一つだと思います。
また、当社は競合企業と比べ組織の規模が小さいこともあり、組織をまたいだ横断でのチーム活動や円滑なコミュニケーションをとりながら柔軟に働ける環境のため、成長の機会が多いです。
この点も当社の大きな魅力だと感じています。
この記事の寄稿者
今回は、ワイヤーハーネスのアルミ化の量産化を実現した古河AS社にお伺いさせて頂きました。
同社の主力製品であるワイヤーハーネスは人間の神経や血管の役割を担う、自動車にとってとても重要な部分です。
自動運転や電動車の普及に伴う回路数と質量の増加という課題を親会社の古河電工との協業により「ワイヤーハーネスのアルミ化(軽量化)」の量産化を実現。まさにFAS WAYの「改善」「チームワーク」「チャレンジ」などを体現していました。
ワイヤーハーネスは自動車の重要な部分であるからこそ、今後もなくなることはない製品であり、自動車の発展に伴う新たな課題も今後沢山でてくることと思います。
Co2削減に対する取り組みなど様々な課題に向き合う同社は今後の新たな課題にも「チームで向き合い」解決して頂けるのではと感じました。
また、フレックス制度を取り入れるなど、働き方にも配慮をしているため、「一人ではなく協力しながら業務に取り組みたい」「働き方も考慮したい」という方にはとてもおすすめな企業と思います。
この記事を読み、少しでも同社に興味をお持ちの方はお気軽にご相談下さい!
記事では記載することができなかった同社の更なる魅力や特徴についてお伝え致します。
- 辻 和則