「毎日が本当に面白い」―ゼロから課題にチャレンジし続けるチャレナジーで働くエンジニア
2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが急加速する今、再⽣可能エネルギーの普及が求められています。各企業でも再生可能エネルギーの研究開発が活発化しています。
従来なかった世界初の風力発電機を開発するスタートアップのチャレナジーも、そうした社会のニーズに応えようと、日々挑戦し続ける企業の1社です。
この記事では、同社内で実際に垂直軸型マグナス式風力発電機開発に取り組むエンジニアであるビダル ムリア ハビエル氏に、日ごろの開発業務のことや職場の魅力など、ざっくばらんにお話ししていただきました。
■チャレナジーと垂直軸型マグナス式風力発電機
チャレナジーは、創業者である清水敦史氏の「東日本大震災の原発事故を教訓に、既存のエネルギーインフラを原発から再生可能エネルギー(以下、再エネ)にシフトさせたい」という強い思いを実現するため、2014年に創業した会社です。
「風力発電にイノベーションを起こし、 全人類に安心安全なエネルギーを供給する」というミッションが示すように、
数ある再エネの中でも同社が注力するのが「風力」です。
風力発電の要となる「風力発電機」といえば、多くの方が3枚羽根のプロペラや、オランダの風景でよくみられる形を想像するかと思います。
しかしチャレナジーの風力発電機は、それらとはかなり異なった形状をしています。
羽根の変わりに円筒を用いた垂直軸型マグナス式風力発電機(以下、マグナス風車)です。
マグナス風車は、回転している物体に流体が当たると、流れと垂直に揚力が発生する物理現象である「マグナス効果」を生かした風車です。
風の向きが変わっても影響を受けることがなく、低回転で、静音。
強風時にも暴走しにくく、バードストライクによるリスクも低減できるため、環境問題にも配慮している形状です。
国土が狭く、台風など自然災害も多く、風向きも安定しない日本にとっては、これまで設置しづらかった場所でも風車を設置できるなどメリットが多い方式といわれます。
ビダル氏は今、このマグナス風車の開発にかかわるエンジニアです。
かつて大学では航空宇宙を専攻して流体工学を学んでおり、東日本大震災後のボランティアがきっかけで日本の良さを知って「住みたい」と思い、日本語を勉強し、2014年に来日して就職しました。
最初に就職した企業では社内情報システム担当として勤務し、その後、機械エンジニアとして原子力関連の配管の支持構造の強度解析、構造改善に携わりました。仕事は順調でしたが、自分のアイディアを出しながら進めていける仕事につきたいと思うようになったとのことでした。
そんなビダル氏がチャレナジーに転職してきたのは、2017年9月のこと。
チャレナジーが東日本大震災を起点にしていること、大学での流体工学での学びが活かせること、業務が一部のプロセスではなく関われる範囲が広いこと、自ら手がけたことが再エネに貢献できることといった点が合致し入社に至りました。
ビダル氏は入社してすぐに、出力1kWほどのマグナス風車の試作機開発に関わり、沖縄本島で風力測定と空力評価も体験。
転職前では体験できなかった風力発電機全体の製作プロセスを自分で一から考えて、検証、実機ができるまでを経験できるため、日々難しさと面白みを感じながら仕事をできる環境がとても良いとのことでした。
自分で考えて行動に移せるのはもちろんですが、会社内の人々もフラットで気さくな方が多く、相談をしたら丁寧に答えてくれるなど、団結力ある環境にも満足しているそうです。
チャレンジをどんどんさせるチャレナジー。そして、そのチャレンジの全てが面白くて、ワクワクしてしまうのが、ビダル氏。
現在はマグナス風車の大型化に挑んでいます。
■海を渡ってきた若きエンジニア、自分で新型風車を作る
――マグナス風車の開発では、どのようなことに取り組んでいますか?
ビダル:基本的には全てのプロセスに関わってきました。
3D CADを使った部品設計、強度解析のシミュレーション、実証実験の計画、実験で得られたデータ処理などに取り組んでいます。
円筒型の設計も初期から担当しています。
形状は非常にシンプルなのですが、縦に長い構造になっていることから、軽量化と強度を両立させるところが課題になります。
縦長なので、重たいと不安定になり、それでいて翼には大きな力もかかるわけですから。
そこで、薄肉にして円筒の軽量化をしつつ、補強材の入れ方を工夫して強度を上げて……を繰り返し、いくつかパラメーターを振って何パターンかのデザインを検討します。
計画~データ処理、荷重~ひずみ、ノイズをどう消すのかなど全てを考えながら仕事をしているため、自分の興味がある領域も幅広く経験できています。
前職で全体の一部のプロセスにしか参加ができず、貢献度を実感できなかった私からするとかなり面白いです。
――マグナス風車では発電効率をよくするため、“軽量化”が重要とのことですが、軽量化をする上でのポイントはどこにあるのでしょうか。
ビダル:発電効率をよくするためには確かに軽量化は欠かせません。
しかし、軽量化をするために、円筒の部分を薄くしすぎると、耐久性がなくなってしまうため、そこをどうするのかが重要です。
形状自体は簡単ですが、材料の検討や中にどのような補強材を入れるか、補強の形や位置など様々な検討が必要なんです。
先ほども少しお話しましたが、いくつかのパラメーターを設定し、パターンを作成し、どれが良いかを決めたうえで実寸大試験を行います。
試験には費用もかかるため、試験までにシミュレーションでパターンをしっかり絞り込むことが必要です。
そのため、シミュレーションが得意な方はチャレナジーでは活躍できると思います!
――実機での実験とシミュレーションはどのように連携して進めていたのですか?
ビダル:実際、部品として採用する際の物性を把握するために、円筒をいくつか試作しながら試験をして、それで検証した物性値をCAEのシミュレーションで使用するようにしました。
もともと材料そのものや材料の試験まで詳しいわけではなかったので、試験場に通い、試験を見て勉強しながら行いました。
試験場では実際に円筒の内部がしっかりとできているかどうかのX線試験にも立ち会うなどの経験もできました。
――マグナス風車の開発をしていて、特に面白みを感じるところはどこでしょうか?
醍醐味は、軽量化、耐久性、発電効率などのさまざまな開発課題を同時に解決することだと思います。
実験は膨大なパラメーターを扱い、最適化する際の難しさがあります。
なかなか自分の思った数値が出ないことも多いです。
細かい特性値まではわからない中、沢山の試験を実行し、自分のPCの中でシミュレーションした結果と、実際に実験を反映した結果が同様であったときの達成感はこの仕事で一番面白い所といっても過言ではありません!
■チャレンジを楽しむエンジニアが集う、チャレナジー
――チャレンジをする上で、大変だと感じることはありますか?
ビダル:大変だと感じるよりも、自分の力で何もないところから一から考えて作れることが面白いです。
他の会社ならやらないようなアイデアや方法もどんどん取り入れて試せています。
ただ、もともと日本語が母国語ではない上、日本独特の現場用語があるので、そういうのを覚えるのには少し苦労しました(笑)。
強いて言えば、大変だと感じたのは、そういうことくらいですね。
――入社後、新たに覚えたことは?
ビダル:風力発電機の開発そのものが初めてでした。構造計算から実験の仕方、データ処理まで、仕事をしながらいろいろなことを覚えました。
――周囲のサポートや研修はありますか?
ビダル:何か研修のようなものがあるわけではありません。
自分で一から考えることもありますが、周囲の人たちが後ろから見守りながら、ところどころ助けてくれていましたね。
ミーティングも定期的にあるのですが、皆がそれぞれ困っていることを持ち寄って、お互い知恵を出し合って、皆で助け合うといった感じです。
「先輩が後輩を……」という上下関係はなくて、代表の清水さん含めてとてもフラットな関係で技術的な相談をしています。
話しやすい人が多くて、とにかくいい雰囲気です。
――職場に合いそうな方の人物像について、どうお考えですか?
ビダル:頭をフル回転させて、いろいろなことに挑戦し、乗り越えることが面白いと思えるエンジニアです。
「常に新しいことに挑戦して、解決することに喜びを感じる人」。私自身もそうですね。
――具体的にはどのようなスキルを持ったエンジニアが活躍できると思いますか?
ビダル:機械系の設計者なら経験がある方が多そうですが、まずは3D CADや強度計算などのベースとなる基礎知識があるといいですね。
基礎知識をベースとして、新しい知識を自発的に吸収する必要があります。
工学から雑学まで、基礎的な知識の幅が広くて、自力で調べたり勉強したりが得意であったり、創意工夫をして実験をするのが好きであるととても活躍できると思います。
マグナス風車は、世界でも当社唯一の技術といっても過言ではありません。
「次世代のモノづくり」への取り組みで、「世の中にないものを作ろうとしている」ので、全ての仕事が「チャレンジ」です。
だからこそ、開発業務も、少数精鋭かつ一人一人の裁量が大きくなっています。
少数精鋭だからこそ、自分の興味がある分野の経験を積むことが可能です。
――最後に、チャレナジーに応募を考えている方に向けて、メッセージをお願いします。
ビダル:私自身、チャレナジーに来て7年近く経っていますが、これまでも、今も、この会社が好きです。
「今、最高の場所にいるな」と感じていますし、毎日が本当に楽しいです。
マグナス風車は、今も課題が山積みなのですが、それをどう乗り越えようかと考えを巡らせることは本当に面白いですし、そうやって面白がって仕事をしたい方は、毎日楽しく過ごせる職場だと思います。
ぜひ一緒に、マグナス風車を開発してみませんか?
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チャレナジーは、エネルギーシフトに向けて、再エネ普及実現への期待もあり、風車の大型化に取り組んでいます。
一方で、2024年1月に発生した能登半島地震、そして南海トラフ地震や首都圏直下地震など大きな自然災害の発生リスクへの対策として、電源の確保も求められています。
防災非常電源としての使用ができ、より設置や移動がしやすい小型風車にも取り組んでいます。
寒冷地など極限の環境下で利用できる風車、都市部でも設置できる風車など、さまざまな環境に適したバリエーション展開と、さらなる販売体制の拡充をしていくと発表しています。
こうした防災非常電源の用途以外にも、思わぬ用途がいろいろあるだろうと創業者の清水氏は考えているとのことです。
そして、そのアイデアの数だけ、エンジニアがすべきチャレンジもあるということになります。
「チャレナジー」という社名は、「チャレンジ」と「エナジー」を組み合わせて、チャレナジーと名付けられたそうです。
今回、ビダル氏が語ってくれた仕事への気持ちや職場の雰囲気も、それをとてもよく表していました。
チャレンジを楽しんでいるエンジニアは、彼だけではありません。
そして、清水氏も、「できないことを、できるように変えていく」ことを「突破力」という言葉でよく表現しているそう。
本人のチャレンジしたい気持ちを一番に尊重し、今は知識がないのだとしても、チャレンジができる環境があります。
今や、風車を開発する企業は数多くありますが、これほどまでに「チャレンジ」のかたまりともいえる会社は、他にはないでしょう。
自分が考えた、これまでになかった新しいアイデアをカタチにして、社会に貢献するチャレンジがしたいエンジニアにとってはとても良い環境の企業です。
この記事の寄稿者
自分の考えをカタチにできる企業、エンジニア全員が切磋琢磨しながら、様々な課題にチャレンジしていく環境が揃っている同社は”ものづくりが大好きな方”には魅力あふれる企業と感じました。
少しでも同社に興味がございましたら、より細かな情報や魅力をお伝え致しますので、ぜひお気軽にご相談下さい!
- 宮崎 純一