高い分析技術でお客様とともにチャレンジし続けていく
株式会社日東分析センターは1974年に創業し、有機高分子の分析を専門とする会社で、今年(2024年)で創立50周年を迎えました。
形態観察、表面分析、組成分析など、あらゆる分析・評価技術を備え、お客様の課題解決や新たなものづくりに日々貢献しています。
今回は、同社で20年間勤務し、茨木解析技術部の部長を務める鈴木良徳氏に、会社の魅力や強み、経営理念についてお話を伺いました。
また、どのような人材が実際に活躍しているのかについてもお聞きしました。高い分析・評価技術や新たな技術開発を行うパフォーマンスはもちろん、一人ひとりの働きやすさにも配慮されている職場であることがうかがえます。
Nittoとともに時代ニーズに沿って発展
――なぜ、日東分析センターに入社されたのでしょうか?
鈴木氏:実は、私も中途採用で入社しました。
以前は化学メーカーで精密有機合成や機器分析業務に従事していましたが、業績悪化を受けて、より将来性のある会社へ転職しようと決意しました。
日東分析センターを選んだ理由は、元々分析をやっていたこともあり、その経験を活かせるところです。
入社当時は、やりたい仕事を自ら見つけて取り組むといった風潮が強く、個々人の積極性が求められる環境でしたが、その分、多様な経験を積むことができました。特
に、大学で専攻していた化学の知識を活かしつつ、ものづくりの立場として「商品を売る」までのプロセスを経験できたことが良かったですね。
また、将来のことも考えて実家の近くに職場があるところも日東分析センターへの転職を決めた理由の一つです。
――御社が設立されたきっかけや、強みについて教えてください。
鈴木氏:日東分析センターは、日東電気工業株式会社(現:日東電工株式会社/Nitto)が国際市場で技術を中心とした企業になるための戦略の一環として、技術調査・分析部門を分離独立させたことが始まりです。
このため、Nittoとの結びつきが非常に強く、現在でも依頼全体の約7割がNittoからのものとなっています。
このつながりが経営の安定性につながる強みであると考えています。
――Nittoとのつながりが深いのですね。
鈴木氏:その通りです。Nittoには「粘接着」「光学設計」「回路形成」「薄膜形成」「多孔」「分離」「核酸合成」「DDS」という8つの基幹技術があり、これらを他の技術と組み合わせて多様な製品を世に送り出しています。
当社の強みは、その8つの基幹技術に基づく分析技術を、Nittoの製品開発と共に発展させてきた点にあります。
具体的には、Nittoには偏光板や多層薄膜積層体、機能性テープなどの高分子材料のトップシェア製品があり、それらに対応する形態観察、有機構造解析、表面分析、微量分析といったコア技術を当社が有しています。
同じグループであるため、Nitto独自の三新活動(既存製品に「新」しい用途を開拓し、「新」しい技術を加え、「新」製品から用途を広げる。
こうして「新」たな需要を生み出す)が当社にも根付いています。
業務を行う上で物理的な距離も近く、互いの会社を自由に行き来し、別会社という意識が薄いほど、フェイストゥフェイスで密接にやり取りしています。
チームで動く分析業務。そのチーム力で新たな分析技術の開発をめざす
――経営理念に「Mission(社会的使命)」「Vision(目指す姿)」「Values(大切にする価値観)」を掲げていらっしゃいますね。
鈴木氏:業務を進める中で、いかにお客様に対して高いパフォーマンスを発揮し、価値の高いものを提供できるかを常に考えています。
それと同時に、私は従業員が楽しく働くことが組織のパフォーマンス向上につながると考えているので、Values(大切にする価値観)の中にある「従業員に対しての誇り」を重視しています。
分析業務は1人で進めるものと捉えられがちですが、我々はなるべくチームで動けるようにしています。誰かが休んだら他の人がフォローする。
互いにフォローし合える環境が、従業員同士の心のつながりを強め、ひいては組織全体のパフォーマンス向上につながると考えています。
――今後、御社が注力していきたいことはございますか。
鈴木氏:例えば、この名刺1枚が破れた原因を分析するには、その破れた環境を実際に再現し、紙の性質を捉えなければ、本当の原因はわかりません。
破れた原因が何か、「どう破れなくできるか」「破れなくさせるためにはこういう設計をしたら良いのではないか」に繋がるような分析設計をして、「こういう分析をすれば解決できます」というが課題解決に繋がります。
そのため、こうした課題が発生した環境を再現できる分析技術を数多く開発していきたいと考えています。
装置を揃えるだけでなく、カスタマイズしたり、環境をさかのぼって推定したり、データサイエンスを組み込んだりすることで、他社にはない分析ができるようにしたいですね。
すでにAIの活用にも力を入れているので、今後は新たな価値を創造し、差別化を図っていきたいです。
――従業員の方は、新たな分析技術の開発についてどのような姿勢をお持ちですか。
鈴木氏:我々の風土・カルチャーに深く根付いているのは、困っている人がいれば何とか助けようという姿勢です。
これは先輩から受け継がれてきたものです。そのため、新しいことを考え、何かを生み出すという点においても非常に積極的です。
私は業務負荷を考慮しつつ進めたいと思っていますが、それ以上に「実現したい」「挑戦したい」という高い自主性を持ち、日々の業務に取り組んでいる従業員が多いですね。
積極性・協調性を持って楽しく働ける職場に
――日東分析センターでは、どのような人が活躍していますか。
鈴木氏:社内外で積極的かつ能動的にコミュニケーションが取れる人です。
理想としては、我々はお客様の課題を解決する使命があるので、コミュニケーションを通じて本来の課題に気づけるようになると良いと思います。
そして、前向きな人も重要です。失敗しても次に活かそうと肯定的に捉えられることが大切です。
また、ヒトだけでなくモノに対しても気遣いができ、分析という職業柄、コツコツと地道に取り組める人が活躍しています。
――入社後はどのような研修カリキュラムを実施していますか。
鈴木氏:中途採用者については、まず安全研修などの導入研修を行います。
その後、職場の先輩がついてOJTを実施します。
OJTの期間は特に定めていませんが、担当する業務内容やご本人の経験値に応じて半年から1年程度になります。
――中途採用したエンジニアの声や従業員の評価があれば教えてください。
鈴木氏:前職がメーカーの開発担当だった人は、「以前と比べて1つの業務に集中できるのが魅力」と話していました。
メーカーではマーケティングから顧客対応まで、製品に関わるあらゆるプロセスに携わる必要がありますが、我々は分析を通じて課題解決を図り、ものづくりを進めていくので、知識やスキルを活かしながら業務に集中できる点がクリエイティブな要素を強めるのではないでしょうか。
もう少し詳しくお話すると、先ほども少し触れましたが、我々が行っている分析は「名刺が破れた」という事象に対して、「なぜ破れたか」「どのようにしたら破れなくなるのか」「どういう設計にしたら良いのか」という「顧客が課題としていることは何か」ということまで考えて分析を行います。
多くの開発職の方のイメージだと、分析というと「破れたからこの形を見てください」という感じで依頼を受けてその部分だけを分析すると思っている方もいると思います。
しかし、我々はそうではなく、しっかりと破れたプロセスと今後どういう設計をしたら破れなくなるかという「顧客が分析をし、その後で解決をはかりたい」ことまで「顧客に寄り添って考えていく」ので、技術に集中しながら課題解決ができる点は本当に魅力だと思います。
メーカーの開発職といっても本当に沢山のことを考えて動く必要があるので、意外と顧客の課題解決だったり、技術開発というところにしっかりと時間を使い、フォーカスを充てたいと思っていても思うように時間が使えないことも日常的に起こっています。
だからこそ、ものづくりにおいて、「課題解決の部分にフォーカスをあてて仕事をしていきたい」という志向性の方には、我々はぴったりだと思います。
“分析に特化しているからこそ”課題解決の部分の純度が高く、集中できますという点は魅力に感じて頂ける方が多いです。
他にも、「独立した企業でありながらNittoのR&Dと距離が近い」「学生時代の知識がそのまま役に立つ」という声がありました。
福利厚生面ではNittoとほぼ同等で、「業務調整がしやすい」という意見もあり、休暇が取得しやすい環境です。
女性も活躍しており、従業員の3割を占めています。
育児休暇取得率は100%で、近年では男性の育休取得も増えてきています。
周囲の仲間同士で「誰かが休んでも、また戻ってこられるようにしよう」と気遣い合う文化が根付いていることも、当社の特徴です。
――最後に、ともに働きたいと考えているエンジニアに向けてメッセージをお願いします。
鈴木氏:これからともに働くエンジニアや若手の方に伝えたいのは、私たちは人生の貴重な時間の大半を仕事に費やすということです。
だからこそ、その時間をいかに快適に、より良いものにするかを見つけてほしいと思います。
もちろん、良いことばかりではなく、嫌なことも含めてそれが人生の一部になりますので、仕事で失敗しても「自分の成長につながる出来事だ」と前向きに捉えてほしいです。
時には1人で解決できないような問題もあるかもしれませんが、そういった時にチームとしてお互いを気遣い、助け合える仲間が集まる会社であれば、困難を乗り越えられるはずです。
また、今の時代は自分の都合を優先することが求められています。
しかし、同時に会社の利益についても考えてほしいと思います。
いかに付加価値の高い技術やサービスを作り出して利益を増やすか。
利益が増えれば優秀な人材を採用することができ、1人当たりの業務量が減り、業務調整がしやすくなります。
このような視点からも、「自分はもっとお客様に対して価値の高い技術やサービスを提供するんだ」という高い意識を持っていただきたいと考えています。
この記事の寄稿者
今回は、有機高分子の分析を専門とし2024年に創立50周年を迎えた、日東分析センター社にお伺いさせて頂きました。
改めて、同社の顧客ファーストな考え方から生まれるただ分析をするではなく「課題が発生した原因は何か」「どういう設計にしたら良いか」までを意識した業務への意識が素晴らしいと感じました。
今回インタビューをさせて頂いた鈴木氏の大切にしている「チームで協力し、お互いに助け合う」という考えも、メンバーや社内全体で根付いているからこその育児休暇取得率100%という数字にも繋がっていると感じました。
企業全体として「互いを気遣う文化」がしっかりと醸成されていることも実感し、改めて企業としての魅力を認識することができました。
この記事を読み、少しでも同社に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非お気軽にご相談下さい。
記事ではお伝えすることができなかった更なる企業の魅力を面談にてお伝えさせて頂きます!
- 山東 史典