電子機器メーカーとは?仕事内容や働くメリットなどを解説
電子機器メーカーは、家電製品やパソコンなど、私たちの日常生活に必要な製品を製造しています。
そのため、これらの企業は多くの人にとって魅力的な転職先となっていますが、具体的にどのような職種なのでしょうか?本記事では、電子機器メーカーの概要や職種別の仕事内容、働くメリットや転職時の注意点などについて、わかりやすく解説します。
電子機器メーカーとは?
電子機器とは、電子回路を内蔵し、電気によって動作する機器のことです。電子機器製造業は、数多くの電子機器製品を製造することによって、私たちの日常生活を支えてくれている重要な産業です。
製造しているおもな製品には、パソコンやスマートフォン、液晶ディスプレイといった機器から、半導体や電源回路などの電子部品までがあり、さらに最近では多くの家電製品にも電子回路が搭載されているため、一般家電製品も含まれます。
電子機器はこれらの製品によって私たちの暮らしを便利で快適なものにするだけでなく、最新技術を活用して産業用機器に組み込まれることにより、産業の発展にも大きく貢献しています。
近年ではAIが急速な進化を遂げ、電子機器にも搭載されるようになっており、電子機器メーカーでは常に最新の技術をキャッチアップしています。
電子機器メーカーは日々の暮らしに欠かせない製品の製造に携われる魅力的な就職・転職先のひとつです。
職種別|電子機器メーカーの仕事内容
ここでは、電子機器メーカーの仕事内容を、
・開発・研究職
・生産技術職
・品質管理職
・営業職
の職種別に紹介します。
開発・研究職
総務省の科学技術研究調査における定義によれば、研究は、基礎研究、応用研究、開発研究の三つに分類されます。電子機器メーカーの研究職もこの分類と同様、基礎研究、応用研究、開発研究に分けられます。このうち前二者が研究職、開発研究が開発職の仕事に該当します。それぞれの研究内容は以下の通りです。
【基礎研究】
直接、用途や応用などを考慮することなく、仮説・理論を形成するためや新しい知識を獲得するために行われる研究です。電子機器メーカーの場合、具体的には現在、存在していない技術について研究します。
【応用研究】
基礎研究で発見された成果を実用化したり、既存の技術の新たな応用方法を模索したりするための研究をします。具体的には技術の新製品への活用方法の研究です。
【開発研究】
応用研究で得られた成果を実際の製品設計に落とし込み、新製品の開発や、既存製品の改良のための研究を行います。開発・研究職のなかでは最も製品や市場に近い立場での仕事です。
開発・研究職は、電子機器メーカーが自社の商品力を高めるために重要な役割を担っています。最新技術を活用して、使い勝手のよい製品を生産できるようになるのか否かは、企業の成長と発展を大きく左右します。開発・研究職には専門知識や高い技術力だけでなく、強い探究心や粘り強さなども求められます。企業を支える重要なバックボーンとして活躍できる職種のひとつです。
生産技術職
生産技術職のおもな仕事内容としては、
・製品の生産工程の設計や改善
・生産設備の管理・メンテナンス
などがあります。
開発・研究職の仕事によって仕様が確定した製品を、いかに効率よく、大量に、高品質で生産できるかを検討し、生産データの解析やラインの見直しなどを行ったうえで、生産工程を設計したり、改良したりします。研究・開発職の使命が市場競争力のある、製造可能な製品の仕様を決定することであるとすれば、生産技術職の使命は製造部門の中心的役割として、製品の品質向上や生産性の向上に取り組むことです。既存の生産ラインだけでは不足している場合は、上述した通り、製品に応じた生産工程を自ら開発するほか、外部最新機器の選定・導入を提案・実行することもあります。これらの仕事によって、電子機器メーカーの生産技術職は自社の生産性の向上を図る職種であり、そのほかにも現場との調整や経営層への製品改良提案といった調整役としての機能も期待されています。
品質管理職
品質管理職のおもな仕事内容は文字通り、製品の検査や品質改善などを行って、自社製品の品質を管理することです。
製品の品質は高く維持されているか、安全性は確保できているか、といったことは、電子機器メーカーとしての社会的信頼を形成する重要な要素です。
例えば不具合により、製品のリコールが発生する場合、自社の損益に大きなマイナスインパクトを与えるだけでなく、社会からの信用・信頼も大きく毀損してしまいます。
こうした事態を引き起こさないように、規格に沿った製品であるかを検査し、仮に不良品が発生した場合の原因調査や改善策の策定を行って、自社製品の品質を維持することが品質管理職の仕事です。
開発・研究職や生産技術職などに比べると、改善提案力などがより重視される職種です。生産現場や生産技術などのほかの部署と連携する場面も多く、コミュニケーション能力も求められます。
営業職
電子機器メーカーの職種のなかでも、多くの人が最もイメージしやすいのが営業職です。
主な仕事は、自社製品を顧客に提案し、販売することです。
ひと口に顧客といっても、取り扱う製品によってさまざまです。
営業対象は一般消費者だけでなく、官公庁や法人(企業や工場など)、家電量販店なども顧客となります。
営業活動では、顧客のニーズを把握し、自社製品の特徴やメリットを効果的に提案して、最終的に売上につなげることが重要です。
例えば、家電量販店が営業先の場合には、一般消費者に対して自社製品を魅力的に宣伝するための売り場作りなどを提案し、より多くの製品を販売してもらえるよう働きかけます。
国内で販売を行っている電子機器メーカーでは、AIやIoT、省エネなどといった新しい技術を搭載した製品を続々と市場に投入しているため、営業職にも最新技術に関する知識や提案力が求められます。
もちろんコミュニケーション能力や、社会の動向に敏感に反応する能力なども必要です。
電子機器メーカーで働くメリット
上述した仕事内容と一部、関連するところもありますが、電子機器メーカーで働くメリットとしては、
・専門知識やスキルが身につく
・福利厚生に力を入れている企業も多い
・「作った製品が世界中で使われる」という達成感がある
といったことが挙げられます。
専門知識やスキルが身につく
これまでに見てきたように、電子機器メーカーでは多くの職種で専門的な知識やスキルが求められ、日常の業務を通じて、これらの知識やスキルを身につけられることが大きなメリットのひとつです。
電子機器メーカーで必要とされる業務には、電気主任技術者や電気通信主任技術者、電子機器組立技能士などの資格を保有していなければ携われないものもあります。
上記の資格はすべて国家資格であり、業務独占資格(保有者のみが独占的に当該業務に携われる国家資格)です。
もちろん必要とされる資格は事業内容や職種によって異なりますが、国家資格や業務独占資格を取得するには高い専門知識やスキルが必要であり、資格取得の過程でこれらが自ずと身についてきます。
国家資格などを取得できれば、業務の幅が広がり、キャリアアップにもつながります。
電子機器メーカーに勤務していれば、さまざまな先進技術に触れる機会も多く、こうした経験から専門性やスキルを獲得できることは大きな魅力です。
日々の仕事がエンジニアとしての信頼や実力を高めてくれる役割を果たしています。
福利厚生に力を入れている企業も多い
電子機器メーカーに限らず、長い歴史をもつメーカーや、従業員満足度を高めて、人材の定着を図りたいと考えているメーカーには、福利厚生に力を入れている企業が数多くあります。
福利厚生には、労働基準法をはじめとした法律で企業が実施することを定められた「法定福利厚生」と、企業が任意で導入・実施する「法定外福利厚生」とがあります。
法定福利厚生とは健康保険や雇用保険、厚生年金保険などのことです。しかし、ここで力を入れているという福利厚生とは、法定外福利厚生を指します。
法定外福利厚生にはさまざまなものがあります。通勤手当や住宅手当、慶弔手当、託児所の設置、短時間勤務制度などは多くの人が思い浮かべるものだと思いますが、最近ではユニークなものも登場しています。例えば、
・社内で整体を受けられる
・健康診断の結果によって手当が支給される
・社内のキッチンスペースで料理を作って食べられる
・妊活や不妊治療の費用を補助してくれる
・ペット同伴での出社を認め、そのための環境を社内に整えている
といったものがあります。いずれの施策も既存従業員の定着率を高めるだけでなく、新たに優秀な人材を確保するためにも効果があります。
「作った製品が世界中で使われる」という達成感がある
電子機器メーカーでは、家電製品やパソコン、スマートフォンなど、生活に密接に関連した(消費者の手もとに渡る)最終製品や部品を製造しています。
これらの製品の市場は国内にとどまらず、世界各国を対象にグローバル展開を図っている企業も数多くあります。
自分が携わった製品が世界中の人に利用されていると考えると、「自分の仕事が社会を支えている」と、やりがいや達成感を感じる人も多くいるはずです。
仕事のモチベーションアップや、さらなる自己成長への後押しにもなり得ます。電子機器メーカーに勤務することは、人生を充実したものにしてくれます。
電子機器メーカーに転職する際の注意点
すべての電子機器メーカーに当てはまるわけではありませんが、特に長い歴史のある大企業の場合には、社内の体制が旧来のまま固定されており、いわゆる“新しい働き方”には対応していないことがあります。
例えば、社内の申請ではすべて紙書類の提出が必要で電子化されていなかったり、長時間の会議に1日に何回も参加しなければならなかったり、各従業員の裁量が少なく上司の承認待ちで思うように仕事が進まなかったりといったことです。
日本の場合は年功序列がまだまだ多くの企業の人事制度のベースになっているものの、老舗大企業の場合は、特にその傾向が強いと考えられます。
さらに上でも少し触れましたが、電子機器メーカーには国内展開はもとより、グローバル展開をしている企業も数多くあります。
いつ何時、見知らぬ土地への転勤を命じられることも、数年間の海外赴任を求められることもあります。
居住地や勤務地にこだわる人、あるいは家庭の事情により、転勤には応じられない人などは注意が必要です。
電子機器メーカーへの転職で活かせるスキル
電子機器メーカーへの転職を考えている場合、
・電気や電子などに関する知識・技術力
・最新技術・情報の収集力
・語学力
・コミュニケーション能力
・ものづくりのスキル
といったスキルは、転職を成功させるために役立ちます。
電気や電子などに関する知識・技術力
電気製品や電子製品を製造しているという特性から、電子機器メーカーへの転職を希望する場合には、電気や電子などに関する知識・技術力は重要です。
「専門知識やスキルが身につく」の項でも述べた通り、一部の業務に関しては、資格がなければ行えないものもあるため、電気主任技術者などの資格を保有していれば、大きなアピールポイントとして使えます。
特に電子部品の設計や研究開発に携わるポジションを希望しているのであれば、電気や情報に関する知識がなければ、業務を円滑に進めることは容易ではありません。基礎知識をしっかりと習得するのはもちろんのこと、常に最新の技術に関する情報をキャッチアップしていく必要があります。
最新技術・情報の収集力
電子機器メーカーに限ったことではないですが、製品を製造して販売するメーカーは、社会情勢や消費者のニーズをキャッチして、新製品の開発に反映させています。
どんなに先端的な技術を取り入れて、斬新なデザインの製品を開発したとしても、ニーズがなければ売上にはつながりません。社会の動向に常に関心をもち、幅広くユーザーニーズを収集できる能力が求められます。
さらに電子機器製品の周辺技術は日進月歩であり、製品に応用できる新技術が次から次に登場してきます。上述した通り、AIやIoT、省エネなどの新しい技術を搭載した製品も一般化しつつあることから、最新技術に関する情報収集は欠かせません。むしろ最新技術・情報を楽しみながら収集できるような人は、電子機器メーカーへの転職を成功させる可能性が高いと考えられます。
語学力
グローバル展開を図っている企業も多く、そうした企業への転職を検討している場合には、例えば海外支店スタッフや取引先とのやり取りなどに必要な高い語学力があれば、アピールポイントになります。
例えば語学力を強みに海外部門へ転職を希望する場合、TOEICなどで高いスコアをもっていれば、転職活動を有利に進められます。
もちろんコミュニケーションを取る必要があるのは英語圏だけとは限らないため、そのほかの言語にも通じていれば、企業も高く評価してくれるはずです。
海外の最新技術や世界各国に存在するユーザーのニーズなどを把握するうえでも、語学力は大きな助けになります。
コミュニケーション能力
製品を製造するメーカーでは、ほぼすべての部署において他部門あるいは他企業などとの密なコミュニケーションを取る必要があります。
例えば製造現場との調整や上層部への提案など、円滑に仕事を進めるためにはコミュニケーション能力は不可欠であり、営業職においては、商談に限らず、消費者のニーズを汲み取って、新製品の開発につなげるためにも、コミュニケーション能力が必要です。
どの職種でも、聞く力・伝える力・先の展開を読む力は重視されるスキルであり、人と円滑に仕事ができる人材や、チームワーク重視で仕事を進められる人材は重宝されます。
ものづくりのスキル
根本的な話になりますが、そもそも電子機器メーカーは製品や部品を製造する企業であるため、目指す職種にかかわらず、ものづくりに関心がある人や、スキルをもっている人に向いています。
また前述のように、電子機器メーカーで製造された製品が世界中で使用されることは多いため、その様子を見ることでやりがいを感じる人にとっても、電子機器メーカーは特に適した職場と言えます。
まとめ
電子機器メーカーへの転職を検討しているのであれば、エンジニアに特化した弊社サービスの利用をおすすめします。弊社には、
・求職者のキャリアを深い技術知識によって分析し、「本当の適職」を紹介
・エンジニア専門の転職支援で、求人数は20,000件以上保有
・各企業の担当者に密着しており、的確なアドバイスをしてくれるため、選考に通過しやすい
といった特徴があります。弊社にしかない独占求人もあります。土日・祝日の面談や電話・オンラインでの面談にも対応しているので、働きながら転職活動を進められます。
エンジニアの転職ならメイテックネクスト
この記事の寄稿者
私自身、所属する工場がなくなるというキャリア不安を経験し、従業員が職を失うその光景を目の当たりにしました。
終身雇用が当たり前ではなくなった現代においては、自身のキャリアを能動的に設計、選択していくことが必要であると感じます。
生産技術、生産管理、QAQC、購買を経験された方々は、汎用性が高いポータブルスキルを習得されている点が強みです。
ご自身の強みを、叶えたいことを実現するためにどう活かせるか、ぜひ一緒に考えさせて下さい!
- 藤田睦貴